2021年のバイラルチャートを振り返る 和ぬか、INI……SNSやオーディションから生まれた多数のブレイクアーティスト

 さまざまな音楽チャートのなかでも、純粋にファンが聴いて共感、共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたSpotifyの「バイラルトップ50」は、とりわけトレンドを先取りしてきた音楽チャートである。まったく知らないアーティストや楽曲がしばしばランクインするチャートだが、あとになって思い返すとお茶の間を賑わす人気アーティストやヒット楽曲との最初の出会いが、このバイラルチャートだったということも少なくはない。言うなれば、トレンドの変化を真っ先に察知する新人アーティストの登竜門的存在だ。地震を予知して暴れ出すナマズのように、バイラルチャートの動きは、その後の音楽シーンの未来を予見する。昨年2021年もトレンドセッターとしていくつものブレイクやヒットをいち早く映し出してきたバイラルチャートの動きを改めて振り返ってみよう。

 2021年のバイラルチャートを語るにあたって重要なファクターは、大きく分けて「TikTokなどSNS発のアーティストによるヒット曲の続出」と「オーディション番組発の新興グループの活躍」の2つであると筆者は考える。

TikTokなどSNS発のアーティストによるヒット曲の続出

 TikTokやYouTubeを起点に一躍トップアーティストに駆け上がるケースは、YOASOBIの「夜に駆ける」のヒット以降、珍しいことではなくなった。この傾向は2021年も顕著で、新語・流行語大賞トップテンにも選ばれたAdoの「うっせぇわ」や音楽特番にも立て続けに出演している優里の「ドライフラワー」も、TikTokやYouTubeでの人気が火種となり2020年から2021年にかけてバイラルチャートを賑わせたアーティストだ。まさにバイラル(口コミ)によってリスナーを獲得し、気づいた頃には音楽シーンの最前線を走っていた、という典型パターンだろう。

 そのほかにも沖縄を拠点に活動するヒップホップクルー、SugLawd Familiarによる「Longiness」や、TikTokを中心に弾き語り動画で注目を集めた、えぬの「想無」、同じくTikTokから火がついた和ぬか「寄り酔い」、アジア系アメリカ人のインフルエンサー、ベラ・ポーチ「Build a Bitch」といった2021年にバイラルチャートにランクインしたヒット曲もTikTokやYouTubeなどSNS発のものが多い。このように数多くのヒット楽曲がスピード感をもってTikTokやYouTubeから生まれていることを考えると、2022年もまだ見ぬネクストブレイクアーティストがTikTokやYouTubeから続々と誕生することは間違いなさそうだ。

SugLawd Familiar (OHZKEY×Vanity.K) – “Longiness”
寄り酔い/和ぬか【Music Video】



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる