湘南乃風、逆風に吹かれた時こそ一番いい形に 『風伝説 TOUR』待望の東京公演レポート

湘南乃風、東京ガーデンシアターレポ

 今年も夏が終わり、気温も右肩下がりになる中、10月25日の東京ガーデンシアターは夏真っ只中のような暑さを記録していた。延期が続いた湘南乃風『風伝説 TOUR 2020 四方戦風 ~ぶっ飛べ クソアツい 粋な祭り 頂け一番~』が開催されたこの日、待ちに待ったファンとメンバーの熱気と興奮がぶつかりあった。

 ライブはオープニング映像で開幕。虎の水墨画とメンバーが交互に映し出される映像は祭りの高揚を示しつつ威嚇するような彼らの強さを表現する。ステージ上部のモニターに登る赤い月を背に、ステージ後方に4つ並んだLEDモニターからメンバーが登場。「不死鳥」でファンを湧きたたせる。バックモニターでは炎が立ち上り、その迫力と輝度は本当に燃えているのかと錯覚し熱さを感じるほどだ。「俺たちの声聞こえてるか!」とHAN-KUNが煽り、ファンがタオルを掲げて応えると、なだれ込むように「Joker」へ。4人のマイクリレーによる突き上げるようなリリックとThe BK SoundのDJさばきで会場は熱を増す。「黄金魂」ではSHOCK EYEが〈「どうせ上手くいかないさ」〉と切なげに感情を込め、続く若旦那が〈昨日 ふと夢を見たよ 東京でみんなに会うこと〉と歌詞を変えて深い声で送り届ける。RED RICEの低音が響く〈生きて 生きて〉が大胆ながらも切実だ。

 若旦那が「タオルを持て、早くこいよ!」と煽った「GOLD」の冒頭でファンは一斉にタオルを振り回す。的確に盛り上げるメンバーのゆるぎない実力とそれについていくファンの信頼の厚さが垣間見える。HAN-KUNが語りかけるようにステージからファンをのぞき込み、RED RICEもファンを指さしてコミュニケーションをとる。目の前にファンがいる状態で心を通わせられることを最大限に楽しんでいた。

HAN-KUN
HAN-KUN

 すでに熱気で暖まり切った会場を爽やかな夏の暑さに変えたのは「Summers」。HAN-KUNと若旦那はステップを踏み、SHOCK EYEがスピーディなリリックを細かくニュアンスをつけたラップで歌い上げる。「夏足りない人両手を振って!」とHAN-KUNがさらにファンを夏に巻き込むと、ビートに乗せた「夏何してた?」というやり取りから「アリとキリギリス」へ。メンバー同士の砕けた雰囲気が垣間見えるユニークな楽曲に会場の雰囲気もゆるむ。

 レゲエ調の「全員集合」、「Real Riders」の冒頭から「Still Real Riders」に繋がり「四方戦風」へ。幾何学的な模様のモーショングラフィックが映されるモニターはビートと連動して動くことで臨場感が増す。地面を揺らすRED RICEの声、力強く表情豊かな声色の若旦那、メロディアスに曲を牽引するHAN-KUN、細かな味をつけるSHOCK EYEの歌声が戦国時代を彷彿とさせるビートに強調される。

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