HISASHIが語る、GLAYという“自由”が許される場所 『FREEDOM ONLY』はバンドの20年史的な作品に

GLAY HISASHIが考える“自由”

 2021年10月6日、約2年ぶり、16枚目となるオリジナルアルバム『FREEDOM ONLY』をリリースしたGLAY。HISASHI(Gt)が「気付けば、GLAYの20年史的な作品になっていた」と語る本作は、GLAYにしか奏でることのできないロックと叙情的なリリックーーまさに“GLAYサウンド”を堪能できる1枚となっている。

 今回のインタビューでは、アルバムの制作過程やこだわりについてはもちろん、アルバムタイトルにもある「FREEDOM(自由)」について、音楽とともにあった青春について、そして今生きているこの時代についてーーHISASHIの想いを聞いた。(新 亜希子)

「作品から外れた曲」ではなく「大事にしていた曲」

HISASHI(写真=池村隆司)

ーー今回のアルバムには、90年代に作った楽曲も収録されているんですよね。

HISASHI:「FRIED GREEN TOMATOES」ですね。ちょうど『pure soul』(1998年)のレコーディングの時に作ったんですけど、もともと「pride and soul」という曲だったんですよ。僕のiTunesクラウドの中にも「pride and soul」のタイトルで、2~3パターンのアレンジの違う楽曲として残っていて。これまであと1歩、手の届かなかったところをプロデュースで入っていただいた亀田(誠治)さんのひと押しで、今回ようやく作品化となりました。めっちゃくちゃGLAYの中でも大事な曲だったんですよ。「pure soul」とか「HOWEVER」と同じくらいの時に作っていた曲だったので。

ーーこのタイミングでのリリースには、何かきっかけがあったんですか?

HISASHI:うーん……ようやく表現できるようになったのかなぁ。やっとフラットな状態で曲を届けられるいうか。以前は「この曲はすごく特別だから、神がかったアレンジをしなければいけないんだ」といった呪縛のようなものがあったんですけど、「スッと出したらええやん」みたいな(笑)。そういう気持ちを作れたのには、コロナ禍も影響したのかもしれません。

ーー思い入れがあった背景には、どのような理由が?

HISASHI:GLAYらしさにピタッとはまって完成できた曲。「GLAYを音楽にするならば何?」って考えたとき、例えば「pure soul」だったりいろんな曲があるなかで、「FRIED GREEN TOMATOES」も入っていましたね、当時から。

ーーやはりアレンジにもこだわりましたか。

HISASHI:制作当時にこだわりすぎていたのはあるかもしれないですね。「Holy Knight」もそうかもしれない。10数年前のホールツアー中に、楽屋の隣に同じような大きさの部屋を用意してもらって、そこをレコーディングルームにしたんですよ。で、TAKUROと2人でリハ前とリハ後に入って、この曲のアレンジをして。本当、ライブの1分前まで打ち込みしたりギター弾いたり、TERUに歌ってもらったりして。

ーー「Holy Knight」も。異国情緒のあるアレンジが印象的な曲ですよね。そんなに前から温めていた曲だったとは意外でした。

HISASHI:そうなんですよ。こういう違った曲調がくると、また自分の中にない新たなアプローチが生まれてくる、当時はそういうのを面白がってやっていた時期なんですよね。例えば僕とTAKUROが6弦、12弦を使ったアコースティックっぽい曲もありましたけど。「チャレンジしたなぁこの頃は」っていう残り香が楽曲にも残っていて。さらに「Holy Knight」についてはいわゆるゴスメタルですよね。そういった側面が好きだったりもするので。

ーーHISASHIさんらしさを感じますよね。

HISASHI:そうですね。(編曲に参加した)YOW-ROWくんとは『hide TRIBUTE IMPULSE』で一緒に制作してから、GLAYでも参加してほしいなってずっと思っていたんです。なので今回、僕のアイデアで参加してもらって。彼に任せれば間違いないだろうと。

ーー音作りやアレンジ面で言うと、今回のアルバムで特にこだわった楽曲、あるいはピタッとはまったな、と感じる楽曲は?

