ENVii GABRIELLAが語り尽くす個々の活動、ユニット結成そしてメジャーへ 「自分たちらしく皆さんのパワーになるように」

ENVii GABRIELLAインタビュー

エンガブに今までの経験を全部出す

ーー先ほど「High Heels」をTakassyさんが手掛けたという話も出ましたが、改めてこれまでの個々の活動について聞かせてください。

Takassy:17歳から音楽を始めていたんですが、シンガーとして歌い始めた頃は知り合いに楽曲を提供してもらってたんです。でも自分で作った方がいいなと思い、周りの作家やクリエイターの方の見様見真似で機材をいじり始めました。ずっと吹奏楽をやっていたんですが、自分がメインになっているところより、和音の中の一部になっている、調和しているというのがすごく好きで。ハーモニーになっているものがすごく好きだったから、(自分の音楽も)グループでやりたいと思い、いろいろ組んできたんですが全部ぽしゃって。ソロに戻ったりもしたんですが、このままやっていてもうだつが上がらないなと思っていた時に作家としての依頼が結構来るようになり、作家事務所に入ったんです。でも商業作家は本当に肌に合わなかった。無理やり捻り出したものでボツを食らうなんて、もう死にたい! みたいな感じでしたよ(笑)。やっぱり自分は表に出るのが向いているんだろうなと思っていたタイミングでHIDEKiSMとKamusに出会いました。

ーーKamusさんのプロフィール的には自衛隊にいたというのが鉄板のネタだとは思うのですが(笑)、何かを表現する欲というものがそもそもあったんですか?

Kamus:どうなんだろう? 高校生の頃、「早く寝ろ」って言われながら寝ているおばあちゃんの横で深夜に『スーパーチャンプル』というダンス深夜番組を見ていたんですね。かっこいいダンサーはもちろん、私が見たこともないようなダンスをやる方もいらっしゃって、その中に、面白いのにめっちゃダンスが上手くて話すと不思議な感じがある”ばい菌持ってる鳩”さんというユニットがいて。2人はダンスを踊って人を元気にしたり笑わせたりしているんだけど、ダンサーとしてもちゃんと評価をされているんですよ。こういうダンサーになりたいなって思ったのはすごく覚えてます。

ーーそこからのスキルアップはどんな風に?

Kamus:ずっと完コピです。できる範囲で真似て、友達と一緒に公園で練習して、学校の文化祭や地元のお祭りに出ていました。踊れそうな人をどんどん巻き込んで、結局10人ぐらいの女の子と一緒にグループを作り、高校卒業の時期のイベントなんかでは完コピしたダンスで踊り狂ってた(笑)。もともと人を笑わせたりしたいなというのはあったので、そのためのツールのひとつがダンスでした。

ーーKamusさんとHIDEKiSMさんは『笑っていいとも!』の「オネメンコンテスト」で一緒だったという繋がりもありますが、HIDEKiSMさんはソロ時代、どういう目標を掲げていたんですか?

HIDEKiSM:安室奈美恵さんや浜崎あゆみさん、倖田來未さんがもともと大好きだったので、いわゆるディーヴァというか、歌姫みたいなものに憧れていました。フロントに立ってピンヒールを履いて、ダンサーの子たちと一緒にパフォーマンスをしていたんですが、でもなんだろう? あまり受け入れられなかったのかなと思っていて(笑)。

Kamus:え、反省(笑)?

HIDEKiSM:やっぱりどこか変わり者扱いだったし、受け入れられなかったというかファンが増えなかったんですよね。なかなか芽が出ないパフォーマーだったなと思います。自分で言うのもなんですがキャラクター性はあったので、タレントとしてのお仕事が増え始め、オネエタレントの枠組みに入っていったんですよ。どうしても諦めたくなかったから音楽はやっていたけど、鳴かず飛ばずでした。

ーーでもソロ時代からHIDEKiSMさんを知っているシンガーの今福マサミチ(MICCIE)さんが、YouTubeの動画で「3人でいるのを見て一番しっくり来た。これをやるために今まで頑張ってたんだね」とおっしゃっていましたよね。あれはすごく印象的な言葉でした。

HIDEKiSM:自分でも、最近そう思うようになってきました。あ、私ひとりでボケてたんだなって(笑)。

Takassy:(笑)。

Kamus:誰もツッコんでなかったんだ(笑)。

HIDEKiSM:そうそう(笑)。だから(今は2人が)ツッコんでくれてる、いい空間なんだなって(笑)。

Takassy:やっと(笑)!?

HIDEKiSM:(笑)。でもほら、主観と客観ってまた変わってくるじゃないですか。だから今エンガブにいて、そのバランスが取れているんだなと思うと本当にありがたいなと思いますよね。でもその「これをやるために今まで頑張ってきた」っていうのは、私に限らないですよ。3人でもよく話しています。それこそさっきいろいろグループがぽしゃったって言ってたけど、それもここにたどり着くためにみたいなことはTakassyさんもよくおっしゃるし。本当に、今までの経験が全部このエンガブに注ぎ込まれて生きている感じ。隠す手札なんてねえぞ、全部出すぞぐらいなね。

Takassy:「なんかまだ持ってんじゃねーのかお前!」みたいな(笑)。

HIDEKiSM:「ちょっとそこでジャンプしてみろ」って(笑)。

Takassy:才能のカツアゲよね(笑)。

Kamus:“才能のカツアゲ”(笑)!!

