稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾、“新しい地図とファッション”を紐解く 三者三様の楽しみ方に表れる生き様
草なぎ剛がYouTubeチャンネルにて動画を更新。『デニムオンデニムはもう飽きた!?最近のファッション事情についてお話します! 』のタイトル通り、話題はいつ聞いても楽しいファッションの話だ。
草なぎといえば、ベストジーニスト賞でも殿堂入りを果たすなど、芸能界でも随一のデニム好きとして知られている。そんな草なぎがこよなく愛してきたデニムオンデニムのコーデに「飽きた」とは一大事。しかし蓋を開けてみれば「飽きるんだけど、でもやっぱり飽きないみたいな」と笑う草なぎの姿が映し出され、いつものようにデニム愛が伝わる結果に。
ファッションとは、正解のない自己表現のひとつ。だからこそ、そこに生き様そのものが映し出される。今回は草なぎの動画をきっかけに、稲垣吾郎、香取慎吾も含めた“新しい地図とファッション”を紐解きたい。
草なぎ剛:過去に思いを馳せ、不便さを愛でるロマン
草なぎが着こなすアイテムは、1940年代の「大戦モデル」と呼ばれるものを中心としたビンテージデニムばかりだ。過去には、ときに炭鉱から発掘されたような博物館クラス級の一品を紹介してくれた動画もあった。デニムオンデニムのコーディネートをするときも、ジャケットとパンツを同じ年代に揃えるなどテーマを持って着ることが好きだという。
同じ年に生産された同じアイテムであっても、洗濯の仕方や頻度によって異なる色味やシワ。その唯一無二の経年変化に「味」や「カッコよさ」を感じるのだと、ファッション雑誌『GQ』のインタビューでも答えていた(※1)。「共に生きている感じがあるし、先輩だよね、常に。古くなるだけじゃなくて、そこに輝きがきちんとある」という言葉には、服に限らず、これまで生きてきた全てのものに対する敬意を感じられる。
アイテムが生まれた時代に、人々がどのように暮らしていたのか。ワークウェアはその生活ぶりがダイレクトに刻まれるものでもある。そのアイテムがどのようにして草なぎの手元に渡ってきたのか。そして、いつかまた誰かのもとへと旅立っていくのかもしれない。そんな自分の人生を通過していく大きな時代の流れ、ロマンを、ファッションを通じて咀嚼しているのだ。
また、ヴィンテージものは手入れが欠かせない。草なぎがデニムを語る上で欠かせない愛車のバイクもかなりの年代もので、思うように走らないときも。だが、その人間味さえ感じる不安定さが、むしろ愛しさを増しているようだ。不便なものをあえて自分の生活に取り入れる。その理由は「愛」以外の何ものでもない。消費していく一方ではなく、歴史を振り返りその流れの一部である自分を振り返ること。その時間が、自分自身の人生を愛でる時間になるのかもしれない。
稲垣吾郎:今を漂う柔軟さが作る、ブレない自分らしさ
ファッションに対して、「過去」からのストーリーを楽しむ草なぎに対して、「今」と向き合っているように見えるのが稲垣吾郎だ。稲垣といえば、SMAP時代からほかのメンバーがアクティブなカジュアルスタイルを着こなす中、黒い服をメインとしたコンサバティブな着こなしをしてきた印象が強い。
若き日からデザイナーやアーティストなど、プライベードで年上の男性たちとの交流を持ち、その影響を大いに受け、「大人の男性」を感じられる服に惹かれていた稲垣。当時、少し“背伸び“をしてきたファッションスタイルが時を重ねてよりしっくりと定着してきたという。
「“僕はこういうカラー“というのを、ちょっと無理にでも出そうとしていたところはあったかもしれません。でも、結局それが今も変わっていないっていうことは、嘘はついていなかったのかなって」と、2020年にフォトブック『Blume』を発売した際にインタビューで答えていたのも記憶に新しい(※2)。
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一方で、小さな模索が続いていたのも事実。今でこそ花好きとして、SNSにも花のある暮らしぶりを投稿しているが、17歳のころはまだ照れがあったのかインタビューにて「お花を自分のために買うなんて……」というコメントを残していたことも(※3)。しかし、20歳ごろには花柄のシャツなどを取り入れるようになるなど、少しずつその照れがなくなっていったと自己分析していた。
ときには自身の発言にもとらわれず、自分の“好き”と向き合うこと。既存の概念にとらわれて動けなくなるのではなく、自分の軸を感じながら漂ってみること。それが「今を楽しむ」という彼のモットーに繋がり、そして結果としてブレない“自分らしさ“を作っている。