HISASHI:まさに「Holy Knight」はもう。重厚感、「静と動」を棲み分ける緊張感、儚げな音。これがすごく世界を広めていて、どうにでもなれる曲だなと。「Tiny Soldier」は「Into the Wild」(2020年)の流れをすごく持っている曲ですよね。「4人でアレンジして一つの楽曲にするとどうなるんだろう」という。今の時代というものが全部絡まっているんですよね。コロナ禍や配信ライブ、そこで生まれた2曲なので。「Winter Moon Winter Stars」は、TAKUROから「HISASHIアレンジのバージョンが聴いてみたい」と言われた曲。すっごい古いTAKUROのデモテープを掘り起こしてアレンジし直したんですよ。90年代的な感じ。

ーー90年代と聞くと「漂えど沈まず」も、イントロからまさに「あの頃のGLAY」という印象を受けました。

HISASHI:この曲も古いです。今回は、今までさんざん自由にやらせてもらったGLAYというバンドへの感謝というか。今まで日の目を見なかった楽曲たちがようやく目覚める1枚かなと。だから「作品から外れた曲」ではなく「大事にしていた曲」なんです。どこか、時期を選んでたのかもしれないですね。

ーー今だからこそ出せた、大事な曲たち。

HISASHI:そうですね。トオミヨウくんやYOW-ROWくんとの出会いを経ていないと、今回こういった形には出来なかっただろうし。いろんな出会いと時代が、線となって繋がっている感じですね。

ーー楽曲のセレクトや構成は、メンバーで決めたんですか?

HISASHI:いや、今回はTAKUROに任せました。他にも候補曲はあったんですけどね。「SHINING MAN」とか、コロナ禍のリモートで一番最初に出来上がって、アルバムに入ることも少し意識していたんですけど、あれは「とりあえず曲を演ってみよう」という感じで生まれた勢い付けの曲でもあったので。気が付いたら「GLAYの20年史」といったアルバムになっていましたね。

ーー「コロナ禍だから出来たのかな」という言葉も何度かありましたが、HISASHIさん自身こういう時代を受けて、音楽への向き合い方について考えるところがあったんでしょうか。

HISASHI:まあ、最初のうちは強がってましたけどね。コロナ禍で、みんな声を発することが出来ない、騒げないというところで「GLAYは何が出来るか」っていうと、やっぱりダイナミックな音楽を奏でることしか出来ないと思ったので。僕らの作品は毎回わりと奇をてらうとか爪痕を残すとか、こう……「器の底に傷を付ける」みたいな(笑)、そういう作風が続いていたんですけど。今回はTAKUROの思いをストレートに形にしてみたいと思いました。

ーーHISASHIさんは、TAKUROさんが作る楽曲をどんなふうに受け止めていますか。

HISASHI:まずTAKUROという人自体、いろんな音楽が台頭するなか、自由に、好きなようにメンバーに演奏させてGLAYというバンドを開放していく、そういう風に見えます。今って窮屈だと思うんですよ、世の中は。傷つきたくないし、失敗したくないから置きにいっちゃうというか。みんな、そういう世の中を「おかしいな」ってどこかで思ってはいるけれど。そんな窮屈な時代にいかに自由でいられるか、いかにのびのびと音楽をやれるか、曲からはそういったメッセージを感じます。

ーーまさに、というタイトルの1枚になりましたね。そんなTAKUROさんの楽曲を演奏する上で、HISASHIさんが考えることは。

HISASHI:今回改めて20年前の曲から最近の曲まで「なんてフラットにアプローチできるんだろう」と思いました。古さとか新しさとか、もうそういう次元ではないというか。だから努力せず……いや頑張っているんだけども(笑)、「スッと演奏したらこうなる」というか。ただ、コード進行や譜割りに対してギターはどう出るべきなのかとか、どういうふうに音をおいたら強く伝わるのかとか、そういうことはけっこう考えていますね。

ーーGLAYの存在と音楽には、挑戦的でありつつも揺るぎない軸のようなものを感じます。HISASHIさんが考える、GLAYサウンドの軸とは。

HISASHI:『灰とダイヤモンド』というインディーズ初のアルバム、もっと言うとカセットテープを売っていた頃から、僕らの作品にはTAKUROとTERUの弾き語りの曲が入っていて、今回のアルバムにも入っているんですね。そういう、素朴というか朴訥というか、変わらない音楽を届ける姿勢がGLAYにはあって。90年代の頃も、曲選びにあたっては「アコースティックギター1本で成立するような楽曲を作れて初めてGLAYだ」ということを基準にしていたんですけど、今のところ、そこは軸としてブレていないですね。あとは、バンドを楽しく出来るか、というところ。

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