仲宗根梨乃が語る、『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』発グループの可能性 夢を掴むために大切なことは?

仲宗根梨乃、『日プ2』発グループの可能性

 唯一無二の感性で人々を魅了している、仲宗根梨乃。その感性を活かし、ダンサー、振付師、演出家、女優と、様々な顔を持つ彼女のような人物を本物の“エンターテイナー”というのだろう。さらに本日6月13日に最終回を迎える『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』(GYAO!/最終回のみTBS系にて14時より生放送)ではトレーナーも務めており、練習生たちに贈られる言葉と彼女のキャラクターに心を掴まれた国民プロデューサー(視聴者)も少なくない。そんな彼女が国内外のエンターテインメントについて、そして『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』の魅力についてたっぷり語ってくれた。(高橋梓)

SHINeeを通して学んだ新しいカルチャー

ーー仲宗根さんはK-POPアーティストの振付を多く担当していますが、昨今、BTSなどアジア出身のボーイズグループの活躍も目覚ましいです。

仲宗根梨乃(以下、仲宗根):アジア人がアメリカのメディアやアワードに登場したり、SuperMのようにロサンゼルスでコンサートを行なったりするのは珍しいですよね。でもダンス界で見れば、たくさんのアジア人が活躍しているんですよ。Jabbawockeezもそうですし、私が『America's Best Dance Crew』(MTV)に出ていた時もアジア出身の方が活躍されていたので。なんなら「(ダンスにおいて)アジア人やばくない?」みたいな流れがすでにありました。ですが、音楽シーン全体はまだそこまでではなかったですね。私は10年以上前から、SHINeeなどSMエンターテインメントに所属しているグループに関わっているのですが、やり続ければ可能なんだなって単純に嬉しいです。音楽で活躍しているアジア人が増えてきているのは感動します。

ーーその流れの先駆けは、PSYの「江南スタイル」(2012年)あたりでしょうか。

仲宗根:アメリカにいて韓国語の音楽がカーラジオから流れるってことが、もうすごい現象でした。頑張っているアジア人アーティストはたくさんいましたけど、ローカルがピックアップして流行したのはPSYが初めて。私の周りのクリエイター、みんなハマっていましたよ。

 彼はとにかくセンスがいい。MVが面白いし、曲もキャッチーだし、ダンスの振りもみんな真似できるし。ファッションセンスもあって、M.C.ハマーなどのトップにいた人たちとコラボするっていう素晴らしいアイデアもありましたよね。ユニークなだけじゃなくて真剣さもちゃんとあるっていう。あの頃、アメリカではかっこよくダンスパフォーマンスをするアーティストが多かったと思うんです。「江南スタイル」が持つようなユニークさは少なかったですね。ある意味、アメリカのエンターテインメントにおいての少数派だと思いますが、アメリカは良いものであればきちんと認めて、キャッチしていくんです。

ーーそんなアメリカを拠点にエンターテインメント活動をされていた仲宗根さんですが、2008年にSHINeeの振付を担当して以降、多くのK-POPアーティストにも携わっています。新しく見えたことなどありましたか。

仲宗根:私はマイケル・ジャクソンが好きでアメリカの音楽ばかり聴いていたので、SHINeeと仕事をするまではK-POPを耳にすることがなかなかありませんでした。実際関わってみて驚いたのは、メンバーの意気込みや意識の高さ、そしてファンの熱量。私が振付したパフォーマンスを披露した時、ファンが真似をしてくれて反響がすごく大きかったこともびっくりしました。あと、ファンの皆さんはリサーチ力もめちゃくちゃ高いですよね。アメリカって、いい意味でドライなんですよ。もちろん熱狂的なファンもいるけど、それを超えたすごさがK-POPのファンにはありました。アピールの仕方も韓国ならではだったし、私にとってはすごく衝撃的。SHINeeを通して新しいカルチャーを学ばせてもらいました。

ーースキルの面ではどうですか。

仲宗根:韓国で活躍しているアイドルはレベルの高い子が多いです。メンバーによってトレーニング期間は違いますが、徹底したトレーニングを何年もしてやっとデビューしているのでプロですよね。教え方もプロだし、教わる側もプロ。ただ、アメリカと比べてスキルが高い・低い、という話ではないんですよね。韓国は韓国、日本は日本、アメリカはアメリカ、イギリスはイギリス、インドはインド……みたいに、その国の一流がその国でやっているわけなので。アメリカでも韓国でも色んなレベルの人がいます。それに、アメリカがK-POPの真似をできるかって言ったらそうではないですし、「誰がすごい」というのは、聴いている人が判断すれば良いと思っています。

ーー一方でグローバル目線で見た時、日本のグループへの賛否両論はどうしてもありますよね。

仲宗根:私は、人々が音楽を聴いてハッピーならそれでいいと思うんです。レベルは個人の好みなわけですから。日本はJ-POPというジャンルが確立されていて、それぞれプロとして活躍なさっていて、ファンを元気づけているし、日本にも天才はたくさんいるし、J-POPの良さがたくさんつまっていると思います。だから上手い・下手、ではなくアーティストとファンがちゃんと両思いでハッピーなら、それでいいんです。みんな平和にハッピーでいこうぜって思いません(笑)?

ーー確かにそうですね(笑)。

仲宗根:サポートする側も、必死にバイトしてお金貯めてコンサートにいったり、CDを買ったりするので、つい応援に熱が入りすぎて厳しい目になってしまうのもわかるんですよ。あと、自分が好きなアーティストが一番であってほしいっていう気持ちもわかります。私ももともとマイケルのファンなので。でもやっぱり、「あなたこの人が好きなんだ、どういうところがいいの?」、「私の好きな人はこうなんだよ、やばくね?」ってお互いの長所を認め合える平和な世の中になることを願いますね(笑)。実は私も戦ってきて、「マイケルがベスト」だと思っていてもそればかり言ってもしょうがないってわかったんです。だって、プリンスもマドンナもやばいんだもん!

