モノンクル、言葉の持つパワーとイメージを追求した表現方法 これまでの道のりと新たなフェーズを語る

モノンクル、音楽的な変遷

「とにかく楽しいことをしたいなって思った」(吉田)

ーーでは、新曲「Higher」について聞かせてください。緻密で斬新なサウンドメイクと、吉田さんの身体性の高いボーカルの対比が素晴らしいなと。

吉田:ありがとうございます。

角田:この曲もプロジェクトの一環として制作させてもらったんです。僕らだけでは作り得なかったし、そういう意味では新機軸と言えるかもしれません。

モノンクル / Higher【MV】

ーープロジェクトというのは「SONY Xperia1 IV」のCMですよね。

角田:そうです。Xperia 1 Ⅳに搭載される音楽録音機能“Music Pro”とも関連しているんですけど、この“Music Pro”はレコーディングスタジオのクオリティをXperiaのなかで得られるというものなんですよね。“ロケーションフリーでいつでもどこでも録音できる”というところから、ボールを投げたときの放物線や空が思いついて「Higher」というイメージにつながりました。

Xperia 1 IV - Music Proコンセプト (モノンクル/Higher)

ーーなるほど。サウンドメイクについては?

角田:ヘッドフォンで聴いた時に初めて気づくようなサウンドや効果音も結構入っていて。そこに関しては、プロジェクト側から「こういう音を入れてほしい」という具体的なオーダーやアイデアがあったからで。かなり音のレイヤーが重なっているんですよ。もちろん、自分たちが好きなようにやらせてもらった部分もたくさんあるんですけど。

ーー楽曲の後半で、いきなりギターと歌になるパートも印象的でした。

吉田:曲の細部に至るまで完成度を高めないといけない……というか、そういう曲が溢れていると思うんです。けど、音楽以外でも整頓されたものに囲まれて生きていると、ふと人間味が感じられるもの、すぐそばで歌ってるような安心感が得られるパートを入れたくなったんですよね。

角田:その部分は家で歌ってるような雰囲気ですよね。それはロケーションフリーというテーマにも合っていたので。

ーー歌詞には〈何万回倒れても 近づく未来へ〉〈光に届くほどに今を〉など、ポジティブな意志に溢れたフレーズが並んでいますね。

吉田:「Higher」の歌詞に関しては、“説明をし過ぎず、言葉によるパワーを信じる”ということをコンセプトにして書いていきました。あまり文章にしないで、感覚だけで組み立てていくというか。それはこの曲に限らず、最近特に意識していることなんですけどね。

角田:一つひとつの単語の力をつなげるイメージですね。

ーーその変化はどうして生まれたんですか?

吉田:何だろうな……まず、とにかく楽しいことをしたいなって思ったんですよ。モノンクルは歌詞のテーマもサウンドも普遍性を追求してきたというか、とても良い意味で真面目だと思っていて。でもそれだけじゃなくて、面白くしたいなと思ったときに“言葉のイメージをつなげて歌詞にするのはどうだろう?”と考えたんです。まあ、それも真面目なんですけどね(笑)。別に笑わせようとしていないのに、あまりにも真面目すぎて面白い人みたいな……。

ーー確かに「Higher」の歌詞は、具体的なストーリーや状況はわからないんですけど、言葉のインパクトがしっかり伝わってきますよね。根底にあるのは“未来が輝くものであってほしい”というメッセージなのかなと。

吉田:そうですね。“信じる”ことが一貫したテーマなんですよ。希望のある未来があることを信じているし、リスナーのみなさんに対してもただ同じ人間として寄り添って信じている、ということを表明したいんですよね。

角田:「Higher」の歌詞について“説明くさくならないように単語の力をつないだ”という話をさせていただきましたけど、そこから生まれるイメージの連鎖が希望や信じることにつながればいいなと。

吉田:うん、そうだね。

角田:あと今思い出したんですけど、MVのなかに沙良がキッチンで歌っているシーンがあって。画面の隅に水差しが映っているんですけど、水泡が一瞬浮き上がるんです。それは演出ではなくて偶然だったんですけど、僕らが言葉を並べて説明する以上に「Higher」のイメージが映し出されているなと思って。やっぱり、イメージがすべてを伝えるんだなって感じましたね。

ーー「Higher」をライブで演奏するときは、どんなアレンジになりそうですか?

吉田:5月28日にブルーノート東京で行われる『LIVE With ensemble Vol.1 MONONKVL × Omoinotake』で初めて披露する予定なんですけど、弦楽器と一緒に演奏することになっているので、オリジナルのアレンジとはまったく違うものになります。自分たちのワンマンライブで「Higher」をどうやるかはこれから考えます。広い場所で歌うイメージもあるんですよね。

角田:そうだね。広いところへ音を広げる感覚というか。

ーー楽しみにしています。制作は今も続いているんですか?

吉田:やってます!

角田:すでにアルバム2枚分くらいは曲がありますね。あとはモノンクルのチームとしてベストなタイミングでリリースされれば、聴いてもらえると思います。

モノンクル「Higher」ジャケット写真
モノンクル「Higher」

■リリース情報
モノンクル「Higher」
2022年5月11日(水)配信リリース
ダウンロード/ストリーミングはこちら

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