『ジャンプ』アニメが広げた“ロック”の豊かさ 米津玄師、Aimerら主題歌アーティストと作品の関係性
2019年〜2020年のJ-POPシーンを席巻したメガヒット曲「紅蓮華」「炎」は、LiSAのロックボーカリストとしての魂みなぎる楽曲だ。そして、彼女からバトンを引き継ぐようにして現在放送中の『鬼滅の刃 遊郭編』(フジテレビ系)でオープニング/エンディング主題歌を歌うAimerも、激しくほとばしるバンドサウンドの中で、蒼く燃えるような力強い意志を表現している。〈どんなに暗い感情も どんなに長い葛藤も 歌と散れ 残響〉(「残響散歌」)や、〈繰り返し 繰り返し 血を流すたましいが 夢を見るその先に〉(「朝が来る」)といった歌詞のメッセージと相まって、壮絶な戦いに臨むキャラクターたちの覚悟が、ロックサウンドの熱い高揚感と共に伝わってくる。なお、LiSA「炎」とAimer「朝が来る」は共に梶浦由記が楽曲提供&プロデュースを担当。『鬼滅の刃』の世界をロックのフィーリングに乗せて表現する上で、彼女が果たした功績は非常に大きいと言える。
今回はアニメ中心に振り返ってきたが、実写化された多くの『ジャンプ』作品の主題歌にもロックバンドが起用されている。『バクマン。』ではサカナクション「新宝島」が、『銀魂』ではUVERworld「DECIDED」、その続編『銀魂2 掟は破るためにこそある』ではback number「大不正解」、『BLEACH』では[Alexandros]が主題歌と挿入歌で「Mosquito Bite」「MILK」を提供するど、実写映画においてもアニメ同等に作品とリンクしたヒット曲が生まれている。(ちなみに『ジャンプ』をテーマにしたテレビドラマ『オー・マイ・ジャンプ! 〜少年ジャンプが地球を救う〜』のオープニング曲「MY HERO」を04 Limited Sazabysが手掛けたことも付け加えておく)。こうした数々のタイアップ楽曲は、第一に作品世界を彩るために生み出されたものではあるが、アニメや映画、ドラマをきっかけにしてアーティストの魅力を知り、ロックの世界へと足を踏み入れる人も多いはず。そこにこそ、アーティストが映像作品とコラボレーションすることの意義があるように思うし、だからこそ、こうした幸福な関係性が、これからも続いていってほしい。
※1:https://realsound.jp/2021/12/post-935426.html