『PRODUCE 101 JAPAN』歴代テーマソングを振り返る 物語の始まり、練習生たちの祈りを閉じ込めた“原点”

 〈君に託した/僕の夢のKey/君のその手で/運命を回して〉

新世界 (SHINSEKAI) | PRODUCE 101 JAPAN 新世界

 いよいよ、3月26日より配信スタートする『PRODUCE 101 JAPAN 新世界』(Lemino)。冒頭の歌詞は、スタートに先駆けて公開されたテーマソング「新世界 (SHINSEKAI)」の一節だ。いきなり著者の話になるが、私個人としては、サバイバルオーディション番組を観るのは好きだ。だが、積極的に“推し”を作って投票に励んだことはない。これまでの『PRODUCE 101 JAPAN』(以下、『日プ』)シリーズも、友人に「この子に投票して!」と希望された練習生に一票を投じるくらいの距離感で見守ってきた。同じように、これくらいの距離感でオーディション番組を視聴しているという人も少なくないのではないだろうか。

 だからこそ、冒頭に載せた〈君に託した/僕の夢のKey/君のその手で/運命を回して〉という歌詞に、ハッとさせられたのだ。ここで呼びかけられている〈君〉とは、ほかでもない視聴者、国民プロデューサー&SEKAI プロデューサーのこと。これまで、オーディションは画面の向こう側で起きている物語だと思っていたのに、〈君のその手で/運命を回して〉と歌われた瞬間に、私を含む視聴者はただの傍観者ではなく、“参加者”になるのだ。しかも、それは比喩にとどまらない。サバイバルオーディション番組の場合、視聴者投票によって、練習生たちの未来が本当に動いてしまうのだから。

【川尻 蓮(Kawashiri Ren)】福岡l~ツカメ It's Coming~l推しカメラ

 振り返れば、『日プ』シリーズのテーマソングは、その時々の練習生たちのカラーを映し出してきた。まず、JO1を生んだ『PRODUCE 101 JAPAN』(TBS系/GYAO!)のテーマソング「ツカメ 〜It's Coming!〜」。同曲にも、〈君は誰の Pick me up/君はいったい誰の手を取るの〉〈ここにいるよ/この手を取って/僕を頂上(トップ)へ/連れてって〉など、視聴者へのメッセージのような歌詞が登場するが、どちらかというと“託す”というよりも“自分で視聴者の手をつかむ”というイメージが強かった。

 とくに、何度も繰り返される〈つかめ!〉というフレーズは印象的だ。『PRODUCE 101』シリーズの日本版の幕開けを担った彼らには、前例のない挑戦のなかで、最初の成功例にならなければならないという責任感を背負っていたように思う。あとに続く人たちのために道を切り拓かなければならないという無意識のプレッシャーとも言えるかもしれない。その重みが、「ツカメ 〜It's Coming!〜」のまっすぐで青いエネルギーと重なって見えたのだ。

[木村 柾哉(Kimura Masaya)]Let Me Fly ~その未来へ~ 推しカメラ

 その後も、シリーズは続くが、INIを輩出した『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』(TBS系/GYAO!)のテーマソング「Let Me Fly 〜その未来へ〜」は、「ツカメ 〜It's Coming!〜」とはまた異なる空気をまとっていた気がする。「ツカメ 〜It's Coming!〜」が先に続く練習生たちの泥臭いまでの直球勝負を示すものだったとするなら、「Let Me Fly〜その未来へ〜」には希望を映し出すような、軽やかな雰囲気が漂っていた。すでにJO1という成功例が生まれているからこそ、“次男”に期待が寄せられるのは当然のこと。ゼロからの挑戦とはまた違うプレッシャーのなかで、どのように自分たちらしさを示していくのか――。そんな問いを背負いながら、それでも軽やかに羽ばたこうとする練習生の姿が印象的だった。

[Stage Clip🎙] INI (아이엔아이) - Let Me Fly~その未来へ~ | KCON:TACT HI 5

 ちなみに、『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』が終了し、INIの初めてのステージとなったオンラインコンサート『KCON:TACT HI 5』では、「Let Me Fly 〜その未来へ〜」を披露。このときの演出が非常にエモーショナルだったのを覚えている。パフォーマンスの前に、まだ何者でもなかった練習生時代の彼らの姿がスクリーンに映し出され、その映像が途切れた瞬間にスポットライトの下に立っていたのが、デビューを果たした11人だった。あのとき、〈Pick me up〉と呼びかけていた11人が、選ばれた存在としてステージの中央に立つ。彼らと視聴者の願いでもあった言葉が、証明へと変わった瞬間だった。

 また、2022年に開催された『KCON 2022 Premier』では、JO1とINIがともに「ツカメ 〜It's Coming!〜」と「Let Me Fly 〜その未来へ〜」をパフォーマンスをしたこともあった。同コンサートには、両オーディションをきっかけに結成されたOWVと円神(現ENJIN)、そしてOCTPATHも出演。『日プ』シリーズから生まれたグループが一堂に会する感慨深いステージとなった。“出発点”を共有する彼らが、デビュー後に別の名前を背負いながら、異なるステージで再会する。『日プ』という番組は、ひとつのシーズンで完結するものではなく、あくまでそれぞれの“始まり”に過ぎないのだということを物語っていた光景だった。

推しカメラ|YURA ( 安部 結蘭 )|新世界 (SHINSEKAI)

 テーマソングとは、単なる課題曲ではない。練習生たちの祈りを閉じ込めた“原点”であり、時間を重ねることで意味を更新し続ける楽曲なのだと思う。そう考えると、「新世界 (SHINSEKAI)』で〈君に託した/僕の夢のKey〉と歌っている彼らの声も、未来のどこかではまったく違う重みを帯びることになるのだろう。そして、今まで画面の向こう側の物語だと決めつけていた世界、その未来を回す“鍵”は、本当は視聴者それぞれの手のなかにあるのかもしれないと、あらためて思うのだ。

仲宗根梨乃&スヨン(少女時代)再会、ディーン・フジオカもエール 『PRODUCE 101 JAPAN 新世界』トレーナー・練習生勢揃い

サバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」の第4弾となる『PRODUCE 101 JAPAN 新世界』。…

YUMEKIがオーディション番組候補生/トレーナーの両方を経験して見えてきた、夢を叶えるために必要なこと

日本中が熱中したオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』(以下、『日プ女子』)にてダンストレ…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる