乃木坂46、次世代メンバーに対する期待値高まった10回目の“バスラ”　生駒里奈、西野七瀬ら卒業生も登場した2日間の祝宴を観て

　それは2日目も同様で、「帰り道は遠回りしたくなる」での西野七瀬、「しあわせの保護色」「シンクロニシティ」での白石麻衣、「最後のTight Hug」での生田絵梨花といった卒業生のゲスト出演は、1、2期生にはひとときの安らぎを与え、3、4期生には自身の原点を思い出させる刺激にもなったことだろう。それは、おそらくステージ裏でモニターを通して観ていたであろう5期生にとっても同様であり、テレビを通して観てきた光景が今、目の前で展開されているのだから、刺激を通り越した衝撃以外の何ものでもなかったはずだ。特に、アンコールの「ガールズルール」「ロマンスのスタート」では先の3人に加え高山一実、松村沙友理まで加わり、一部出演だった5期生も同じステージに立ったのだから、その刺激や衝撃は想像を絶するものだったはずだ。グループ加入以降さまざまな困難に見舞われた5期生だが、この機会は確実にこの先の活動における大きな糧になることを願ってやまない。

　トピック的にはどうしても卒業生ゲスト参加を大々的に扱ってしまいがちだし、結成当初から彼女たちと取材で関わってきた筆者にとっても非常に感慨深く、そして夢のような瞬間だったことは間違いない事実。しかし、それでもなお声高に伝えておきたいのが、3期生と4期生中心の編成と5期生の輝きだ。司令塔であり軸にいるのは先輩メンバーたちかもしれないが、ステージを華々しく演出し、観る者に新鮮な刺激を与えてくれたのは間違いなくこういった次の世代を作っていくメンバーたちであり、過去を背負いながら“自分たちの乃木坂46”へと更新しようとする真摯な姿には、観ているだけで胸が熱くなった。特に2日目は、〈前の世代を超えろ！〉のフレーズが印象的な「キャラバンは眠らない」、中盤に差し掛かる「4番目の光」「毎日がBrand new day」「I see…」の流れ、後半の「僕は僕を好きになる」「ごめんねFingers crossed」「君に叱られた」という直近のシングル表題曲連発の流れに乃木坂46の“今”と“これから”が見えた気がしたし、その後の5期生楽曲「絶望の一秒前」や、3期生・佐藤楓がセンターを務めるアンダー曲「届かなくたって…」、新加入の5期生・中西アルノが中心に立つ「Actually…」といった楽曲には、この先を牽引していくことになる次世代メンバーに対する期待値がさらに高まった。

　だからこそ、ライブ本編のクライマックスに披露された「きっかけ」「サヨナラの意味」「君の名は希望」に、さらに心を鷲掴みにされた。バンド＋フルオーケストラの生演奏で披露されたこの3曲は、活動前期に“乃木坂らしさ”を音楽面で決定づけた名曲ばかり。「サヨナラの意味」では秋元、「君の名は希望」では齋藤と1期生センターで披露されたが、「きっかけ」では久保や遠藤などが存在感を放ち（と同時に、初日公演同曲での柴田柚菜の存在も忘れてはならない）、どの曲からも次の10年へ向けてこれらの楽曲を歌い継いでいこうとするメンバーの強い意志が伝わり、間違いなく乃木坂46史に残る名演となったと断言しておく。

　アンコールではグループ全体ツアーとしては7年ぶりの広島、および9年ぶりの北海道を含む全国7都市15公演におよぶ『乃木坂46 真夏の全国ツアー2022』の開催も発表。ツアーファイナルには実に3年ぶりとなる“ホーム”明治神宮野球場での3DAYS公演も予定されており、2日間にわたる日産スタジアム公演含め少しずつ日常が戻り始めていることを窺わせた。そんなうれしい新情報を前に、卒業生との再共演を含む夢のようなひとときは「乃木坂の詩」で終幕を迎える。節目のライブを終え、気持ちも新たにデビュー11年目に突入したことを受け、キャプテンの秋元は会場を真っ直ぐ見つめて「私たちはまだまだ歴史を作り続けて、新たな未来を切り開いていかなければいけません」と力強く宣言。続けて、「どんな困難も皆さんと一緒なら、乗り越えられると信じています。11年目もどうか、私たちの隣を歩いてください」と瞳を潤ませながらファンに告げて、2日間の祝宴は無事に閉幕した。

