トータス松本、MOROHA アフロ、あら恋 池永正二らも参戦 次のフェーズへ向かう『ヒプマイ』2nd D.R.B各楽曲を聴き解く

ヒプマイ
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 2nd D.R.B Fling Posse VS MAD TRIGGER CREW』

 音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』(以下『ヒプマイ』)。その“ディビジョンラップバトル“の第2シリーズとなる2nd D.R.Bの展開がいよいよ始まった。

 2018年に第1回大会が行われてから様々な展開を見せてきた『ヒプマイ』だが、ディビジョンラップバトルこそ物語の根幹を成し、投票によってファンも物語に参加できるという点においても、待望のイベントである。今年1月に配信された声優らによる6thライブではネット投票が行われ、連日ヒプマイ関連のワードがTwitterのトレンドを賑わせたことも記憶に新しい。

 続いて2月から3月にかけ、2nd D.R.Bシリーズの原作CD『どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!』『Bad Ass Temple VS 麻天狼』『Fling Posse VS MAD TRIGGER CREW』の3作がリリースされた。これらは、第1回大会の予選同様、まずバトル曲で2ディビジョンの熱い戦いを浴び、各ディビジョン曲でそれぞれの心情やカラーを感じ、ドラマトラックで楽曲の裏側にある思いや事象を知るという構成のEPだ。参加ディビジョンも増え、キャラクターの人間関係や物語の伏線なども複雑になったこともあり、この構成が2nd D.R.Pになってからより効果的になったように感じられる。

 特にプロジェクト開始時から登場している4ディビジョン、イケブクロ・ヨコハマ・シブヤ・シンジュクの音楽的な深化と変容には、度肝を抜かれた人も多いのではないだろうか。

イケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”「Re:start!!!」Trailer

 Buster Bros!!!「Re:start!!!」は、これまでのイケブクロらしい疾走感やパワーといった武器を排除したメロウな一曲だ。兄弟ならではの新たな関係性の構築によって、より成熟した姿を見せた。

 前回王者・麻天狼の「TOMOSHIBI」は、強さと熱さを携え独特の存在感を醸し出している。DJ KRUSHによるダークな中に煌めきを感じさせるトラックに、シンジュクのカラーが調和した楽曲だ。

シンジュク・ディビジョン“麻天狼”「TOMOSHIBI」Trailer

 Fling Posseが奏でる「Black Journey」は、美しくも複雑なイントロから衝撃的だ。カラフルさやポップなスタイルを排しても、シブヤらしい絆が心に響く名曲である。

 MAD TRIGGER CREWの「HUNTING CHARM」は、ヒップホップユニット・ICE BAHNによるもの。複雑で鋭い見事なライミングは、パワーアップしたヨコハマの結束力を存分に表現し強い印象を残す。

シブヤ・ディビジョン“Fling Posse”「Black Journey」Trailer
ヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”「HUNTING CHARM」Trailer

 苛烈なまでに個性を放つ彼らだからこそ、下手をすれば、時を経てマンネリ化してしまうことも十二分に考えられる。だがいずれの楽曲も、彼らの個性を光らせながらも既存のイメージを打破し、新たな魅力が見事に引き出されている。そして私達は幸運にも、楽曲の後に配置されたドラマトラックによって、楽曲の背後にある彼らの心情や事象を知ることができる。違和感や目新しさの理由が明かされたあとで再び楽曲を耳にした時、カタルシスにも似た感動が生まれるのである。

 もちろん、ディビジョンラップバトル初参加のナゴヤとオオサカの楽曲も負けてはいない。トータス松本による楽曲・どついたれ本舗「笑オオサカ!〜What a OSAKA!」(作詞はSHINGO★西成と共作、編曲はウルフルズ&菅原龍平)は、ローカル色あふれるリリックとキャッチーなファンクサウンドが、キャラクターと見事にマッチした楽しい一曲となっている。オリエンタルなダブサウンドにそれぞれのリリックが冴え渡るBad Ass Temple「開眼」はMOROHAのMCアフロが作詞、作編曲をあらかじめ決められた恋人たちへの池永正二が手がけたもの。どちらもコンテンツに新たなテイストを加え、存在感を示している。

ナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”「開眼」Trailer
オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”「笑オオサカ!~What a OSAKA!」Trailer

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