内田真礼、伊藤美来、富田美憂……話題のアニメ彩る女性声優の歌声 楽曲と作品を引き立てる表現にも注目
4月からアニメ新番組がスタートし、新生活の楽しみのひとつとして多くの視聴者に癒しや刺激を与えている。女性声優によるオープニング/エンディング楽曲もアニメ作品に彩りを添え、楽曲とアニメの魅力とが引き立て合いながら、アーティストとしての表現にも磨きがかかる。
『社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。』(AT-X、TOKYO MXほか)のエンディングテーマ「聴こえる?」を歌うのは、内田真礼。社畜の伏原さんと、彼女を助けたい小さな幽霊が織り成すハートフルストーリーの同作は、まさに、環境を変えて働き始める人も多い春にぴったりな癒し系アニメ。そんなアニメの余韻を噛みしめるエンディングに流れるのは、穏やかな内田の歌声だ。
〈「なんでできないんだ?」と責めてばかりだったけど〉と歌うAメロから、〈「ねえ気付いてよここにいるんだよ」囁く声が背中を押したのさ〉と前向きな歌詞に変化するBメロに展開する序盤。歌詞とともに、リズムもBメロでポップなものに変化しており、アニメと照らし合わせればBメロで幽霊ちゃんが登場するかのような展開だ。歌詞で表現する感情がサウンドにもダイレクトに反映されており、曲調の振れ幅も楽しむことができる。
とはいえ一貫してブラスの音色が豪華かつ楽器数も多く賑やかな「聴こえる?」。華やかでありつつも温かみのある歌声が映えるバランス感や、シームレスなサビへの展開が親近感をもたらす。大々的な応援歌というよりも、傍にいてそっと背中を押すような楽曲だろう。内田はこの楽曲に関して「無理やり背中を押されると、その時に踏み出す一歩は苦しいものになってしまう。そうではなくて、ただ寄り添って一緒にいて一歩踏み出す瞬間を見守っている曲、そうなってほしいと思って歌っています」(※1)と語っている。歌からもサウンドからも、寄り添うような、包み込むような温もりを感じることができる1曲だ。
『古見さんは、コミュ症です。』(テレビ東京)2期のオープニングを飾っているのは伊藤美来の「青100色」。きらりとした音色と大太鼓の音と思しきダイナミックな幕開けに続く歌声が涼しげである。
“コミュ症”の古見とクラスメイトの只野を中心に、個性豊かな高校生活を描いたコメディである『古見さんは、コミュ症です。』。〈「わたしのままでいい」なんて未来 一緒に探してる〉という歌詞は、ありのままの姿で円滑に交友関係を築けない古見や、空回りすることの多い只野を表現しているようである。一方のサビは〈1cmずつ 恋に落ちる〉と甘酸っぱい恋心を表現。伊藤の透明感のある歌声で奏でられる純粋なサビは、後半〈大好きって気持ちを、ねぇ、もうこれ以上 どこにしまっておいたらいいの?〉と早口に語りかける。溢れんばかりの気持ちがひしひしと伝わるその部分に潜む初々しさや甘いニュアンスは、アニメで描かれる青春のひとときと一致する。なにより、ことあるごとに視線を集める古見の凛とした透明感のある佇まいが、楽曲の雰囲気とぴったり重なっている。
様々な青が表されたMVも曲名を体現しており、夏を先取りするような高揚感も感じることができる。これからの季節にもマッチする楽曲だ。