Runny Noizeが掻き鳴らす正統派メロディックパンク お笑いと音楽を両立する稀有なバンドの魅力

Runny Noize、笑いと音楽を両立する魅力

 大阪発の4人組バンド、Runny Noizeが12月1日に初のフルアルバム『HAKKIYOI!!!!!』をリリースする。なんだか見覚えのあるバンド名だな? と思った人もいるかもしれないけれど、それもそのはず。メンバーの洲崎貴郁(Vo/Gt)と山田健人(Vo/Gt)は、音曲漫才師のラニーノーズとしても活躍中で、一昨年「歌ネタ王」にも輝いた実力派だ。 改めて、“バンドマン”であることを前提にネタを見てみると、歌やギター、ラップのテクニックに耳が行ってしまうかもしれない。その一方で、Runny Noizeのアルバムタイトル『HAKKIYOI!!!!!』には、芸人らしいユーモアが感じられる。バンドと芸人をキッパリ棲み分けるのではなく、自然体で両立し、双方をナチュラルにクロスオーバーさせている、稀有な存在だと思う。

 さらにRunny Noizeは、芸人やタレントが音楽をはじめた、といったところとはスタートラインが異なっている。そもそも、バンドが最初だったのだ。洲崎と山田が短期大学で出会い、Runny Noizeを結成。そこからカナダに拠点を移し活動を行った――この時点で、かなり本気度が伝わってくる。さらに日本に帰国し、現在のメンバーであるフクシマテツヤ(Vo/Ba)、児玉とみー優也(Dr)が加入。コツコツと活動を続けながら、並行して洲崎と山田はラニーノーズを結成。二足の草鞋を履いてきたが、いつしかふたりの芸人の顔しか知らない人も増えていった。洲崎と山田にとって、バンドと芸人どちらがメインといった位置付けがあるのかどうかはわからないけれど、活躍前夜から続けてきたバンドのフルアルバムのリリースに、満を持してという思いがあることは確かではないだろうか。

 そのRunny Noize、どんな音楽性かというと、ずばりポップパンクである。『HAKKIYOI!!!!!』の収録曲のうち、4曲をサウンドプロデュースした亀田誠治も「今の音楽シーンにない、キラリと光るものを持っている」とコメントしていたけれど、確かに、これほどポップパンクを潔く鳴らしているバンドは、今は数少ない。そこには、彼らのルーツが関わっている。

 まず、さきほど、“カナダに拠点を移した”と書いたが、カナダには90年代末~00年代に一世を風靡したパンクバンド、SUM 41がいる。恐らく彼らは、SUM 41に憧れて、カナダに拠点を移したのだろう。ピュアすぎる! そして今も、その影響は息づいている。シンガロングしたくなる、明るくもほんのり切ないメロディ。カラッと突き抜けたサウンド。骨太なアンサンブル。流暢な英語も、恐らくカナダで育まれたところが大きいと思う。きっと彼ら自身が、今もピュアにキッズのままでいるから、こういった楽曲を生み出せるのだろう。

 さらに、Runny Noizeの魅力のひとつである、シリアスとユーモアのナチュラルなバランスに関して影響を与えているのは、アメリカで80年代から活躍するメロディックハードコアのレジェンド、NOFXではないだろうか。とは言え、NOFXは筆舌に尽くし難いほど幅広いことをやり遂げているバンドだ。様々なジャンルをスピーディーかつメロディアスに変換し、レーベルを立ち上げDIY精神を教示し、政治風刺恐れず、反骨精神に満ちたメッセージを発信する。それらにユーモアをちりばめるセンスが、NOFXは絶妙なのだ。だからRunny NoizeがNOFXをリスペクトしているというのも納得。『HAKKIYOI!!!!!』というタイトルも、見方を変えれば、海外のバンドが客観的に日本を見ているタイトルみたいだな、と思えてくる。日本のバンドで言えば、ELLEGARDENからの影響も感じる。海外のバンドに憧れ、そこと対峙できるほどのスケール感を構築しながら、日本語詞や日本的なメロディを取り入れることも忘れなかった彼ら。Runny Noizeは、メロディックパンクに日本らしさを取り入れるさじ加減をELLEGARDENから吸収した世代、なのではないだろうか。

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