THE COLLECTORS、二度目の武道館公演 35周年の節目に目撃した現体制最高のステージ

THE COLLECTORS、二度目の武道館公演

 2014年1月12日の、怒髪天を皮切りに始まった、キャリア20年以上のベテランバンドが初めての日本武道館ワンマンに(普段の動員力を考えると無謀にもかかわらず)挑む、という流れ。あ、「無謀にもかかわらず」があてはまらないので、怒髪天の前のthe pillowsはカウントしていません。当時、「ああ、今のこの勢いなら余裕だろうなあ」と思ったし、実際そうだったし。

 ともあれ、その流れで武道館に立ってきたバンド、怒髪天、フラワーカンパニーズ、THE COLLECTORS、Theピーズ、そして今年1月3日のニューロティカ。そうした流れの中で、2017年3月1日のTHE COLLECTORSだけは、武道館の意味合いが違った、ということに、彼らのライブが始まった瞬間に気がついた。それまでは、一緒だと思っていた。大阪のフェス『OTODAMA〜音泉魂〜』のステージ上で、加藤ひさし(Vo)はフラカンから“武道館のバトン”を受け取ったし、フラカン以外もバンド仲間たちや各地のイベンターなどが応援体制を作ったし、当日はベスパの大群が武道館前を走り、加藤の地元、埼玉県熊谷市の八木橋百貨店が、日本武道館応援バスツアーを組んで会場まで乗りつけた。関係者もファンも一丸となって、この武道館を成功させよう、というノリだった。それまでの怒髪天やフラカンやTheピーズと同じように。

 もっと言うと、SEが止まってライブに入るタイミングで流れた、THE COLLECTORSの30年の歴史を振り返る映像を観ている時までは、そういう空気だった。

 しかし1曲目、「愛ある世界」が始まった瞬間、少なくとも僕は、愕然とした。「あれ? 普通だ! あたりまえにしか見えない!」と。そしてアンコールが終わったところで、思った。達成感、全然ねえ。普段と同じライブが、1本終わったようにしか感じられん、と。

 良くなかったわけではない。ライブパフォーマンスそのものは最高だった。しかし、そこに「よくここまで辿り着いた」とか「みんなで応援したかいがあった」とか、「THE COLLECTORSの歴史と私の半生を照らし合わせてしみじみ」とか、そういうドラマとか感動とかの付加価値が、ない。というか、いらない。そんな気持ちをくっつけなくたって充分すぎるほど充分な、クールで、余裕綽々なステージだったのだ。

 後日、このリアルサウンドのインタビューでその話をしたら、加藤も同意してくれた(※1)。MCでの第一声が「やっと身の丈に合うところでやれたぜ」だったが、あれは自然に出た言葉だった、と。他のバンドはライブ後に会場を押さえて大々的に打ち上げをやったが、THE COLLECTORSは、それもなかった。ベスパで武道館に来た加藤は、関係者への楽屋挨拶を終え、ベスパで家に帰ったという。雨の中を。

 というわけで、アンコールのラストの「恋はヒートウェーヴ」が終わった時、僕は思った。普通だった。あたりまえだった。ってことは、またやるな、武道館。

 その予想どおりというか、当然というか、その5年後に、つまり35周年の節目に開催された、2022年3月13日、二度目の日本武道館ワンマン。2021年11月27日の札幌を皮切りに回って来た『THE COLLECTORS 35th Anniversary “It’s Mod Mod World Tour”』のファイナルとも言える。

 今回もベスパの集団は走ったし、八木橋百貨店のツアーバスはやって来たが、THE COLLECTORSのステージそのものは前回以上に、ここでこうしてやっていることがあたりまえな感じだった。いや、ツアーファイナルとして位置付けたことにより、前回以上に“普段のライブの中の1本”感が、強まっていたかもしれない。

 前回もそうだったように、日本武道館なのにステージのメンバーたちを映すビジョンはなし。開演前のBGMがThe Jamの「Town Called Malice」になると、それに合わせて自然に客席から手拍子が巻き起こるのも、THE COLLECTORSのライブらしい。

 前回のバンドロゴのネオンに代わって設けられた、メンバー四人の頭上の、ターゲットマーク(モッズの象徴)をかたどった照明トラスも、非常に彼ららしい。ライブ中盤あたりになると、それが青・白・赤の本来の色で輝き始める。

 途中の演出で、The Whoのライブへのオマージュがあったのも、前回を踏襲していた(前回は「青春ミラー(キミを想う長い午後)」でレーザーを使用、今回は「愛ある世界」の照明が「Won’t Get Fooled Again」のそれ)。

 ただし、この二度目の日本武道館をやるにあたって、リアルサウンドのインタビューで加藤は「一度目はデビューから30周年だったので、30年間の代表曲をきれいに並べる、カタログみたいなライブにしたけど、今度の武道館は、今のメンバーになったこの5年のTHE COLLECTORSをしっかり見せたい」と語っていた(※2)。

 その言葉どおり、アンコールまで含めて全21曲のうち、「ヒマラ
ヤ」「全部やれ!」などの、山森“JEFF”正之(Ba)・古沢’cozi’岳之(Dr)が加入して現体制になってからの曲が、6曲を占めるセットリスト。特に1曲目が2021年11月に出たDVDボックス『Filmography』に収録された新曲「裸のランチ」だったことが、今のTHE COLLECTORSを見せるライブであることを、象徴しているように感じた。

 2020年11月リリースの最新アルバム『別世界旅行〜A Trip in Any Other World〜』のリード曲「お願いマーシー」が、「NICK! NICK! NICK!」と並んで、後半のピークポイントになっていたのも、同様である。なお、この曲は終演後のエンドSEとしても、武道館内に響きわたった。

 反面、「NICK! NICK! NICK!」のような定番曲以外にも、「ロボット工場」や「僕はコレクター」「僕の時間機械」などの超初期の曲も随所に織り込まれており、昔からのファンを喜ばせるセットリストにもなっていた。



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