なぜK-POPはアジアと世界の境界線を越えられたのか? Coldplay×BTSなどコラボ曲が与える衝撃

 「音楽は、国境を越える」、こんな希望に満ちた言葉を信じたい。例えば、英国のロックシンボルで元The Beatlesのポール・マッカートニーとアメリカのポップアイコン、マイケル・ジャクソンのコラボレーションによって生まれた1983年の名曲「セイ・セイ・セイ」は、大西洋に大きな橋をかけ、音楽が国境を越えた瞬間と言えるだろう。同曲は米ビルボードシングルチャートで6週連続1位を獲得する大ヒットナンバーとして人々に受け入れられた。もちろん、The Beatlesのアメリカ進出、それ以前でもエルヴィス・プレスリーがイギリスで人気を集めるなど、英米間での音楽文化の行き来はあった。だが、ポールとマイケルによる英米を代表するアーティスト同士のコラボは、音楽が国境を越え、本質的に交差したという意味合いにおいて特にエポックメイキングな出来事だったと言えよう。

 とはいえ、イギリスとアメリカは、訛りの差はあるものの同じ英語圏。音楽が、とりわけポップミュージックが受け入れられるにあたって障壁となる言語の問題はほとんどなかったこともあり、「セイ・セイ・セイ」はそのポップミュージック史的な意義とは関係なく、自然と大衆に受け入れられたように思う。

 他方で非英語圏、特にアジアと欧米のポップミュージックにおける音楽的交流は、あくまで片方向的であった時代が長く続いた。日本では“洋楽”とひと括りにされた英語圏の音楽を違和感なく受け入れている一方、アジアの音楽が欧米諸国で紹介され、広く聴かれるようになった、というケースは少ない。坂本九「上を向いて歩こう(英題:SUKIYAKI)」が全米1位を獲得したという一部例外はあるが、DREAMS COME TRUEやB’z、宇多田ヒカルといった日本国内で絶大な支持を集めるアーティストも、英詞の楽曲を制作しては海外に向けてリリースするも、なかなかヒットには至らなかった。

 しかし、アジア発の音楽が世界で受け入れられづらい状況を打開したのが、K-POPだ。韓国の音楽市場は、日本よりも規模自体は小さく、韓国国内だけでのビジネスには限界あることがK-POPの世界進出を後押ししたとも言える。今では、世界で50億ドル以上の規模を誇るようになったK-POP。PSYの「Gangnam Style(江南スタイル)」が、2016年にYouTubeの再生回数最多記録を更新したことを皮切りに、世界の音楽シーンにおけるK-POPの存在感は日々増している。最近では、BLACKPINKのYouTubeチャンネルの登録者数がジャスティン・ビーバーを抜き、アーティスト部門にて世界1位を記録したことも大きなトピックだ。ちなみにアーティストにおけるYouTube登録者数トップ5のラインナップは、BLACKPINK、ジャスティン・ビーバーに次いで、BTS、マシュメロ、アリアナ・グランデというから、あらためてK-POPのファンダムが着実に形成されていることを感じる。



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