EXILEの20周年を振り返る 第3回:広がる活躍フィールド、AKIRA&TAKAHIROの加入で第二章開幕へ

EXILEの20周年を振り返る 第3回

 それから約2カ月が経った2006年6月6日、5人になったEXILEに新しい風が吹く。かねてよりRATHER UNIQUEのパフォーマーとして行動を共にしていたAKIRAが、新メンバーとして加入した。とはいえ、リーダー HIROとAKIRAの年齢は一回りも違い、MAKIDAI、ÜSA、MATSUもAKIRAが地元にいた頃からの憧れの存在。「加入当初は、自分が引っ張るというより、まずは『EXILEになる』という意識が強かったんですよね。それこそ寝る間も惜しんで、“EXILE AKIRA”になるために頑張らなくちゃいけなかった」「明らかにオリジナルメンバーとのあいだにレベルの差がありましたね。パフォーマンスはもちろん、人間としても。そこに追いつくには、他のメンバーが寝ているあいだに自分を磨くしかなかった」(※5)と、AKIRAは当時を振り返る。

 そんな彼と“唯一の同期”であるTAKAHIROが加入したのも、2006年のこと。AKIRAの加入発表と時を同じくして、新ボーカルを募集する『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』の開催が告知されると、全国から約1万人がオーディションに参加。現ボーカルのSHOKICHIや、今市隆二(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)、青柳翔(劇団EXILE)なども参戦しており、ファイナリストには、すでにCOLORとしてアーティストデビューをしていたTAKAや、かつて『ASAYAN』(テレビ東京系)のオーディションでATSUSHIのライバルだった、現ボーカルのNESMITHといった強者が顔を揃えた。そんな中、9月22日に日本武道館で行われた最終決戦で選ばれたのが、直前まで美容師として働いていたというボーカル未経験のTAKAHIROだった。HIROが「とにかく“華”が抜群にあった。それに、声がすごくよかったんだよね。俺のなかで“華”っていうものは絶対的に必要な要素だったし、TAKAHIROを見ていて、歌は練習すれば絶対に歌えるようになるだろうっていう根拠のない自信があった」(※6)と語るように、スキルだけを言えばまだ粗削りである。それでも、これから何色にも染まっていける歌声と素朴な佇まいが、未来への期待を煽った。そのステージで一生懸命歌った課題曲こそが、今も彼が丁寧に歌い繋いでいる「運命のヒト」。今となっては、HIROの“リベンジの根源”である日本武道館で、以前からEXILEの大ファンだったTAKAHIROが、〈今は 別々の道だけど 僕はすべてをうけとめる〉というATSUSHIの言葉を歌うことは、「EXILEはみんなの夢をかなえる場所」(※7)という“EXILE魂”を継承する儀式のようにも思える。そう、全てのピースが集まった時、EXILE第二章は幕を開けたのだ。

 だが、夢が叶った喜びを噛みしめる間もなく、新メンバーになった直後から分刻みのスケジュールがTAKAHIROを待ち受けていた。デビュー3日後には、音楽番組『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)の生放送に出演するというロケットスタートである。慣れない環境の中、オリジナルメンバーや頼もしい同期に支えられながら、“EXILE TAKAHIRO”の役割を必死にこなしていく日々。少しずつ周りが見え始めた頃、「僕の前にボーカルを務めていたSHUNさんの存在は大きくて、どうしても後釜だけに見られてしまう。何とか自分の色を打ち出さなければと焦ったり、EXILEの一員として自分がどう存在したらいいのか分からなくなってしまったり。重ねていく経験とは裏腹にどんどん葛藤ばかりが膨らんで、思うように歌えなくなる自分がいました」(※8)と、ふと足が止まった。みんなの夢を叶える場所であるEXILEが、夢を叶えたTAKAHIROに新たな試練を与えていった。EXILE第二章の幕開けとともに、TAKAHIROの長く険しい戦いが始まった。

EXILE タイムマシーン #1

※1:https://www.instagram.com/p/B9p9HpEAB_9/?utm_source=ig_web_copy_link
※2:著書『Bボーイサラリーマン』
※3:https://times.abema.tv/articles/-/8625418
※4:https://www.oricon.co.jp/news/67346/full/
※5:https://news.livedoor.com/article/detail/13298531/
※6:https://exile.jp/special/takahiro_special/exile_interview.php
※7:https://goetheweb.jp/person/article/20160204-exile
※8:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/heroes_file/198

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