Ms.OOJA、7カ月連続リリース曲で辿る“歌と向き合い続けた10年の軌跡” どんな曲も自分色に染め上げる歌声の凄み
2021年2月にメジャーデビュー10周年を迎えた、Ms.OOJA。その10周年を彩るために、今年3月から7カ月連続で楽曲を配信リリースしている。デビュー記念日が2月16日であることにちなんで毎月16日にリリースをしており、すでに第4弾までがリリース済み。7月16日には第5弾の楽曲がリリースされたばかりだが、改めて連続配信の楽曲を聴いて見ると、この10年で培われたシンガーとしての多彩な表現が浮き彫りになっているのだ。
第1弾の楽曲は3月16日にリリースされた「FLY」。壮大なメロディに乗ったダイナミックなMs.OOJAの歌声は「らしさ全開」、「ありのまま」という言葉がしっくりくる。彼女はメアリー・J. ブライジやアリシア・キーズから影響を受けていると語っており、ブラックミュージックに合う声を持っているイメージがある。「FLY」はそういった側面を感じられる楽曲ではあるのだが、Ms.OOJAらしさがたっぷり含まれているのである。どこまでも広がっていくようなサウンド、力強いだけではないディープな歌声、突き抜ける高音と包み込むような低音、リスナーの想像力を掻き立てる表現力……。それらすべてが盛り込まれているのだ。さらにMVも「FLY」という楽曲の世界観を広げ、リスナーを引き込むことに貢献している。サウンド、歌、MVなど、アウトプットされたすべてが合わさることで1つの作品になっていることがわかる楽曲だ。
第2弾は4月16日にリリースされた「星降る夜に」。比較的シンプルなサウンドで構成された、優しく温かい同曲は、MVの雰囲気も相まって6thカバーアルバム『流しのOOJA ~VINTAGE SONG COVERS~』を彷彿させる懐かしさもある。個人的にMs.OOJAの好きなところは、同曲のような優しい歌であっても惜しみなく自分の声を出してくれるところである。最大の武器である彼女の歌声が全面に出ることによって曲が埋もれることもなく、どんな楽曲であっても見紛うことなき“Ms.OOJAの楽曲”になるからだ。とはいえ、彼女の他の楽曲と比べると今回の声色は優しい。採用された歌テイクは北海道で録ったプリプロのものということだが、本人の大好きな場所で録ったからだろうか、凛とした彼女の声に穏やかさのような成分が確かに加わっている。さらに、7月7日にYouTubeチャンネルにアップされたアコースティックバージョンのMVでは、また微妙に違った彼女の良さが出ているのでぜひチェックしてほしい。
5月16日にリリースされた第3弾「I Remember You feat. AK-69」は、AK-69と見事なシナジーを見せている楽曲だ。「2000年代初頭によくクラブで聞いたような懐かしい曲をリファレンスにし」(引用元:https://www.uta-net.com/user/writer/todaysong.html?id=11666)たそうだが、楽曲を聴くとその意味が一発でわかる。当時がフラッシュバックするようなノスタルジックな気持ちになれるし、当時を知らない若い世代には新鮮に聴こえるのではないだろうか。そして、Ms.OOJAとAK-69の歌声のバランスが絶妙。敬愛するAK-69とのフィーチャリングだからこそ、Ms.OOJAもどこか寄り添うような歌い方をしているだろう。軽めのタッチで歌い上げられた同曲からは、Ms.OOJAのセンスの良さとスキルの広さを知ることができる。