BLACKPINK、日本盤リリースを機に紐解く『THE ALBUM』第1回:USミュージックの色濃い影響、世界に向けて表明する音楽

「USミュージック×BLACKPINK」を紐解く

 BLACKPINKが、韓国ガールズグループ歴代1位となるセールスを記録した自身初のフルアルバム『THE ALBUM』の日本バージョン『THE ALBUM -JP Ver.-』を8月3日にリリースする。米ニュース週刊誌『TIME』にて「今年最高のK-POPソング10曲」に選定された「Lovesick Girls」、MVの公開から32時間で1億再生を突破した「How You Like That」などの4曲が日本語バージョンとして新録されており、さらに“国内盤”仕様として新たに12種類の形態が発表されたことでも注目を集めている。

 本企画では、JAPAN 1stフルアルバム『THE ALBUM -JP Ver.- 』のリリースに寄せて、収録曲それぞれが持つ特徴やエピソードを改めて解説。日本盤によって新たに発信される魅力を3つのテーマから紐解いていきたい。

 第1回は「USミュージック×BLACKPINK」。“彼女たちが世界に向けて表明する音楽”をライターの菅原史稀氏、ノイ村氏がそれぞれの視点で分析する。(編集部)

“メインストリームのポップミュージック”としての強度

 リリースから約10カ月を経た今、BLACKPINK『THE ALBUM』を聴くと、改めてメインストリームのポップミュージックとしての強度に驚かされる。初期よりトライ&エラーを重ねてきたUS由来のトラップビートを取り入れた“攻撃型”ポップソングの究極系とも呼ぶべき「How You Like That」や、アルバム曲として収録されつつもファンを中心に強い支持を集める「Pretty Savage」のような楽曲はもちろんのこと、「Love To Hate Me」ではビリー・アイリッシュの楽曲などで見られるような低音域を駆使した音像で魅せる楽曲もあり、初期より世界規模での活動を続けてきたBLACKPINKとしての一つの集大成、あるいは世界に対する声明のような作品と言えるだろう。

 今作におけるトピックの一つとして挙げられるのは、旧来のファンベースを超えた人々に自らのサウンドを届けるため、「Ice Cream(feat. Selena Gomez)」や「Bet You Wanna(feat. Cardi B)」といった現代のUSミュージックシーンにおいてメインストリームの最前線で活躍するポップアーティストとのコラボレーション楽曲を収録していることだ。これらの楽曲では、これまでBLACKPINKのチーム内で完結していた楽曲制作に対して、新たに世界的ヒット曲を多く手掛けてきたプロデューサー陣を招くという試みが行われており、特に「Ice Cream(feat. Selena Gomez)」では「thank u, next」や、「7 rings」など、アリアナ・グランデの楽曲を多く手掛けてきた音楽プロデューサーのトミー・ブラウンらがプロデュースを担当し、なんとアリアナ本人もソングライティングで参加している。同楽曲のMVはすでにYouTubeにて6億回を超えるほどの再生回数を記録しており、新たな試みについても多くのリスナーにしっかりと受け入れられていることがわかる。

BLACKPINK - 'Ice Cream (with Selena Gomez)' M/V

 また、「Lovesick Girls」ではダンスミュージックシーンの最前線で活躍を続けるデヴィッド・ゲッタがサウンドプロダクションに参加し、現在のポップシーンの主流となりつつあるハウスミュージックをベースとしたキャッチーなポップソングに仕上がっている。まさに夏を迎えた今こそ最高に楽しめる楽曲だ。本楽曲については8月3日にリリースされる『THE ALBUM -JP Ver.- 』に先行して日本語版が配信リリースされているが、オリジナル歌詞の音の響きや流れを損なうことなく絶妙に仕上げられている。このように新たに加わった日本語詞との違いを楽しむことでも、また新たな本作の魅力を感じられるはずだ。ぜひ、現代のポップシーンにおける一つの“基準”として本作を楽しんでほしい。(ノイ村)

BLACKPINK - 「Lovesick Girls - JP Ver.-」 MV

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