新しい地図が活躍した2021年のテレビの世界 いかなる世の中でも輝く“不変のアイドルオーラ”

 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が、新しい地図を広げてから4年が経った2021年の年末。振り返ればあっという間のようでありながら、彼らを取り巻く環境はもちろん、社会全体に漂う空気が大きく変わったように感じる。

 新しい地図をスタートさせた直後は、長年続けてきた地上波のレギュラー番組が次々と終了。10代から数々の番組に出演し、“テレビで育った”といっても過言ではなかった彼らが、その世界との距離を空けることになったのは、彼らを応援するNAKAMAたちにとってもショッキングな流れだった。“SMAP”という言葉さえどこか口にするのをはばかられ、あれほどの名曲を歌い届けてくれた彼らが「僕たちには持ち歌がない」という発言が出ることに胸が苦しくなったのを思い出す。

 しかし、彼らは立ち止まることなく、活動の場をインターネットという新しい環境に移すたくましさを見せてくれたのもこの時期だった。最初はファンと共に「SNSをどうやって使うのか」というところからスタートさせた。香取が「教えて世界」と質問を投げかけ、草なぎが「巻き込みリプ」を「巻き込みリップ」と言い間違えたのを微笑ましく見守っていたあのころ。草なぎや香取さえ知ることのなかった、稲垣の自宅の様子をさらりとブログに綴ったことへの驚きも懐かしい。

 どんなに難しい局面を前にしても、私たちが知っている彼らの“彼ららしさ”は決して枯れることなく、むしろ新しいことにチャレンジする煌めきのようなものさえ感じさせる日々だったように思う。その輝きを“アイドルオーラ”と呼ばずしてなんと言うのだろうか。きっと、アイドルとは世知辛く理不尽な世の中を生きる上で、「この人たちが頑張っているのだから、私たちも」と勇気をくれる存在なのだろう。

 アイドルを若くフレッシュな状態から見届け、共に成長していこうというタイミングはもちろんのこと、大人になり社会の厳しさをより実感してからもその存在に救われることは多い。その点、新しい地図を広げて以降の3人の歩みは、時代の変わり目とも感じる現代において、多くの人を勇気づける道標となったのではないだろうか。

 その力の必要性を感じたのか、2021年はテレビでの活躍も多く見られるようになった。稲垣はよるドラ『きれいのくに』(NHK総合)に出演。ミステリアスな雰囲気を醸し出した演技は、彼の持つパーソナルなイメージがあればこそだった。また、そうした持ち前の冷静でクールな眼差しを活かす形で『不可避研究中』(NHK総合)や『ほんとにあった怖い話』(フジテレビ系)などレギュラー番組を続けている。何年、何十年経ってもまったくブレない稲垣のスタイルに、“自分らしさを貫き続ける大人”として、憧れを抱く人も少なくないはずだ。

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