JO1、Snow Man、THE RAMPAGE、Da-iCE……勢い止まらぬダンス&ボーカルグループシーンの動向、各パフォーマンスから考察
THE RAMPAGE from EXILE TRIBE
THE RAMPAGE from EXILE TRIBEは、『VOCAL BATTLE AUDITION 4』など同時期に行われた複数のオーディション参加者16人で結成され、2017年1月にメジャーデビュー。グループ名が意味する“暴れまわる”を体現するかのようなワイルド感のあるパフォーマンスが特徴的といえる。デビュー当初はリーダーの1人であり、ダンス面でも核を担うLIKIYAの振付曲が多かったが、現在は複数のメンバーがメロディとサビなどパートを分割して振りを作ることも多く、表現できるジャンルやニュアンスの多彩さといった演出面の間口の広さを感じさせる。たとえば重厚な「SILVER RAIN」は、13人のパフォーマーそれぞれのパフォーマンスにハイライトを当て、パフォーマーによるラップユニット“MA55IVE THE RAMPAGE”のラップをフィーチャーするなど16人で繰り広げる組曲のようなパフォーマンスが圧巻の一作だ。
ヒップホップという大きなジャンルの中でもオールドスクール感のあるロック、攻撃性の高いクランプ、ロボットダンス風のポッピンなど“流派”の違うダンスを学んできたメンバーが、それぞれの得意ジャンルを活かした見せ方が特徴的なグループでもあるTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE。ダンスナンバー「13 SAVAGE」などは、“ジャンルの玉手箱“感が濃厚に漂う1曲だ。
またメンバーのインタビュー(※1)によるとリリース当初は特に意識していなかったそうだが、レゲエやラテンフレイバーの強い「LA FIESTA」「Fandango」が幅広い層に人気を博し、名刺代わりと言える楽曲になったという。レゲエ発祥の銃を構えるような“ガンフィンガー”を多用するなど、エキゾチック感濃厚なダンスがハマるのも彼らの持ち味といえる。前述した2曲での経験をより洗練させた形で打ち出した“エキゾチック最新型”が、シンクロ率の高いダンスにガンフィンガーを組み合わせた最新シングル曲「HEATWAVE」でのパフォーマンスだ。
Da-iCE
最後に取り上げるのが、2014年1月にメジャーデビューした5人組・Da-iCEだ。インディーズでの活動期間も含めると2010年代初頭からダンス&ボーカルシーンを盛り上げてきた立役者の1組で、大所帯グループが多くなった昨今では異色とも言える存在だ。グループ加入前はそれぞれ“踊らない”ボーカリストとして活動していた花村想太、大野雄大をツインボーカルに据え、結成当初から歌唱力の高さは折り紙付きだった。この9月には、「THE FIRST TAKE」でも披露し、超高音キーのサビが耳に残る「CITRUS」が、日本人男性のダンス&ボーカルグループとしては初の快挙となるストリーミング総再生1億回を突破。ゴスペラーズの黒沢薫らプロのアーティストを含む同曲の“歌ってみた”動画が多数登場するなど熱い注目を集めている。
彼らとデビュー前から関わりがあり、初期からの楽曲の振付を主に担当してきたのは、世界的に活躍するダンサー/振付師チーム・s**t kingzの面々。先述の「CITRUS」の振付もshojiが手掛けている。s**t kingzでもメンバーそれぞれ得意とする振付のニュアンスが異なるが、そんな4人がDa-iCEのために力を合わせて制作したのが、マイクスタンドを駆使した「FAKE ME FAKE ME OUT」。メンバーはさらりと踊って見せているが、5人中2人が歌いながら踊る楽曲としてはかなり高難易度の振付と言える。
キャリアを積んできたため、サウンド面でもインディーズ時代のEDMからファンクやシティポップなど、年々間口を広げてきている。さらに、近年ではソロアーティスト・claquepotとしても活躍するリーダーの工藤大輝をはじめ、メンバーが制作に関わったバンドサウンドの楽曲も増加。“ダンスボーカルといえばEDM”というシーンの傾向に対して、ボーカリスト2人の歌をきちんと聴かせられる楽曲をメンバー自身の考えで選んできたという(※2)。
そして歌とダンスの高いスキル“以外”のカードも持つ彼らが、ロックサウンド的なアプローチでパワフルに魅せるのが8月にリリースしたシングルのリード曲「Kartell」だ。デビュー当初はしなやかで洗練されたLAスタイル系のダンスを打ち出した楽曲が目立っていたが、キャリアを重ねてどこか荒々しいまでの爆発力を秘めたパフォーマンスで予想を裏切ってくるのも痛快だ。
たいていのグループにはダンス(パフォーマンス)リーダーがいるものだが、今回挙げた4組にはそれぞれダンスや楽曲面だけでなくカメラワークや衣装、照明といった細かい演出面に関してもプロデューサー的視点を持つメンバーがおり、自分たちのパフォーマンスやライブをセルフプロデュースできる力を持つ点が共通している。冒頭に挙げた新鋭のグループたちもそのような伸びしろを感じさせる部分があり、今後ますますシーン全体に面白いうねりが出てくるのではないだろうか。
※1:https://realsound.jp/2019/10/post-437562.html
※2:https://rockinon.com/interview/detail/199792?page=1" https://rockinon.com/interview/detail/199792?page=1