3カ月連続配信リリースインタビュー
松尾太陽が語る、3カ月連続配信を通したソロとしての未来 「昔と今をインプットして、その間を表現するシンガーになりたい」
今伝えたいこととか、リアルに思ってることが、歌詞の中に入っている
ーーそして2曲目「体温」ですが、ピアノバンド、Omoinotakeにとっては初の楽曲提供になってます。
松尾:僕の近いところで言うと、(超特急のメンバーの)タクヤが出演していたドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のオープニングテーマを歌われていた方々なんですけど、デモを聴いた時に、こういう楽曲に初めて出会った! と感じて。
ーーこういう楽曲というのは?
松尾:ざらっとしたところから始まって、サビになったら気持ちが一気にぐいっと上がって。昂っている気持ちを表すような歌がありつつ、2A2Bの後に、2サビじゃなく、Dがくる。すごくイレギュラーな構成で、自分はすごくカルチャーショックを受けたんですね。これは、J-POPじゃなく、洋楽だなって。ブラックミュージックのテイストだなって思いましたね。
ーーメロディラインや構成は、本当に洋楽のR&Bバラードですよね。歌詞はどう捉えました?
松尾:「Magic」は高揚感あふれる曲だったけど、「体温」は、あの時は楽しかったね、幸せな日々が続いてたよねっていうことを頭の中で回想していて。そういう日々が続いてる中で、だんだんと君と離れていく。君の温もりが段々と感じられなくなっていく。もっと感じたいのになっていう葛藤もありながら、さっきのDメロ(落ちサビ)がくると、また違った主人公の決意表明があって。新しい道に歩いていこうって吹っ切れて。
ーー別れちゃってますよね。
松尾:ちょっとそういうふうに感じるなって思ってて。そう考えると、より人間性あふれる曲だなと思いましたし、「体温」っていう言葉をタイトルにしているのがまたいいですよね。
ーータイトルからだと温もりを感じるけど。
松尾:僕もそう思いました。いい意味で裏切られたなって。レコーディング当日は、Omoinotakeのみなさんも来てくださって。直接、いろいろとアドバイスをくださって。世界観が強い上に、歌詞もしっかりと書いてくださっているんですけど、言葉の運び方もこと細かく教えていただいて。あと、洋楽っぽい要素の一つとして、リズムの取り方もちょっと後ろの方が、歌った時にカッコいいなって思って、「Magic」と比べるとBPMもかなりゆっくりですし、自分の中で新しいグルーヴ感を模索しましたね。
ーー先ほどから上がっているDメロですが、ここは本当に歌もドラマチックですよね。
松尾:ここから一気に切り替わりますね。頭の中では、手を握っていたけど、Dメロでいきなり引き離された感じがして。切なくなりますね。
ーーピアノとスナップとボーカルだけになるから、一人になったことを音で表現しているようですね。
松尾:それぞれの解釈があると思うし、あんまり言葉にするのも難しいんですけど、体感的にはそういう風に感じる部分が大きかったですね。とにかく、僕にとっては初めての世界観だったし、今までやってきた楽曲のイメージとは全然違ったりするので、初めて聴いた方は驚くかなと思います。でも、本当に自分が今伝えたいこととか、リアルに思ってることが、かなりこの歌詞の中に入っているので、聴いてくれる方に汲み取ってもらえると嬉しいです。
ーー今、伝えたいことというのは?
松尾:ライブもできないし、ファンの方と直接会うこともできないじゃないですか。さっき言ったのは楽曲の解釈だったんですけど、見方を変えると、今は離れているけど、だからこそ、お互いの存在をより大切に感じることに気づけたっていうふうに伝えられる気もしてて。この曲を聴いて、自分もそうですけど、聴いてくれる方も、いつか会えることを楽しみにできるような、期待を胸にしっかり持てるような楽曲にもできるんじゃないかなと思っていますね。
ーーそう言われると、手をぎゅっと握り直してるようにも聴こえますね。ブギーファンク、R&Bバラッドときて、3曲目は?
