ラストアイドルだけじゃない、コロナ禍が変えてしまった女性アイドルシーンの現状 活路見出す者も

 ラストアイドルが、5月31日をもって活動を終了することを発表した。2017年7月に始まった秋元康企画のオーディション番組から誕生し、同年12月にメジャーデビュー。アイドルシーンのなかでも人気はトップランクだった。公式よりアナウンスされた活動終了の理由は、コロナ禍で思うような活動ができなくなったこと。メンバーやグループの今後について総合的に考え、決断に至ったという(※1)。

 あゆみくりかまき、ポポロコネクトなど地上、地下でたくさんのアイドルが新型コロナの影響を受け、その結果解散を選択。また、直接的ではないにせよ、コロナも要因のひとつとなって解散したグループも存在する。

コロナで奪われた“アイドルイベントの醍醐味”

 アイドルたちの活動に変化が訪れたのは、2020年2月頃からだ。国内初となる新型コロナ感染者の死亡が確認され、同時期よりアイドルイベントでも感染防止対策がとられるようになった。間もなくして、グループ内での陽性者の有無にかかわらず多くのアイドルはライブ出演に慎重になり、ツアーなどの遠征も控え、イベントの中止・延期も相次いだ。

 ファンのライブ鑑賞の仕方も変わった。コロナ禍以前の女性アイドルのライブ現場では、ファンがそのパフォーマンスに合わせてコール、ミックスと呼ばれる掛け声をあげるのが楽しみ方の主流となっていた。そしてハードな曲調のアイドルのパフォーマンス時には観客間で激しい接触も発生。地下アイドルのライブでは特にその傾向が強く、筆者も、インディーズ時代のPassCode、BiSHらのライブで巻き起こるロックバンド顔負けのすさまじい盛り上がりを何度も見かけ、興奮していた。過度な身体接触や声援は賛否両論を巻き起こしたが、2010年代のアイドルブームの熱量の高さの象徴でもあったように思う。

 またコロナ前は、AKB48の“会いに行けるアイドル”というコンセプトが、アイドル自体を売り出すスタイルとしてシーン全般に定着していた。ライブ後に開かれる特典会でも、お目当てのメンバーとのチェキ撮影、握手など“接触”がお決まりに。ファンとの距離の近さが特徴だった。

 コロナ禍では、これまであったそうした“アイドルイベントの醍醐味”のほとんどが奪われる形になってしまった。ファンは、ライブ中の発声や他者との身体接触が禁じられ、ライブ会場側から「鑑賞時は指定された立ち位置を守って観客間の距離をとるように」とアナウンスされるようになった。筆者もこれまで数度、演者とファンがそういったルールを守りきれず、会場側が音を止めて厳しく注意する場面を見てきた。そして特典会でも、飛沫防止シートをはさんでチェキ撮影や会話をすることに。そういう様々なモデルチェンジに物足りなさを感じ、現場から足が遠のいたファンもいるはず。また、家族や職場への感染を防ぐためライブへ通うことをやめたり、頻度を減らしたりしている者も増えたのではないだろうか。

 さらに、ライブ会場ではイベント開催時、密を避けるために入場者数が制限されるようになった。これもアイドルには大きな打撃である。観客が減れば当然、主催する側・出演する側にも金銭的な面で影響が出てくるからだ。ツアーなどの中止・延期の際は、すでに抑えていた会場費や経費などをめぐって関係者が奔走することにもなった。多額の会場キャンセル代を負担した運営もいるはずで、コロナによってさまざまな面で収入減や支出のダメージを受けた。

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