ヒグチアイ、『最悪最愛』の楽曲をドラマティックに再現 バンド編成ワンマン東京公演レポート

ヒグチアイ、バンド編成ワンマンレポ

 後半は、『進撃の巨人』のエンディングテーマとして話題の「悪魔の子」、高速アルペジオとキックの連打が焦燥感を煽る「まっさらな大地」と、ドラマティックな楽曲を立て続けに演奏。特に後者は思わずシンガロングしたくなるようなコーラスが印象的で、コロナ禍とあってオーディエンスそれぞれが心の中で熱くシャウトし、その熱気が会場いっぱいに広がっていった。

ヒグチアイ(写真=Taku Fujii)

 さらに、東京に暮らす人々の群像劇を鮮やかに描写した「東京にて」、人生においての一期一会をヒグチならではの視点で描いた「劇場」を披露。「劇場」の後半ではひぐちけいがバグパイプのようなサウンドをギターで奏で、その音色とピアノが紡ぐオリエンタルなフレーズが聴き手の郷愁を誘う。本編ラストはドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』のエンディングテーマ「縁」。裏打ちのリズムが印象的なイントロを演奏すると、会場からは自然発生的にハンドクラップが巻き起こり、思わずヒグチも「さすがー!」と喜びの声を上げる。さらに、「家族のために書いた曲だけど、今日はあなたのために歌います」と呼びかけた。

 アンコールでは、東日本大震災からちょうど11年となるこの日、3月11日にライブをすることに触れながら新曲をピアノ1台で披露。シンプルかつ美しいメロディで〈僕には小さな夢がある〉と繰り返す、トラディショナルソングのような懐かしい曲調に思わず胸が熱くなった。

「元気じゃなくても、また会いましょう。今日は本当にありがとうございました」

 そう挨拶し、この日の公演は全て終了した。馴染みのメンバーとともに、自身の楽曲をドラマティックに再現したヒグチ。4月から全国を回る弾き語りツアーも楽しみだ。

ヒグチアイ(写真=Taku Fujii)

■セットリスト
1.やめるなら今
2.前線
3.サボテン
4.ハッピーバースデー
5.火々
6.距離
7.悪い女
8.悲しい歌がある理由
9.ほしのなまえ
10.悪魔の子
11.まっさらな大地
12.東京にて
13.劇場
14.縁

en.新曲

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる