新しい地図が活躍した2021年のテレビの世界 いかなる世の中でも輝く“不変のアイドルオーラ”
また、香取は5年ぶりに民放ドラマ出演となる『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』(テレビ東京系)で主演を果たし、主題歌でも新境地を切り拓く結果となった。バラエティでも渡辺直美と共にMCを務めた『ニッポンのレジェンド発掘SP さいしょの人はスゴかった!!』(日本テレビ系)に出演。「ドッキリかも?」なんて、まるで新人タレントが番組MCに抜擢されたようなコメントで笑いを誘ったシーンも。それは、香取が小学生のころにタクシーの運転手から言われた「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」という言葉を地で行く姿勢。キャリアを築いた先にこそ謙虚さを持ち合わせることで、人としての器が完成するのだと教えてくれた。
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そして、この年末も大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)で徳川慶喜役で視聴者の胸を熱くさせた草なぎは、言わずもがなその演技力を知らしめた1年になった。映画『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞を受賞した際にテレビで中継された「いろんな方向性はあると思うんですけど、1人ひとりの人生がよりよく自由に全うできるような作品作りと、人と人との関わりの中でこれからも自分の人生を全うしていきたい」というコメントは感動的だった。その後のインタビューでも「諦めずに続けてるといいことあるんだなと、人生捨てたもんじゃないなって思う。みんなも一緒に頑張っていこうねって」と熱く語った姿は、大きな時代のうねりを経験した慶喜と同じく、どんなに苦しくても、どんなに周囲から厳しい言葉が降り注いでも、腐らずにできることをコツコツと続けていくことこそ本当の強さだと教えてくれるものだった。
マスメディアの大きな声もソーシャルメディアの小さな声も、どちらにも偏ることなく見聞きし、自分の軸を持って生きていかなければならない今。2021年の3人は、テレビの世界もインターネットの世界もバランスよく出演し、この時代の流れと並行しているようにも見えた。個人の力では抗うことのできない流れは確かにある。だからこそ、その荒波の中でどのように自分らしさを保ち、周囲と共生し、人生を全うしていくのか。彼らの不変のアイドルオーラに、まだまだ混乱が予想される2022年も勇気づけられそうだ。