HIDEKiSM:出し惜しみしません、みたいなね(笑)。

ーーなんだか治安の悪い話になってきましたが(笑)、ここからはエンガブ結成の頃の話を聞かせてください。ソロでの活動歴もある3人がグループを組むのは、例えば高校の同級生でバンドを組むのとはまた違った大人としての覚悟が必要だったんじゃないかと思います。

Kamus:私は最初「誘ってくれた、やったぁ」みたいな軽いノリで始めたんですが、お互いが密になるためにいろいろ話していく中で2人の本気度を改めて知り、「あ、わりとヤバいところに乗ったかも」っていうのがあった(笑)。

Takassy:(笑)。

Kamus:2人がちゃんとガチだったから「自分、大丈夫!?」みたいな。あれから4年、2人には今でもいろんなことを教えてもらっています。今回このメジャーというきっかけもあってさらに団結したというか、私もいろいろ捨ててきた荷物があるから、そういうことも踏まえてここから走っていくんだって思っています。1本の道しかない、それくらいの本気で走り始めた感じです。

HIDEKiSM:私は綺麗事を抜きにして、言葉を選ばずに言いますけど、この2人を使って稼ぐぞっていう気持ちでした。もちろん自分の手札も全て出し切って。まぁラストチャンスだと思っていた部分もあったので、とにかく3人とも“生活”をするぞと。それがイコール、売れるということかなと思っていました。音楽をやりたかったし、ピンヒールを履きたかったけど、とにかく私は歌いたかったから、歌を歌うためだったらもう何でもやろうってその時に決めましたよね。歌わせてくれるなら、全部イエスでやっていこうって。それは一つの覚悟だったかなと思います。

ーーかなり葛藤もあったのではないでしょうか。

HIDEKiSM:ありましたね。私はもともとフロントマンだったので、初期の頃は真ん中にリーダーを置くということへの抵抗がすごくありました。でもそこも文句は言わない。歌えるんだから。しかもTakassyの作品はすごくいいものだからって、とにかく自分に言い聞かせていました。でも自分のメンタルコントロールをするのがすごく大変だった時期もありました。

ーーTakassyさんは「これでダメだったら音楽をやめよう」という決意だったと伺っていますが、「Gimmedalight」や「My Business」など、楽曲先行ですでにイメージを固めていたんですか?

Takassy:私の作曲の仕方は、全部同時進行なんです。他の人はあまりしないと思うんですが、最初にタイトルを決めてから、その世界観を作り始めるんですね。作詞も作曲もアレンジも全部同時進行。歌入れも同時進行で、作りながらその都度修正していくみたいなやり方で。全部できた時には、そのステージの照明の色とか衣装とか、振りの大まかな雰囲気とか、1曲の世界観を完パケした状態で提出するんです。なので、まずHIDEKiSMに声をかけてOKが出た瞬間から曲を作り始め、最初に渡したのが「1.SEX 2.KISS 3.TALK」というミディアムな曲でした。これまで作ってきたオリジナルにはないタイプだったので、一か八かだったんですよ。HIDEKiSMがどう感じるかな? みたいな。でもすごく気に入ってくれて、イメージもすごく沸いたと。そこから「Gimmedalight」や「My Business」をポンポンっと作って、レコーディングしながら2人の中でイメージを共有していった感じでした。このユニットってこういう雰囲気だよねっていうのも出てきたので、同時進行でメンバーを探し始めたんです。それで2人の共通の知り合いだったKamusには「こういうオリジナルがあるから」って、まず曲を聴いてもらいました。Kamusもすぐイメージが湧いたみたいで、「やる」と言ってくれたんです。

ーー活動開始と同時にYouTubeもスタートさせたのはどういう思いからだったんですか?

Takassy:まずツールとしてYouTubeをやろうというのは最初からみんな思っていたので、内容をどうするかっていう段階で。私は、キャラ設定が重要だと思ってました。例えば、Spice Girlsって、5人とも全然違うジャンルの服を着て一見ユニットには見えないんだけど、パッと見ただけでその子がどんなキャラだかわかるし、それがヒットの要因にもつながっていたじゃないですか。Perfumeもそうですよね。3人とも髪型は絶対に変えないから、見てすぐにどのメンバーかわかる。私はそもそも『やっぱり猫が好き』(※フジテレビで放送されていたドラマ)がすごく好きだったので、この3人なら長女(Takassy)、次女(HIDEKiSM)、三女(Kamus)みたいな感じでキャラ設定できそうだなと思っていたし、ああいうシチュエーションコメディを一度やってみたいなというのもあったから、「こういうのやりたいんだけど」って2人に話したんですよ。でもそれっていきなりだと結構難しいから、やるんだったら最初はオネエによく求められる恋愛相談とかいいんじゃないのってことになったんです。

ーーコロナ禍ではYouTubeを始める人も見る人も一気に増えたと思うのですが、エンガブにとっても追い風になりました?

Takassy:コロナ前の“2すとりーと”とのコラボの時点でガンと増え、そこに"マリリン"とのコラボが続いて増えたので、コロナ禍でという実感はあまりないかな。

HIDEKiSM:ただ皆さんお家にいたから、反響は増えましたよね。

Takassy:登録者数以上に、再生回数が増えたね。

Kamus:コメント数とか。

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