THE COLLECTORS 加藤ひさし、二度目の武道館を振り返る 開催までの葛藤、ステージ上で抱いた思いとは

加藤ひさし、二度目の武道館を振り返る

武道館のサイズに俺の歌が合ってるし、俺たちが合ってる

ーー前回の武道館はTHE COLLECTORSの30年を総括するライブで、今回は現在のメンバーになってからの5年強をしっかりと見せるライブにしたい、とおっしゃっていましたけれども。

加藤:うん。

ーー5年前の武道館と比べて、リズム隊のおふたりが馴染んでいたり、進化していたりという感じはありました?

加藤:めっちゃくちゃあるね。特にベースの山森(“JEFF”正之)、さらに良くなってるな。THE COLLECTORSっぽくなってるというか。彼とは付き合いはすごく古いんだけど、やっぱりやればやるほど、バンドが一丸となっていくのがこの5年で感じられたね。だからコータローが歌う曲(「マネー」)の紹介も、なぜか山森がするっていう。

ーーそう、あれはなぜ?

加藤:ライブハウスでは、「めんどくさいからおまえ紹介しろ」って言って、山森に紹介させてたの。「1000人クラス以上のホールになったら、俺がコータローを紹介する。1000人以下の時はおまえ」みたいなことをやってたんだけど、途中から「武道館も山森が紹介すればいいんじゃねえの?」ってなって。

ーーあと、「(エリック・)クラプトンとか永ちゃん(矢沢永吉)とか、普通にここ(武道館)できるんだよね? そうなりたいよなあ」っていうMCが、後半でありましたよね。

加藤:うん。

ーーあれが前回の武道館の第一声、「やっと身の丈に合ったところでやれたぜ」と同じような意味合いに感じられたんですが。

加藤:同じですよ。だって俺、絶対自分がいちばんよく見えるところは、武道館ぐらいの大きいところだ、そうじゃないと俺に合ってない、って常に思ってる。クアトロとかだと小さすぎるもん、自分にはね。自分の作った歌にも。実際歌ってみて、絶対みんな感動してると思ってるのね。やっぱりそれは、武道館のサイズに俺の歌が合ってるし、俺たちが合ってるから。その自信として、俺たちは後ろにモニタースクリーンを置かないもん。

ーー前回も今回もなかったですね。

加藤:そこに自分たちを映して見せなくても、俺たちは等身大のままで、でかいからね。洋楽のアーティストと一緒で、立ってるだけで充分って思ってる。だから(スクリーンを)入れない。武道館でスクリーンを入れてるの、外国のバンドで観たことないもん。Blurとかも入ってなかったし。そんなもん入れなくても、2階席のいちばん後ろから観たって、THE COLLECTORSはあのキャパぐらい全然いけますよ、っていう自信なんだよ。

ーー東京ドームになったら考える?

加藤:ドームは考えるね、さすがに。THE YELLOW MONKEYを観た時、すごい後ろの席だったんだけど、あれは見えないね。スクリーンないと遠すぎるね、やっぱり。

ーー「NICK! NICK! NICK!」の時、照明がウクライナ国旗の色になるという演出がありましたが、さっきスタッフとその話をしたら、加藤さんはご存知なかったそうで。

加藤:あれは照明の健太郎がやったことなの。歌ってるから見えないじゃない。ライブが終わったあとに、「ウクライナのカラーになって、感動しました」とか言われて、「なんのこと?」って思って。健太郎がそれをやってくれたのは、すごいうれしかった。「NICK! NICK! NICK!」は反戦歌だし。THE COLLECTORSを結成した時に最初に作った歌だからね。THE COLLECTORSは反戦歌からスタートしてるから。やっぱり戦争始めるなんて絶対良くないよ。今のウクライナの状況は。だから、声は上げたいよね。そういう意思表示を、俺が指示しなくても、照明が代弁してくれたっていうのはすごくうれしかったよ。

ーーあとひとつ、アンコールで加藤さん以外の3人が出てきて、Deep Purpleの「Burn」を途中までやったのは、ツアーとかで……。

加藤:いやもう、笑うしかないよね。

ーー(笑)。

加藤:ある時は「Burn」だし、ある時は「Whole Lotta Love」(Led Zeppelin)だし。「世界を止めて」の前に「Burn」とかやられると、すごい調子狂うんだけど。

ーー「あれ、やめてくれない?」とか、そういう話をしたことは?

加藤:ないですね。でも、あれを弾かれるとアガるよね。コータロー、適当なことばっかりやってるから、ステージでね。「それ武道館でやんのかよ?」と思って、ちょっとびっくりしたんだけど。小さなライブハウスで遊びでやるんだったらまだいいけど……どう思います? 「Burn」が聴こえてきて。

ーー武道館みたいな大きな会場って、音響も照明も全部プランが決まってるじゃないですか。だから、これは決め込まれた上での「Burn」なのか、それともアドリブなのか。

加藤:アドリブだよ(笑)。だから照明のスタッフとかもびっくりすると思うよ。まあでも、それがロックンロールかな、みたいな。

ーー加藤さんとコータローさん、おふたりのMCのあの感じは、ポットキャストだろうがライブハウスだろうが武道館だろうが変わらない、というのと同じだとも言えますよね。

加藤:そう。だから彼の中では、ドームだろうがクアトロだろうが、もっと小さいライブハウスだろうが、やってることはいつでもどこでも一緒だよ、っていうスタンスなんだよね。それは、いいよね。あれ聴いてると、時々「タマホーム!」って俺も歌いたくなるし。

ーーでは最後に、二回目の武道館に関しては、「コロナ禍なのにやれた」という、前回以上の困難をクリアする結果になりましたよね。ということは、当然、三回目もあるんだろうな、と。

加藤:どうなのかな? かなり疲れたんだよね、メンバーみんな(笑)。でもね、コロナが収まってくれればやりたいですよ。やっぱりさ、目標があったんだもん。その目標っていうのは、一回目の武道館は、チケットがあと6枚でソールドアウトだったの。当日券が150枚とか200枚とか売れたから、想定していたソールドアウト以上にいったんだけど、前売りチケットを入り時間にタイミングでイベンターの人に聞いた時は、「あと6枚だったんですよ」って言われて。僅差でソールドアウトできなかった。5年後はその6枚をリベンジで、ソールドアウトさせたかった。そしたらこの状況下で、客を半分しか入れちゃダメだっていう設定でしかできなかった。その6枚が売り切れる武道館っていうのを、一回はやりたいよね。「今日はソールドアウトだぜ!」って言って、演奏を始められるような。周年なのか、違うタイミングなのかわかんないけど。それはやりたい。

ーーこの武道館のWOWOWプラスでの放送もありますし、その後は東名阪のツアーもありますが、2022年のそれ以降の予定は?

加藤:今年はライブもありますけど、一昨年の11月に『別世界旅行〜A Trip in Any Other World〜』を出しているので。やっぱり2年に1枚は、ニューアルバムを出したいんですよ。だから、今年の11月後半ぐらいには新譜を出したいなって、今思っています。それを提げてツアーもしたいし。おもしろい曲を書きたいな、と思っています。

※1:https://realsound.jp/2021/11/post-910180.html

■放送情報
WOWOWプラス
『THE COLLECTORS 35th Anniversary "This is Mods"』
<放送日時>
2022年4月24日(日)21:00〜23:00
収録⽇:2022年3⽉13⽇
収録場所:東京 ⽇本武道館

WOWOWプラス

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