雨のパレード、自然体で表現するバンドの本質 ライブへの特別な想いを鳴らした『TOUR 2021“ESSENCE”』ファイナル

雨のパレード、自然体で鳴らす本質

 10月29日、雨のパレードが『ame_no_parade TOUR 2021“ESSENCE”』のファイナルとなる東京公演をEX THEATER ROPPONGIで開催した。東名阪で行われた今回のツアーは、彼らにとって実に1年8カ月ぶりの全国ツアー。EX THEATER ROPPONGIはもともと2020年の東京公演が開催される予定だったが、2回の延期を経て中止になってしまった会場であり、福永浩平(Vo)はそんな場所でやっとライブができたことの喜びを伝え、「今日は新たな一歩をここから踏み出すという意味で、すごく大事な日です」と語った。

 また、今回のツアーはアルバムのリリースタイミングではないこともあり、新旧織り交ぜたセットリストによって、ツアータイトル通りに彼らのESSENCE=本質を伝える内容に。その意図は一曲目にインディーズ時代の代表曲「new place」を持ってきた時点ではっきりと読み取ることができた。

 開演時刻を過ぎると、まずは大澤実音穂(Dr)と山﨑康介(Gt)がステージに現れ、大澤がビートを刻み出し、山﨑がギターでノイズを重ね、そこにサポートの雲丹亀卓人(Ba)とちゃんMARI(Key/ゲスの極み乙女。)が加わる(ちゃんMARIはメンバーと同じ鹿児島の出身)。そして、最後に福永が登場して、スネアのロールがセッションのピークを作り上げると、あの印象的なベースのリフが始まる。体全体を目いっぱい揺らしながら、エモーショナルに歌う福永の姿は、インディーズ時代にイベントへルーキーとして出演し、見るものに衝撃を与えたあの頃のままだ。

大澤実音穂

 続くパートでは一曲ごとに曲調が変わり、「Shoes」ではアナログシンセ、「1969」ではギターのカッティングと、山﨑が楽器を使い分けて職人ぶりを見せる2曲に続いて、スポットライトを浴びた福永の弾き語りから始まる「Dear Friend」では、うっすらサイケがかった90年代UKロックのようなスケール感が生まれる。さらに、「跳ぼう!」という合図とともに始まった「Ahead Ahead」では、ステージ上のメンバーもフロアのオーディエンスも一斉に飛び跳ねて、中盤のハイライトを作り出した。自由にジャンルを横断しつつ、それを混ぜ合わせたときに生まれる唯一無二のブラックカラーも、まさに彼らの本質だ。

 ライブ中盤では、ニュージャックスウィング風の軽快なビートに乗せて、「乗り越えよう」と前向きな意志を伝える新曲「Override」を披露。同期のパーカッシブなビートとスクラッチが非常に効果的で、コーラスによる高揚感も加わり、非常にライブ映えのする一曲だと感じた。4人時代はその音楽性に反して、アナログなまでに生演奏にこだわりを見せていたが、メンバーの脱退に伴い同期の使用を解禁した上で、さらにライブでは5人編成へと進化した現在の雨のパレードらしい、「生演奏+同期」の理想的な仕上がりだと言えよう。



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