乃木坂46、『乃木坂46時間TV』で早くも発揮された5期生の強い個性 中西アルノがセンターの新曲「Actually...」も初披露

『乃木坂46時間TV』5期生の強い個性

 続いて、『乃木坂46時間TV』のフィナーレ企画となるスペシャルライブの模様についても記す。2月20日放送の『乃木坂工事中』(テレビ東京系)で、29thシングル(3月23日発売)の新センターが5期生から選ばれたことが発表され、その新センターと最新シングル表題曲がこのスペシャルライブで初披露されることがアナウンスされていたこともあり、多くのファンがこのライブに注目していたことだろう。

 46時間配信達成まで残すところ1時間となった16時、「他人のそら似」からスタートしたこの日のライブ。乃木坂46のイメージカラーでもある紫をあしらった衣装で登場したメンバーたちは、グループ結成10周年を記念して制作され、過去のシングル曲の振り付けが散りばめられたこの曲でデビュー11年目の第一歩を踏み出した。続く「おいでシャンプー」では与田祐希の「46時間、最後まで楽しみましょう!」の言葉通り、メンバー全員が目一杯楽しんでいる様子が伝わる。その後も4期生が「キスの手裏剣」、3期生が「三番目の風」とそれぞれ期別デビュー曲を現体制で披露。リリース当時は11名だった4期生も現在は新4期生5名が加わったことで、さらに勢いが増していることが伝わるパフォーマンスを見せ、3期生は卒業生した大園桃子に代わり、吉田綾乃クリスティーがセンターを務めるなど、グループの新たな魅力を伝えていく。そんな中、1~2期生は合わせて7名という少ない人数で初期のヒット曲「走れ!Bicycle」を、満面の笑みで歌い踊ってみせた。

 続くMCでは、4期生の清宮レイが「5期生の加入を楽しみにしていたんです」と言って、「お見立て会」をこっそり覗いていたことを告げ、3期生の吉田は「三番目の風」でのセンター担当について「誰がセンターをやるのか全員でじゃんけんをして、私が勝って。もし次も披露することになったら、またじゃんけんで決めたいなと思いました」と裏話を明かした。

 その後、直前に配信された「ベストソング歌謡祭」でメンバー&バナナマンからの支持で1位に輝いた「日常」を、北野日奈子を中心に豪華な布陣で披露。気合いに満ちた北野の表情と切れ味鋭いダンスからは、この曲への強い思いが観る者にも伝わったことだろう。かと思えば、続く「口ほどにもないKISS」では阪口珠美がセンターに立ち、前曲でのシリアスさを柔らかな雰囲気に一変させる。

 アンダー曲2曲を経て、今度は山下美月センターの「僕は僕を好きになる」、遠藤センターの「ごめんねFingers crossed」と直近のシングル表題曲が続く。初期の代表曲を用意するのではなく、あくまで“今”を見せようとする姿勢からは、デビュー11年目への前のめりな思いが伝わる。そして、コロナ禍を挟んだことでリリース時以上に曲の持つ意味や重要さが大きく成長した「Sing Out!」で、スペシャルライブはクライマックスに突入した。

 21日から本日までの振り返り映像を挟み、ついに29thシングル表題曲を初披露する時間に。スクリーンには「かつてない歌声」「発見された新しい可能性」「10年目の挑戦」の文字とともに、ある5期生の姿が映し出される。ここで、次のシングルでセンターを務めるのが5期生の中西アルノであること、新曲のタイトルが「Actually...」だと明かされる。新衣装に身を包んだメンバーがステージに配置すると、最後に真新しい衣装をまとった中西が登場。「聴いてください、『Actually...』」と緊張気味の曲紹介に続いて、ついに乃木坂46、29枚目のシングル表題曲がお披露目された。

 新曲「Actually...」はサウンドや曲調的にこれまでの乃木坂46にないタイプの楽曲で、EDMを通過したモダンなダンストラックと、個性的な歌声を持つ中西のソロパートを大胆にフィーチャーした歌割りの異色作。ダンスも非常にコンテンポラリー色の強いもので、11年目の乃木坂46が過去のカラーにとらわれることなく、新たな勝負に出たことがダイレクトに伝わってくるものだった。もしかしたら、従来の乃木坂46を愛するファンには賛否激しいことになるのではないだろうか……加入間もない5期生をセンターに配置したこと、これまでの乃木坂46にないカラーを打ち出したことなど、いろいろな新しい面が否定されることはおそらく想定済みだと思う。なぜ中西が抜擢され、こうした新たなスタイルを選んだのか。その理由はここから先、きっと5月の日産スタジアム公演やその後のツアーなどを経て、初めて理解できると筆者は確信している。だから今は静かにその動向を見守っていきたいと思う。

 衝撃的な新曲初披露を経て、キャプテンの秋元真夏から感想を求められた中西は「私がここ(センター)に立つことに、不安に思う人がたくさんいるかと思います。ですが、乃木坂46の10年の歴史と、その名に恥じぬように精一杯頑張りますので、これからよろしくお願いします」と、途中で涙ぐみながらもその思いを口にする。これを受け、自身も途中からいきなりグループに加わった秋元が、彼女だからこその言葉で中西を支えていくことを宣言。続いて、与田や遠藤といった各期で初めてセンターに立ったメンバーも、2人ならではの視点で中西に優しい言葉をかけていた。

 こうして、『乃木坂46時間TV』は無事に46時間生配信を完走。最後は中西以外の5期生メンバーも加わって、「乃木坂の詩」にて新たな形でのスタートを切りつつ、スペシャルライブおよび5回目の『乃木坂46時間TV』を盛大に締め括った。

■セットリスト
『乃木坂46 5期生 お見立て会』
2022年2月23日(水・祝)
00. Overture
01. ガールズルール
02. インフルエンサー
03. 君に叱られた

『乃木坂46時間TV スペシャルライブ』
2022年2月23日(水・祝)
00. Overture
01. 他人のそら似
02. おいでシャンプー
03. キスの手裏剣
04. 三番目の風
05. 走れ!Bicycle
06. 日常
07. 口ほどにもないKISS
08. 僕は僕を好きになる
09. ごめんねFingers crossed
10. Sing Out!
11. Actually...(新曲)
12. 乃木坂の詩

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