松尾:僕が作詞作曲をやらせてもらうんですけど、今、構想としてあるのは、ミディアムバラード寄りかなって。大きなテーマで言うと、3月に出すものなので、春や桜をイメージしながら、これから新しいことに挑戦する人とかを強く励ます応援歌にしたいなと思っていて。今、作曲からやっているんですけど、本当にああでもないこうでもないってやっている最中で……。やっぱり、いいものを作りたいなっていう欲が出れば出るほど、すごく楽しくなりますね。曲ができたら、今度は、歌詞を書き出す時が本当に楽しくて。とにかく、今、考えているもので言うと、誰かを応援したりとか、段々と温かくなってくる季節に差し掛かる月といったものをしっかり反映した作品にしたいなっていう気持ちはありますね。
ーーその先の未来は何か考えてますか。
松尾:松尾太陽として、もっと色んな表現をしていきたいなと思います。超特急の方でも言っていることではあるんですけど、とにかく僕の2021年は、いろんな挑戦をする年にしたいなと思っていて。2020年、自粛期間を経て、僕はあそこまで活動を止めたのが初めてだったんですね。正直、何をやるべきか、あの時期にあまりピンとこなかった部分はあって。でも、そんな中でも、ソロでオンラインライブをやったり、ミニアルバムを出したり、アカペラ動画をアップしたりとか。自分の中では何かいいものと出会えるように、暗中模索の状態でやっていたんですよ。だから、2021年はこういうのがいいんじゃないかと思った欠片をいろいろと探して、集めて、パズルとしてバチっとはめていける年にしようと思って。これ苦手だな、嫌だなと思っていたこともやってみようって思っていて。
ーー苦手だなというのは?
松尾:できる/できないは置いておいて、作曲をギターでやっているんですよ。今まではどうせできないだろうと思って、やっていなかったんですね。でも、なんでもそうだけど、やってみないとできるようにもならない。だから、まずは、ギターを練習しようと思うし、歌詞ももっと書いていきたいから、言葉に深みを持たせたい。そのためには本を読んだりとか、いろんな引き出しを増やしていかないといけない。そういう意味では、本当にこの活動をする上で初歩的なことばかりですね。ギターと読書。あと、この仕事をしていて言うことではないかもしれないんですけど、パソコンを持ってなくて。
ーー意外ですね。作曲はDTMでやってるかと思ってました。
松尾:いや、ずっと携帯の録音機能を使ってやっていたんですよ。でも、それだとやれることが限られちゃうから。もっといろんな曲を作りたいなら、ギターだけじゃなく、パソコンもないといけない。とにかく2021年は色んなことに挑戦していこうと思っている年ですね。
ーー音楽活動以外では?
松尾:25歳になるので、20代の折り返しになってくるんですよね。……はっきりとは浮かんでいないけど、趣味を広げたい気持ちがあります。今、英語の勉強もしているので、もっと時間を費やしたいなと思いますね。あとは、レコードプレイヤーも欲しいな。流行っている曲も聴くけど、過去の曲も好きな曲が多いので、レコードを買って、アーカイブとして残しておきたい。僕、昔と今をインプットして、その間を表現するシンガーになりたいなと思うんですよね。そうすれば、より幅広い層の人に刺さる曲を作れるんじゃないかなって思うから。
ーー最初にもおっしゃってましたが、いろんなものを吸収するインプットの1年になりそうですね。
松尾:このお仕事ってすぐに身につくことはないし、一回入ったら底無し沼みたいに奥が深くて、なかなか抜け出せなくなるんですよね。それに、作詞作曲やソロ活動を始めた以上、音楽的な要素や知識、修行のようなことも、時間の合間を縫ってやっていく必要性もあるなって思っていて。もうプロジェクトとしては始まっている状況なので遅いんですけど、今からでもコツコツとやれることをしっかりとやっていきたいなと思いますね。そして何より、2021年はみんなの前でライブがしたいです。ソロでもみんなと直接会えるライブができることを強く願っていますね。
■リリース情報
「Magic」
2021年1月15日配信
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「体温」
2021年2月11日配信
Apple Music
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