　ユニット曲を極力減らし、なるべく大人数でのパフォーマンスを心がけることで、多くの3、4期生の可能性を感じさせてくれた10回目のバスラ。齋藤は「君の名は希望」を歌う際「これからも乃木坂46の未来にはたくさんの希望があります」と力説したが、この2日間は卒業生を含む「10年間坂道をのぼり続けた」メンバーたちにとっての節目であると同時に、ここから始まる次の坂道＝ディケイドの入り口であり、その10年間を作っていく新生乃木坂46お披露目の場でもあったのではないだろうか。過去と未来をつなぐ“夢の扉”をくぐり抜けた彼女たちが、ここからどんな素敵な未来を描いていくのか、その歩みを見守りたい。

■セットリスト
乃木坂46『10th YEAR BIRTHDAY LIVE』DAY 1
2022年5月14日（土）日産スタジアム
00. Overture
01. ぐるぐるカーテン
02. おいでシャンプー
03. 走れ！Bicycle
04. 指望遠鏡
05. せっかちなかたつむり
06. 狼に口笛を
07. 制服のマネキン
08. でこぴん
09. 他の星から
10. バレッタ
11. 君の名は希望
12. ロマンティックいか焼き
13. ガールズルール
14. 気づいたら片想い
15. 夏のFree&Easy
16. 何度目の青空か？
17. ここにいる理由
18. 命は美しい
19. 僕がいる場所
20. 今、話したい誰かがいる
21. 太陽ノック
22. 悲しみの忘れ方
23. ハルジオンが咲く頃
24. サヨナラの意味
25. 裸足でSummer
26.きっかけ
27. 絶望の一秒前
28. ごめんねFingers crossed
29. インフルエンサー
30. 他人のそら似
31. I see…
32. スカイダイビング
33. 君に叱られた
34. ジコチューで行こう！
35. 夜明けまで強がらなくてもいい
36. 僕は僕を好きになる
37. Sing Out！
＜アンコール＞
38. 会いたかったかもしれない
39. ハウス！
40. 乃木坂の詩

乃木坂46「10th YEAR BIRTHDAY LIVE」DAY2
2022年5月15日（日）日産スタジアム
00. Overture
01. インフルエンサー
02. 逃げ水
03. いつかできるから今日できる
04. スカイダイビング
05. 三番目の風
06. 日常
07. 誰よりそばにいたい
08. キャラバンは眠らない
09. ジコチューで行こう！
10. 空扉
11. 帰り道は遠回りしたくなる
12. ありがちな恋愛
13. 夜明けまで強がらなくてもいい
14. Sing Out！
15. 4番目の光
16. 毎日がBrand new day
17. I see…
18. しあわせの保護色
19. シンクロニシティ
20. 世界中の隣人よ
21. Route 246
22. 僕は僕を好きになる
23. ごめんねFingers crossed
24. 君に叱られた
25. 最後のTight Hug
26. 絶望の一秒前
27. 届かなくたって…
28. Actually…
29. 制服のマネキン
30. 世界で一番 孤独なLover
31. 他人のそら似
32. おいでシャンプー
33. 夏のFree&Easy
34. 太陽ノック
35. 裸足でSummer
36. きっかけ
37. サヨナラの意味
38. 君の名は希望
＜アンコール＞
39. ガールズルール
40. ロマンスのスタート
41. 乃木坂の詩