竹内久顕が語る、映画『美しき誘惑』主題歌に込めた想い 「歌い方で妖魔の心の揺らめきを表現したかった」

竹内久顕が語る、映画『美しき誘惑』主題歌に込めた想い 「歌い方で妖魔の心の揺らめきを表現したかった」

 “九尾の狐”伝説をモチーフとした映画『美しき誘惑-現代の「画皮」-』が公開中だ。九尾の狐に取り憑かれた美しき妖魔=山本舞子(長谷川奈央)を主人公に、そんな舞子に翻弄される塩村太郎(市原綾真)などを通して現代における“本当の美しさ”、“本当の愛”を問うた作品となっている。本作は海外でも高い評価を得ており、アメリカ・ヒューストン国際映画祭をはじめ11カ国で65もの賞を受賞。さらに、公開初週の週末観客動員数ランキングでも1位に輝いている。  

 今回、本作の総合プロデューサーであり、主題歌「美しき誘惑」を歌う竹内久顕氏へインタビュー。憐れで悲しい歌として妖魔の心を歌った同主題歌を、竹内氏はどのように表現したのか話を聞いた。(編集部)

※本稿はPR記事です。

歌を歌っていると妖魔の心情が溢れてきた

――今回、映画『美しき誘惑-現代の「画皮」-』の主題歌「美しき誘惑」を担当されましたが、まずは作品を観た上で、ご自身の歌の感想などを聞かせていただけますか?

竹内久顕(以下、竹内):「美しき誘惑」は長谷川奈央演じる主人公の山本舞子と、作品内での妖魔そのものを表現している歌でもあります。最初、主題歌の冒頭で〈Ah〉という叫び声が入るんです。その部分には僕なりの想いを込めていて。作品の後半に描かれる妖魔の本心と叫び、そこと冒頭で描いた叫びのニュアンスと雰囲気が僕の中では画と歌を通してマッチしていたと感じました。

――ラストシーンから主題歌への流れは、作品全体を要約しているようにも感じました。

竹内:まさに。ラストシーンで舞子と塩村太郎の2人があることを決意していくわけですが、その中で切なく悲しい主題歌が流れることで、この映画が完成したなという感じが持てました。見ている方が映画のストーリーを追っていきながら最後に主題歌を聞くと、この作品に込められた“女性の誰しもが持っている気持ち”に触れられると思うんです。これはプロデューサーとしての視点もありますが、最後に映像と歌が合わさった瞬間、映画として完成し、妖魔の叫び声というものが見事にストーリーとマッチしたなと。

――「美しき誘惑」は女性目線で歌われていますが、苦労されたところは?

竹内:例えば、歌詞では「あなたが死んでも、私の美しさのために死ぬならそれはあなたにとって本望でしょ?」「私に全てを貢いであなたが貧乏になろうが、それで私が美しくなるならそれは世界の幸福じゃない?」という妖魔の心情が表現されています。ですが、それは一般的に見れば悪い考え方ですよね。でも、作中の妖魔の視点から見れば「何が悪いの?」「美しさというものを表現するのはこういうことじゃない?」というような、美しくありたいという彼らにとって当然の考え方なんだと思うんです。僕は俳優の仕事もしているので、やはり歌っていくと自分の中に画皮や妖魔と呼ばれるものが伝わってくるんですよね。「人の不幸を踏み台にして美しくなってこそ、本当の美しさじゃない?」みたいな、そういう妖魔の心情が歌を歌っているとすごく溢れてくるんです。

 年齢を重ねていくことで美しさを求めていく部分もあるじゃないですか? その中で、美というものをどう捉え、美しくあるためには内面を磨くことも大事だと、この映画では訴えているんです。だから歌い方も、最初〈Ah 悲しい〜〉の部分を強く歌っているんですけど、途中でファルセットを使ったり、妖艶な揺らめきを入れたり、あえて一歩引いたような歌い方をしたんです。そうすることによって、「私の考えは正しい」「いや、間違っているかもしれない」という妖魔の心の揺らめきを表現したかったんですよね。

――かなり独特な歌い回しをされていますが、ちなみにレコーディングにはかなり時間をかけたのでは?

