雨のパレード、自然体で表現するバンドの本質 ライブへの特別な想いを鳴らした『TOUR 2021“ESSENCE”』ファイナル

雨のパレード、自然体で鳴らす本質

 「コロナ期間を経て、ライブに行かなくても意外と生活できるじゃんと思った人もいるかもしれない。でもやっぱり、ここでしか鳴ってないもの、音源とは違うアレンジ、音源では聴こえない帯域の音があって、体でしか聴こえない音を全部聴くことで、何か持って帰れるものがあると思う」と、福永がライブに対する想いを語り、ボコーダーを用いたインタールードを経て披露されたのは、大澤がグロッケンを、山﨑がオムニコードを演奏し、まさに「音源とは違うアレンジ」で仕上げられた「morning」。こうした情感たっぷりのバラードナンバーが今ではバンドの代表曲のひとつとなっていることは、海外の同世代と共振する先鋭的なサウンドメイキングの一方で、福永の歌心もまたバンドにとっての本質であることを証明している。

 「音源作るの好きだから、ライブやらなくても大丈夫でしょって最初は思ってたんだけど、いざこういう状況になると、ライブやりたいなと思ったし、ツアーの初日にステージに立たせてもらったとき、すげえ生きてるって感覚が全身を駆けめぐって、全細胞が喜んでたんです」と、福永がもう一度ライブに対する想いを伝え、ここで今回のツアータイトルにもなっている新曲「ESSENCE」を披露。「Override」よりも音数を削ぎ落とし、テンポを少し上げて、心地よく踊れるこの曲は、「生身のグルーヴ」が雨のパレードの本質であることを改めて伝える一曲。『BORDERLESS』と『Face to Face』という両極端な作品を経て、より自然体なモードに着地したような印象も受ける。

 「俺たちの人生で、雨のパレードの人生で、一番特別な曲を最後にやって、終わりたいと思います」と言って最後に演奏されたのは、インディーズ時代を締め括り、メジャーへの足掛かりとなった名曲「Tokyo」。「ESSENCE」とほぼ同じくらいのテンポ感が、もう一度バンドの体内BPMを示しているかのようだ。そして、繰り返された延期~中止を経て、やっと開催されたライブでの〈調子はどう?〉という呼びかけは、バンドとオーディエンスが直接コミュニケーションを取ることの素晴らしさを改めて伝えるもの。この日は雨のパレードというバンドの本質を再確認すると同時に、ライブという共同体験の価値を再確認する一夜でもあったと言えるだろう。ここでまだ僕らは、夢を見ている。

■ライブ情報
『ame_no_parade×BBHF Two-man live ‟Detune”』
公演日:2022年3月4日(金)
会場:Veats Shibuya
開場 / 開演:18:15 / 19:00   
チケット料金:【前売】¥5,500税込(ドリンク代別途必要 / 未就学児入場不可)
席種:整理番号付き・全自由

チケット発売スケジュール
【REGENLUFT会員先行】受付期間:10月29(金)21:00~11月7日(日)23:59
https://anp.bitfan.id/
【一般発売】 受付:2月19日(土)10:00~先着        
https://w.pia.jp/t/amenoparade-t21/

雨のパレード オフィシャルサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる