ヒグチアイ、『進撃の巨人』EDテーマがバイラルチャート急上昇 アニメ映像と見事にマッチする力強く開放的な歌声
参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest
Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(2月3日公開:1月27日~2月2日集計分)のTOP10は以下の通り。
1位:GOT the beat「Step Back」
2位:Kep1er「WA DA DA」
3位:Jnr Choi & Sam Tompkins「TO THE MOON」
4位:ヒグチアイ「悪魔の子」
5位:JASPĘR「Hello」
6位:TAEYONG, JENO, HENDERY, YANGYANG, GISELLE「ZOO」
7位:Muni Long「Hrs and Hrs」
8位:imase「Have a nice day」
9位:ao「you too」
10位:Ashley Park「Mon Soleil from "Emily in Paris" Soundtrack」
今週は4位にランクインしたヒグチアイ「悪魔の子」をピックアップする。本曲は、1月9日より放送されているテレビアニメ『進撃の巨人 The Final Season Part 2』(NHK総合)のエンディングテーマである。『進撃の巨人 The Final Season Part 2』といえば、SiMが担当したオープニングテーマ「The Rumbling (TV Size)」が、1月29日付の米ビルボード・ホットハードロックソングチャートにて1位を獲得したことで世間を驚かせたばかりだが、「悪魔の子」も世界78カ国・地域のJ-POPランキングで1位を獲得している。「悪魔の子」が全編日本語詞であることを考えると、すごい快挙だ。
『進撃の巨人』は、2019年の時点でコミックスの紙・電子書籍での累計部数1億部を突破した漫画であると同時に、世界中に熱狂的なファンがいる日本屈指のグローバルコンテンツである。そのアニメ最終章が、前述した『進撃の巨人 The Final Season Part 2』である。原作の中でもハイライトシーンにあげられる“地ならしのシーン”が、アニメーションでどう表現されるのかも話題となり、放送前からこれまでのアニメシリーズ以上に注目を集めていた。そして楽曲もアニメ作品も、期待を超えたクオリティだった……さらに、オープニングテーマとエンディングテーマも見事なチャートアクションを収めている。
ヒグチアイは小学4年生の頃から作曲を始め、18歳で鍵盤弾き語りシンガーソングライターとして音楽活動をスタートさせた。3カ月かけて全国50カ所のツアーを行うなど、地道な活動を経て2016年にメジャーデビューしており、「悪魔の子」は今年1月10日にリリースされた10タイトル目の配信限定シングルである。ヒグチアイの武器は、ラフマニノフのように高速で変則的な楽曲も難なく弾きこなすピアノのテクニックと、その歌声にある。中低音域を得意とするアルトボイスは、独特の力強さがある。ファルセットやフェイク、ブレスなども非常に上手いが、とても自然で嫌味がない。ここから、自分の声質やテクニックを熟知した上で、あえてストレートに歌い、真っ向勝負していることが窺える。ゆえに、歌声にしっかり感情を乗せることができているのだ。ヒグチアイの歌声には、哀しさ、虚しさ、切実さ、葛藤などを含んだ、人間の渦巻く感情が表れており、曲調に関わらず、歌い出しの最初の一音から、聴く者の心を揺さぶり捉えて離さない。