竹内:いや、3時間くらいですかね。

――すごいですね(笑)。レコーディングは毎回短いんですか?

竹内:休憩をあまりしないんですよ。ずっと歌い続けていて。俳優もやっているからかもしれないですが、気持ちが宿ってくるんですよね。休憩してしまうと、それが戻ってこないんです。

――役が憑依する感じですね。

竹内:今回で言えば画皮=妖魔に心が通じてくる感じで。僕の場合、そういう感情が溢れた瞬間に録りたいんですよね。だから、レコーディングブースに入ってもしばらくじっとしているんです、歌わずに。その間、みんなずっと待っててくれてて、僕の気持ちが入った瞬間に「いきます」と言ったらほぼ休憩なしで、ずっと歌い続ける。ちょっと声が枯れちゃうんですけど、枯れるギリギリまで歌う。プロの方でもっと上手い方はたくさんいらっしゃいますけど、僕が歌ったことによるプラスの部分があるとしたら、映画のコンセプトや妖魔の心情、そして世界観を込められるということですね。特に、今回は妖魔の切ない想いみたいなものを入れ込むには、ある意味、演じるくらいの気持ちでないといけないので。そういう気持ちでレコーディングしました。

――それだけ強い想いが込められていることに驚きました。

竹内:そのためにも、できるだけテイクを分割せず、通しで歌うようにしています。歌詞の流れが分割すると切れちゃうんですよね。心情の揺らめきが最初は小さいんですよ。ですが後半に行くにつれ、具体的には〈愛の求道者〉〈Lure, Lure, Lure〉ぐらいからその揺らめきがグッと強くなっていって。そして最後のサビのところで最大の揺らめきになる。この揺らめきの波は分割して録ってしまうと、作ったものになってしまうんです。なので、その揺らめきの波のため、最初から最後まで通して歌う必要があったんです。

――そういうこだわりは、俳優として以上にプロデューサーとしての思考が働いているような気がします。全体の流れを把握した上でのこだわりという意味でも。

竹内:そうですね。実際に、この歌を普通のアーティストが歌ったら、山本舞子の目線だけのものになっていたと思います。でも、僕の場合はプロデューサーの立場もあるので。もちろん山本舞子の目線も大切にしていますが、僕個人としては空間軸と時間軸ということも意識して歌っているんです。空間軸というのは、塩村太郎ら他の登場人物がどういう思いで舞子を見ているかということ。「離見の見」という世阿弥の言葉があるじゃないですか? 自分を客観的に見て、かつ相手も客観的に見る。要するに舞子の心情を空間的に見ていく感じですね。

 あと、楊貴妃の話が映画に出てきましたけど、やはり妲己やクレオパトラのように、時の権力者の側にはそういった女性たちがいて、いずれも国の衰退に関係していくというのは、ある意味、文明における必然性と言いますか。つまり、そんな歴史が繰り返される不思議さというか、そうした時間軸ーー妖魔として登場する九尾の狐は、何千年もかけていろいろな国や地域に出現し、その国自体を滅ぼして自分の美しさや脅威を表現していくーーそういうものを歌に込めたいなと思いました。

――まさにプロデューサーとしてのお考えですね。

竹内:「美しき誘惑」の最後に〈世界がたとえ滅亡しても、永遠の歴史がそこに残ればいいのよ〉とあるんですけど、今自分がどうなっても、美しさだけが未来永劫残っていったら。つまりは妖魔の本当の心情は、今という時間軸だけではないんだろうなと。そんな時間軸の考えから、この部分の歌詞にも独特な強弱が生まれてきたんですよね。あとは、最後の〈Ah Ah Ah …〉のところもファルセットにしたいと思って。その時、妖魔が泣き崩れていく姿が、僕の中でふと出てきたんです。プロデューサーでしかできない深みを、時間軸、空間軸を入れていくことによって出せたかなと思います。

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