内田真礼、バラエティに富んだ演出と演奏で絶品のフレーバーをお届け 『Happy Cream Max』パシフィコ横浜レポ

内田真礼『Happy Cream Max』レポ

 2月20日、パシフィコ横浜国立大ホールにて『UCHIDA MAAYA LIVE 2022 Happy Cream Max』が開催された。

 開演前から、ステージ後方のモニターでは内田真礼がアイスの商品紹介をするCM風映像が放送されているなど、アイスクリームショップというモチーフをふんだんに取り入れたキュートなステージ演出がなされたこの日。一貫したコンセプトがありつつも、それぞれの楽曲にぴったりな演出で彩った。

 入店音のようなジングルが鳴ると、バンドと清掃員に扮したダンサーが登場。バンドセッションで内田が登場して「フラッシュアイデア」で開店すると、キュートな声色と弾けるような笑顔でオーディエンスを魅了していく。ドラムがノリを強調する「Girl is fun」で2曲目ながら緩急の付いた展開を見せると、ステージにはカフェを模したテーブルや椅子が配置されて賑やかな雰囲気が漂った。

 「みなさんようこそいらっしゃいませ! 看板娘の内田真礼です」と挨拶を挟むと、「+INTERSECT+」ではアイスを載せた銀色のトレーを片手で支えながらパフォーマンス。彼女のキュートな楽曲が視覚的にも可愛らしく彩られ、内田の歌声も弾む。「Smiling Spiral」では、スーツケース型のLEDに内田がスプレーを吹きかけるしぐさをすると、その動作に連動してLEDにアイスクリームのイラストが映し出される驚きの仕掛けも。さらに間奏では山本陽介(Gt)のギターソロが楽曲を盛り上げる傍ら内田が光るスケートボードに乗ってステージを横切る。コンセプトから派生した遊び心満載のステージがポップに炸裂した。

 見どころはステージ演出だけではない。山本、黒須克彦(Ba)、今井隼(Key)、鈴木浩之(Dr)、大串友紀(Per)というバンドメンバーと内田のボーカルで紡ぎだす演奏も絶品だ。

内田真礼『UCHIDA MAAYA LIVE 2022 Happy Cream Max』

 店内をイメージしたステージから一転してキッチンカーのセットで歌った「Shiny drive, Moony dive」では〈流しちゃえDJ PENKIをデカめで〉の歌詞から2015年リリースのアルバム、『PENKI』のメドレーへ。内田がランダムに曲名を言うと、バンドによるインストメドレーが展開する。のちのMCによると曲順は事前に決めておらず、その場の内田の気分で選んでいたそう。見事な対応力でメドレーを繰り広げたバンドメンバーに大きな拍手が送られた。

 

 「店内から外に出てきました! 公園です」と説明を加え、場面を変えた一同はアコースティック編成へ。内田はこれまでの明るい表情から一変、「カナリア」でアンニュイな表情を見せる。時折挟まれるキーボードのグリッサンドやアコースティックギターのソロが歌詞にならない感情を代弁するようだ。「君のヒロインでいるために」のアコースティックアレンジでは楽曲が元々持つ穏やかさがさらに強調され、内田の持ち前の明るさがじんわりと伝わるような優しいステージを作り上げた。

内田真礼『UCHIDA MAAYA LIVE 2022 Happy Cream Max』

 「本当にライブできてよかった~」と心から安心したように呟いた内田は「横浜でハッピーを大爆発させましょう」と「ストロボメモリー」を披露。夕暮れのような暖色の照明やアコースティックギターのぬくもりのある音色が、夕陽に輝く歌詞の記憶にリンクする。空まで突き抜けるように感情のこもった歌声が力強く紡がれ、〈今日は僕が一歩踏み出すから〉と決意を歌う。情景をまるごとパッケージングするようなステージと演奏が圧巻であった。

 バンドセッションを経て衣装チェンジした内田が登場すると、「ハートビートシティ」「ロマンティックダンサー」で華やかに盛り上げる。するとバンドがはけ、ステージには内田1人。EDM調の「アストラ」では内田の腕の動きがステージ中央から客席に向かって伸びるレーザー光の動きと連動し、「Change the world」では祈るように手を胸の前で組みながら壮大に展開していく。それまで賑やかに展開していたステージであったからこそ、幻想的かつミニマルな演出が胸を打った。

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