1stアルバム 『11という名の永遠の素数』インタビュー
22/7(ナナニジ)ユニット別インタビュー 初アルバムと振り返る、アニメ×リアルで開拓する唯一無二の軌跡
デジタル声優アイドルグループ・22/7(ナナブンノニジュウニ)が1stアルバム『11という名の永遠の素数』をリリースした。結成から4年半超、デビューシングルから約4年を経て完成した初のアルバムは、アニメキャラクターとリアルメンバーが交差する22/7が歩んできた、唯一無二の軌跡を再確認する充実の作品になっている。
今回、リアルサウンドでは、22/7内の3つのユニット「気の抜けたサイダー」「蛍光灯再生計画」「晴れた日のベンチ」それぞれにインタビュー。(涼花萌、武田愛奈は都合により欠席)。先人のいない道を進むグループだからこその歴史を振り返りつつ、新たな代表曲となる予兆を感じさせる新録曲から、ユニット活動によって生まれた幅広い表現まで、それぞれの視点から語ってもらった。(香月孝史)【最終ページに読者プレゼントあり】
気の抜けたサイダー(天城サリー×西條和)
――22/7結成から4年以上を経て、1stアルバム『11という名の永遠の素数』完成となりました。
天城サリー(以下、天城):アルバムを作れるくらいシングルをリリースできるのも、当たり前のことではなくて、ファンの方々がずっと応援してくださったからこそだと思います。完全生産限定盤Cのカップリングベスト盤は、ファンの方々のアンケートで決まった曲で構成されていて、本当にみんなで作り上げた作品。これまでの感謝の気持ちを込めたアルバムになっていると思います。
――全形態共通盤はこれまでのシングル表題曲を中心に、デビューから現在までの来歴を追うものになっていますね。
西條和(以下、西條):特に4thシングル『何もしてあげられない』の頃は、定期公演「ナナニジライブ」もありつつ、アニメのアフレコ準備も始まったりして目まぐるしい期間でした。今でも「何もしてあげられない」を歌うと、慌ただしかった気持ちが戻ってくるくらい、思い出深いです。
天城:それまで8人で表題曲を歌っていて、『何もしてあげられない』で11人全員での歌唱になったんですよね。けれど、次のシングル曲「ムズイ」はアニメ『22/7』主題歌になったこともあって、そのストーリーに合わせて再度8人曲に戻ることになって。そのことへの戸惑いもあったなかで昨年、6枚目シングル曲「風は吹いてるか?」というメッセージ性の強い曲とともに、また11人で表題曲を歌えるようになりました。6枚目からはメンバーの気持ち的にも、より前向きになっていけたかなと思います。
――先ほど話題に出たカップリングベスト盤で、個人的に目を引く曲はありますか?
天城:「とんぼの気持ち」が入ったのが私的にはびっくりしました(笑)。メッセージ性が強くて感情移入してしまうのか、歌っていて苦しい気持ちになるメンバーも多くなる曲。ファンの方々のアンケートでも選ばれたので、やっぱりいろんな感情をくれる作品なんだなって思いましたね。
――今作では全員歌唱の新曲も2作収録されています。リード曲となる「ヒヤシンス」は22/7らしい言葉の強さを感じさせる作品です。
西條:サビがほとんど台詞でできている曲というのも私たちならではだと思いますし、完成した音源を聴くとみんな台詞が本当に上手いので、そこを楽しんでもらえたらいいなって思います。
天城:デビューから今までずっと変わらず応援してくださった方や途中から応援してくださった方、そして今は違う道に行っているファンの方々もおられると思うんですけど、〈愛は絶対枯れはしない〉〈愛を絶対忘れはしない〉という歌詞は、皆様がくれた応援や愛を絶対忘れず、私たちの心の中にあるよっていうメッセージを込められるものだと思います。感謝を込めたこのアルバムにとてもふさわしい曲ですね。
「自分の気持ちに正直に生きてる」ことがこのユニットらしい
――もう一つの新曲「空を飛んでみよう」は勇ましい曲調の作品になっています。
天城:歌詞に〈まだ誰も試していないだけじゃないか〉とあるんですけど、私、実は小学生の時に校庭のジャングルジムに登って、そこから空を飛ぼうとしたことがあるんですよ(笑)。だから、私にはちょっと当てはまらないかもと思って(笑)。
――空を飛ぶことについて〈まだ誰も試していないだけ〉と歌いつつ、天城さんはもう試したことがあった、という(笑)。
天城:そうなんです。そのまま落下して捻挫したんですけど(笑)。私は空を飛ぼうとしたことあったよなって思いながら歌いました(笑)。
――西條さんはこの歌詞については?
西條:私にはない考えだなって(笑)。曲調的に戦隊もの感もあって振付も力強いので、ライブでも結構映える曲なんじゃないかなって思います。
――完全生産限定盤Bのユニットソング盤には、天城さんと西條さん、涼花萌さんのユニット「気の抜けたサイダー」の新曲「好きになるのは自由だし…」が収録されています。可愛らしいけれど切ない作品になっていますね。
天城:個人的には、少女マンガでいえば恋が実らない幼馴染ポジションの子のイメージです。恋人がいる相手を好きになっちゃう苦しさを、ゆるふわタイプの「気の抜けたサイダー」が歌うことには驚きもあるんですけども、難しいことを考えず自分の気持ちに正直に生きてるっていう意味では、このチームに合っているのかな。
西條:ユニットができてから歌う曲の幅が広がって、この曲でも〈ゴロゴロ〉〈ドキドキ〉など、表題曲ではなかなか出ないワードが出てくるのがユニットソングならではだなって思いつつ。……やっぱりまたかわいい曲で、私にはちょっと難しい表現もあるなと(笑)。
――同じく限定盤B収録の「キウイの主張」でも、ユニットは違えどやはりかわいい系でしたよね。
西條:なぜか、ことごとくそっち系になるなあって……(笑)。もっと頑張らなきゃなって思います(笑)。
――ユニット単位でのレコーディングや番組出演や企画など、3人で活動するなかで気づくことはありますか?
天城:バラエティ番組でユニット対抗戦になったときに、私たちはまったくバチバチしてない(笑)。とにかく楽しめばいいよねという感じで、ポイントをとれなかったら申し訳ないっていう気持ちが一切ない(笑)。他の2チームが互いに「あそこには負けない!」って言い合っているなかで、もう私たちのことは眼中にないってくらい。でも、それでいて結構ゆるふわチームが勝つことが多いんですよね(笑)。楽屋でもほんわかした感じです。
――1stアルバムのリリースで、活動としてもひとつの区切りが生まれたと思います。ここから先、あらためて22/7としてどのような活動をしていきたいか教えてください。
西條:私たちには一人一人、担当しているキャラクターがいて、キャラクターとしての活動もしているのが特徴でもあると思うので、その私たちだからこそのナナニジ色をさらに出していけたらいいなと思います。
天城:より一層、アニメファンの方にもアイドルファンの方々にも、そしてまだナナニジのことを知らない方々にも知っていただけるようになりたいですね。キャラクターとしての活動では、それこそキャラクター単独でもファンがつくくらいに魅力的なコンテンツにしていきたいですし、私たち目当てでライブに来てくださる方々ももっと増えていくように、どちらの強みもどんどん出していけたらと思います。