Dragon Ashが提供曲に込めた『ヒプマイ』のシリアスさと熱狂 最終局面迎えた2nd D.R.B最新作を紐解く

 音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』(以下『ヒプマイ』)の最新CD、『ヒプノシスマイク –Division Rap Battle- 2nd Division Rap Battle 「Buster Bros!!! VS 麻天狼 VS Fling Posse」』が、9月8日にリリースとなった。

 大盛況だった8月のライブに続き、今回のCDリリース、また来月には初の試みであるVR BATTLEでの投票も控え、2度目のDivision Rap Battleシリーズは佳境を迎えている。

 今作に収録された新曲「SHOWDOWN」は、決勝に進出したBuster Bros!!!、麻天狼、Fling Posseよる三つ巴のファイナルバトル曲だ。著名なアーティストたちが毎回参加することで話題だが、今回はDragon Ashが楽曲を提供。8月に開催されたライブにもゲスト出演したことで話題となり、リリース前から注目と期待を集めていた。

 元来、Dragon Ash自体がミクスチャーロックバンドとして、多彩な表情を持ったアーティストだ。キャッチーなメロディでヒップホップをチャートに根付かせた過去の実績はもちろん、観客を奮い立たせるようなハードコアサウンドにも定評がある。一方で、抒情的な風景を歌詞に織り込むことも得意とし、それぞれの要素で熱狂的な支持者がいるほど。つまり、ジャンルや傾向を一言では表せないバンドなのだ。今回の楽曲提供は、そんな彼らの新たなチャレンジという見方もできるだろう。

 「SHOWDOWN」は、地の底から響くようなバンドらしい重みと生々しさのあるトラックがバトルのシリアスさを体現しており、決勝の熱量とうまくシンクロしている。また、歌詞の内容も2ndバトルとしての深みが増し、攻撃的なリリックを繰り出すだけではなく、各キャラクターが己の在り方を語り、それを受け相手を理解した上で自らの力を示す。そんな熱い戦いの中で生まれた共通の決意は、美しいメロディのサビで集約される。ダークな空気が漂いながらも、最後には光が射すようなドラマ性は、ここまで数々の苦難を乗り越え物語を紡いできた各キャラクターたち、ミクスチャーというジャンルを牽引してきたDragon Ash、そして同コンテンツに深く携わり、今作を共作したinvisible mannersとのコラボレーションだからこそ生まれたと言える。

ヒプノシスマイク 2nd D.R.B Final Battle CD バトル曲「SHOWDOWN」Trailer

 リリースのたびに作家・アーティスト陣のセンスやキャラクターの個性、声優陣のパワーが化学反応を起こし、ストーリーと音楽がさらに深まるという唯一無二の形を確立した『ヒプマイ』だが、今回もDragon Ashのカラーが最終決戦の緊張感やシリアスな空気が融合した、見事なコラボレーションとなった。

 2曲目に収録されている「Hoodstar +」は、2019年発売の1stアルバム『Enter the Hypnosis Microphone』に収録された12人による「Hoodstar」に、新たにナゴヤ、オオサカの6人のパートを追加した一曲だ。

 これまでもDivision All Starsの楽曲は新ディビジョンを加えて再リリースされており、そのたびにファンを喜ばせてきた。もちろん、1stシリーズの集大成の楽曲として、またその完成度の高さゆえ、12人バージョンの「Hoodstar」に対して思い入れの強いファンも多いだろう。だが「Hoodstar +」を聴いてみると、今回も単なるパート追加に留まらず、グッと厚みを増した新たな一曲に仕上がっていることに驚かされる。ナゴヤとオオサカの強烈な個性がトラック、リリック両方に反映され、18人の声がサビで分厚く重なることでさらなる迫力が足された。

ヒプノシスマイク Division All Stars「Hoodstar +」

 「Hoodstar +」はバトル曲や各ディビジョンの曲とは一味違い、ラップという表現から得られる喜びや楽しさに満ち溢れている楽曲だ。そこにナゴヤとオオサカのパートが加わったことで、その喜びがより一層強く感じられるのである。『ヒプマイ』というコンテンツが、ラップの楽しさ・声優の表現力の素晴らしさを広く知らしめてきたことを象徴するようなアレンジだ。

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