稲垣吾郎、草なぎ剛・香取慎吾と共に歩み続けられる理由 小説家 平野啓一郎との対話から導かれた感情とは

 「死」を通して「生」を考える。「わからない」を通して「わかる」魅力がある。「小説」を通して「現実」を振り返る。そして、「未来」を想像して「現在」を実感する。2人の対談では、一見すると真逆のように感じられていたものが、実は合わせ鏡のように共存していて、この殺伐とした時代の中で想像力を取り戻すヒントになるように感じた。

 対談の締めくくりに稲垣の口から、こんな言葉が飛び出した。『本心』の主人公の経験をリアルに感じながら読み進めることによって「身近な人の幸せを願うこと」そして「遠くの人にも優しい想像力が及んでいくかもしれない」と。

 情報が錯綜する現代において、鈍感になることで身を守る術も確かにある。けれど、この世界は、人間は実に多面的にできていて、1つの記号的な情報で簡単に括ることなどできない。

 現実があまりに厳しいから、フィクションをきっかけに話を始めてみようではないか。今から少し視点を変えることで、今を後悔なく生きることができるかもしれない。目の前の数字だけで思考が止まってしまいそうになったら、またこの対談を読み返したいと思った。

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