Z世代華僑 MeiMei、MIYAVIと共振したグローバルな視点 壮大なサウンドスケープで届ける世界へのメッセージ

MeiMei、MIYAVIと共振したグローバルな視点

 18歳のZ世代華僑にして、中国語・英語・日本語のトリリンガル・シンガー MeiMeiが、MIYAVIをフィーチャリングに迎えた新曲「Strangers feat. MIYAVI」を配信リリースした。壮大なサウンドスケープ、鋭利に研ぎ澄まされたギターフレーズ、そして、大陸的と称すべきスケール感を備えたボーカルが響き合うこの曲は、ジャンルと国境を越え、早くも大きな反響を集めている。

 まずはMeiMeiのキャリアを紹介しておこう。2003年に日本で生まれた彼女は、中国国籍の“新華僑3世”。幼少期から日本、中国、オーストラリア、アメリカをはじめ11カ国で生活し、世界各地の文化や言語に触れながら育ってきた。当然、グローバルな視点や価値観を得る一方、自身のアイデンティティについて考えることも多かったはずだ。出会いと別れが交互に訪れる日々を支えていたのは、歌うこととSNSでの発信。16歳でアメリカ・南カルフォルニアの名門アートスクール アイデルワイルド・アーツ・アカデミーに進み、同世代の若きクリエイターと触れ合うなかで、アーティストとしての才能はさらに開花。発信されるボーカルパフォーマンスの映像がレコード会社のスタッフの目に留まり、2年間のレッスンを経て、昨年7月にワールドデビューを果たした。

MeiMei - FLOWER BOMB〜花炸弹〜 (Official Video)

 デビュー曲「FLOWER BOMB〜花炸弾〜」は、作詞をクリス・ハート、岡田マリア、作曲を澤田かおり、山森大輔が担当。いずれも海外と日本での生活を経験しているクリエイターであるということも、この曲のハイブリッド感ーーR&B、アジアンポップ、エレクトロが混ざったーーにつながっていると思う。3つの言語をバランスよく散りばめつつ、独創的なフロウに結びつけるボーカルを聴けば、シンガーとしての彼女のオリジナリティを実感してもらえるはずだ。

 2ndデジタルシングル「never ever」が、東南アジアで浸透しているストリーミングサイト「JOOX」でエド・シーランの楽曲と並んでプレイリスト入りするなど、海外でも大きな注目を集めているMeiMei。新曲「Strangers feat. MIYAVI」は間違いなく、彼女のさらなる飛躍のきっかけとなるだろう。

MeiMei - never ever (Official Video)

 シンガーとしても活躍しているSincere Tanyaが作詞、山森大輔とJiNが作曲を手がけた「Strangers feat. MIYAVI」は、空間を切り裂くようなフィードバック、美しいノイズが反射するギターフレーズからはじまる。そこに〈Strangers I can feel the Surrounding us〉というラインが響き、MeiMeiとMIYAVIのセッションが立ち上がる。トラックの軸になっているのは現代的なR&B〜ヒップホップだが、MIYAVIの火を噴くようなギタープレイ、クラシカルな弦が加わることで、ジャンルや時代性を超越した音像へと結実。楽曲が進むにつれて感情の色合いが濃くなり、激しく共鳴し合うMeiMei、MIYAVIのケミストリーも素晴らしい。

MeiMei - Strangers feat. MIYAVI(Official Video)

 “Strangers=見知らぬ人々”をモチーフにした歌詞も心に残る。名前も顔も知らない人からぶつけられる心ない言葉の数々に戸惑い、怒りを覆えながらも、“自分の本能に従い、前を向く”という意思を示したリリックは、現在のSNSの問題点を背景にしながら、すべてのリスナーの胸を強く揺さぶるはず。この歌に込められた思いは、複数の国で生活を送り、そのたびにStranger(=よそ者)な気分を味わったであろう二人のキャリアとも重なる。だからこそ「Strangers feat. MIYAVI」はこんなにもリアルな説得力を備えているのだと思う。

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