ーーそれぞれの良さがあるということですね。

仲宗根:そうですね。私たちもそうじゃないですか。一人ひとり違うユニークさを持っていますよね。それと同じです。

“プデュ”の練習生には全員にエンジンをかけてほしい

ーー世界で活躍して広い視野をお持ちの仲宗根さんですが、現在は『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2(以下、“プデュ”)』でトレーナーも担当しています。これまでプロを目指す様々な人を見てきたと思いますが、“プデュ”の練習生ならではの良さはありますか。

仲宗根:みんな、本当に優しい子。もちろん自分が勝ちたいって気持ちはあると思うんですよ。だから、思ったような成果が出なかったら悔しいでしょうし。でもみんなで立ち上がろうとしてますね。助け合って、お互い頑張ろうぜっていう気持ちをすごく感じます。

ーー中には、キラリと光る練習生もいたんじゃないでしょうか。

仲宗根:いますね。ひと目見てスターになるって感じた子もいました。いるんですよ、どこにいても光る子って。ダンスだけ、歌だけ、っていう子も多い中で、歌もダンスも両方持っている練習生がいて、私がこれまで見てきたボーイズグループに近いものを感じましたね。ああいう子は、何かしらの形で世に出ないとダメですね。

ーー未経験からスタートしている練習生も多いので、成長も感じられるのでは?

仲宗根:「自分なんて……」、「周りのレベルが高い」って迷っていたのに、自分を信じた瞬間変わるんですよ。だからエンジンって大切。未経験の練習生の中には、自分を信じてエンジンがかかった瞬間、見ている側を説得できるほどのパフォーマンスを見せた人もいました。順位が低かったりするとバトルでも自分が担当するジャンル以外で戦わなきゃいけないじゃないですか。それでも徹底的に向き合って、メンバーとも気持ちをぶつけ合って、自分を高みに持っていってエンジンがかかる。最初から光っている子もいれば、こうやってエンジンが掛かって成長する子もいるので、教えていて面白いです。

ーー少しのシーンだけでも、それは伝わってきます。

仲宗根:私とのセッションで心をオープンにする瞬間があるんですけれども、内面ってパフォーマンスにも出るから、嘘がつけないんですよ。だから、全員にエンジンをかけてほしいですね。

ーートレーナ同士の関係性はどうですか。

仲宗根:全員違う経験を持っていて、教え方も違うので、素晴らしいです。それでいて全員一緒のゴールを見ているので、めちゃくちゃチームワークが良い。あと、KENZOに関しては本当にありがたいです。日本ってシャイな国なので、そのシャイな部分がパフォーマンスなどのアートにも出てしまうことがあるんですよ。私はそこをいつも壊そうとするんです。遠慮するな、アートをやる時にシャイな部分を出している場合じゃないぞ、と。どれだけみんなをオープンにできるかっていう部分にフォーカスしているんですけど、KENZOはテクニカルな面をしっかり教えてくれています。私は技術を教えている時間がない! 1時間のレッスンで心の鍵を開けて、後は個人で練習という形にしています。それに、私は感覚派なので言葉で言えないことも多いんですが、KENZOは練習生みんなが理解できるような教え方をしているので頼りになります。

ーーKENZOさんとは密にコミュニケーションを取っているんですか。

仲宗根:いや、自然にできてますね。打ち合わせは一切しないし、お互いのクラスを見ていないです。私も番組を見て「あ、KENZOはこうやって教えてるんだ」って知りますし。世界一位を何回も獲っているだけあって、さすがだなって思います。

ーー仲宗根さんから見て、“プデュ”の良いところはどんな面でしょうか。

仲宗根:国民(視聴者)がプロデューサーっていうところです。スカウトマンがスカウトしてデビューさせるという作る側の目線じゃなくて、一般の方から人気があるメンバーでグループを作るっていうところからもうプラス。普段スカウトされる機会の少ないような人にとっても大チャンスですよね。地方に住んでいる子も挑戦して、“国プ”に選ばれてデビューできるってことでしょ? 最高じゃないですか。ドリーム・カムズ・トゥルー!

ーー確かに一般人のセンスが反映されているグループだから、デビューしても多くの人に受け入れられますよね。

仲宗根:この子にこの曲を披露してほしい、っていうのもプロデューサーしかできないじゃないですか。それができるって楽しいですよね。観ている側が参加できることがプラスだと思いますし、だから人気があるんだなって思いました。

ーー“プデュ”のような形で選ばれたグループと、スカウトで集められたグループの違いはあるのでしょうか。

仲宗根:6カ月のサバイバル形式で訓練して“国プ”に選ばれてデビューする子と、何年間かプロの元で徹底的にトレーニングをしてデビューする子とでは、まず環境が違いますよね。

 “プデュ”はどんどん成長していく姿がオンタイムでみれて、初々しさだったり、デビュー後の魅力だったり、応援してくれた人々と一緒に頑張ったという共通の思いだったり、繋がり感があるんだとおもいます。そしてJO1を見ていても思いますが、常に成長されている。

 アーティストって向上心や、常にいい音楽を提供しよう、常にいいパフォーマンスをして、人々を驚かせようと思ってやっているので、そういった部分はどのような形で選ばれたグループも一緒かもしれないですね。

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