乃木坂46、次世代メンバーに対する期待値高まった10回目の“バスラ” 生駒里奈、西野七瀬ら卒業生も登場した2日間の祝宴を観て

乃木坂46、10回目の“バスラ”を観て

 乃木坂46がCDデビュー記念日を祝福する毎年恒例のライブ『10th YEAR BIRTHDAY LIVE』(通称:バスラ)を、5月14〜15日の2日間にわたり日産スタジアムで開催した。過去には西武ドーム(現・ベルーナドーム)や明治神宮野球場、京セラドーム大阪、ナゴヤドームといった会場でバスラを行なった経験を持つも、約7万人収容の日産スタジアムは乃木坂46史上最大規模のライブ会場。新型コロナの影響でフルキャパシティ開催可能か否かの懸念もあったが、結果として2日間で14万人を動員する盛況ぶりをみせた。

 昨年は期別ライブを含む5公演が無観客配信の形で行われたが、有観客でのバスラは2020年2月のナゴヤドーム以来2年3カ月ぶり。かつてはその時点での全楽曲を数日にわたり披露していたが、今回は14日のDAY1を2012〜2016年、15日のDAY2を2017〜2022年と限定して、該当期間に発表された楽曲から厳選された代表曲の数々をパフォーマンスする形が取られた。それでも、結果として両日とも40曲前後/約4時間にわたる濃厚なステージが展開され、野外ライブならではの豪華な演出やデビュー10周年の節目に相応しいサプライズが多数用意された見応え満点の2日間となった。ここでは15日のDAY2公演を中心に、今年のバスラで印象に残ったポイントについて触れていきたい。

 デビュー曲「ぐるぐるカーテン」から華々しくスタートした初日公演は、グループロゴに使用された白と紫をあしらった3万個の風船が飛び交う中、これが全体ライブ初合流となる5期生11名を含む計43名(この日のみ与田祐希が休演)で盛大なパフォーマンスが繰り広げられる。代表曲の数々とともに、スクリーンにはリリース当時のMVやライブ映像、活動の軌跡などが映し出され、その場にはいないものの原曲を歌唱した卒業生たちも含めてこの日産スタジアムの舞台までたどり着いたのだという、グループやスタッフの強い思いも伝わる。と同時に、グループの歴史を築き上げてきた初期の楽曲を、3期生や4期生といったこれからの乃木坂46を背負っていく次世代メンバーたちを中心に披露していく様子にも、過去を大切にしつつ未来へとバトンをつなごうとする前向きさが感じられた。

 初日のサプライズはなんといっても、生駒里奈や伊藤万理華といった卒業生たちの参加だろう。スクリーンに映し出された「もうやらないと思ってました。でも、今日だけは特別に。生駒里奈」のメッセージに続いて、当時のセーラー服衣装をまとった生駒が姿を現し、後輩メンバーたちと「制服のマネキン」をパフォーマンス。伊藤万理華は当時センターを務めた「ここにいる理由」で圧倒的な存在感を放ち、活動をともにできなかった4期生以降の後輩たちにその背中を見せた。また、本編ラストブロックではバンド+フルオーケストラの生演奏をバックに、「夜明けまで強がらなくてもいい」「僕は僕を好きになる」といった次世代メンバー(遠藤さくら、山下美月)センター曲、そして齋藤飛鳥の華麗なソロダンスをフィーチャーした「Sing Out!」が披露され、歌の力、楽曲の力を全面に打ち出した演出で、ライブを盛大に締め括った。

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 続くDAY2公演はキャプテン・秋元真夏の開幕宣言を機に、2017年を代表する1曲「インフルエンサー」から力強くスタート。楽曲のイメージに合わせたかのように、この日は真っ赤な風船3万個が宙を舞う中、休養から復帰した与田を含む総勢44名で力強いパフォーマンスを提示。続く「逃げ水」では与田と、卒業した大園桃子に代わり岩本蓮加がダブルセンターを務め、指先まで神経の行き届いた美しいダンスを見せていく。その後も「いつかできるから今日できる」「スカイダイビング」といったシングル表題曲やアルバムリード曲が連発され、「三番目の風」では3期生11名が息の合った全力のパフォーマンスで7万人のオーディエンスを魅了した。

 この2日間、卒業生がセンターを務めていた楽曲では3、4期生がセンターを担当することが多く、初日は岩本や梅澤美波、久保史緒里、佐藤楓、山下の3期生や遠藤、賀喜遥香、筒井あやめの4期生がオリジナルメンバーにも負けない熱量で、歴代の人気曲を彼女たちならではの表現で見せてくれた。2日目もその流れは変わらず、「日常」では久保が鬼気迫るパフォーマンスを展開。後半ブロックの「制服のマネキン」では遠藤が、「夏のFree&Easy」では与田がセンターを務め、それぞれの役目を全うしてみせた。

 1、2期生がそれぞれ片手で数えられるほどの人数になってしまったことも大きいとはいえ、間違いなく今の乃木坂46を牽引するのは3、4期生といった、もはや中堅の域に達しつつある若手メンバーだ。1期生の齋藤や秋元、樋口日奈、和田まあや、2期生の鈴木絢音と山崎怜奈ももちろんそれぞれに強い存在感を放っていたが、彼女たちは良い意味でこの特別な環境を心の底から楽しもうとしているようにも映った。もちろん、大舞台を前にした緊張もあったことだろう。しかし、彼女たちはそれ以上に10年前後におよぶ活動を振り返りながら、この景色を目に焼き付けようとしていたのではないだろうか……後輩たちと比べて残された時間が限られた彼女たちだからこそ、そう思えてならない。

 だからというわけではないが、時にそんな先輩たちを微笑ましく見守り、時にそんなシチュエーションを愛おしく思い涙を流す3期生と4期生の姿も、特に筆者の目に焼き付いた。2日間通して、ふとした瞬間に山下や賀喜といった後輩たちが涙を浮かべている様子も見受けられたし、特に初日は生駒や伊藤万理華と再び共演できたこと、あるいは初めて一緒にパフォーマンスできたことに感涙する後輩たちの姿も見つけることができた。

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