SPECIAL OTHERSがライブで生み出す至福の時間 15年の歴史を色鮮やかに響かせたBillboard Live TOKYO公演

スペアザ、15周年記念Billboard公演レポ

SPECIAL OTHERS
又吉"SEGUN"優也(Ba)

 「Billboard Liveも15周年、SPECIAL OTHERSも15周年。ありがとうございます!」(宮原)「すごいね。15年って、何日?」(芹澤)からはじまったユルすぎるMCのあとは、アルバム『Anniversary』の収録曲と15年のキャリアを象徴する代表曲を交互に演奏。タイトな8ビートを機軸に、ディストーションギターが鳴り、オルガンのソロが響き渡った“スペアザ流ハードロック”「Anniversary」(アルバム『Anniversary』)。しなやかで強靭なバンドサウンドのなかで4人の偶発的なフレーズが絡み合う「BEN」(アルバム『BEN』/2004年)、そして、このバンドの豊潤なメロディセンスを堪能できる「Timelapse」(アルバム『Anniversary』)とスペアザの歴史を行き来するようなステージが続き、このバンドの奥深い音楽性をじっくりと体感できた。

 ライブのピークを演出したのは、「Laurentech」だった。2007年にシングルとしてリリースされたこの曲は言わずとしれたスペアザの代表曲。発表から約15年が経ち、技術と表現力を増した2022年のスペアザによる「Laurentech」を味わえるのは、まさに至福としか言いようがない。と同時に、これまでにこの曲がいろいろな場所ーー日比谷野外大音楽堂、『フジロック』のGREEN STAGEなどーーで奏でられたシーンが脳内でどんどんプレイバックされ、ジーンと来てしまった。“日本のインストシーンを牽引し続けるバンド”と称されることが多いSPECIAL OTHERS。もちろんその通りなのだが、この日の「Laurentech」を聴いているうちに「この15年間、スペアザには本当に良い時間を体験させてもらった」という思いが溢れてしまったのだった。

 2度目のMCでは「デビュー15周年を迎えて、こうやってライブができてるのは嬉しいよね。(観客に向かって)みなさんも座席が気持ちいいでしょう(笑)」(芹澤)という言葉も。本編ラストは、題名通り、喜びがはじけるようなイメージが生々しく伝わってきた「Spark joy」。さらにアンコールでは、名曲「IDOL」のリテイクバージョン「THE IDOL」で圧倒的な開放感を生み出し、ライブはエンディングを迎えた。

 8月11日の日比谷野外大音楽堂公演を皮切りに、全国ツアー『SPECIAL OTHERS "Anniversary" Release Tour 2022』がスタート。ようやく戻りつつある日常のなかで、スペアザの音楽を自由に楽しみ、心と身体を解放するーーそんな瞬間を心待ちにしていたい。

SPECIAL OTHERS

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる