松尾太陽が語る、ソロ活動への覚悟と挑戦 「もっと貪欲に生きていく必要があると思った」

松尾太陽が語る、ソロ活動への覚悟

 超特急でバックボーカルを務めるタカシが、本名の松尾太陽(まつおたかし)としてソロデビューを果たした。“シティポップ”をテーマに、Vaundyや大塚愛、堂島孝平、浅田信一など豪華アーティストが参加した1stミニアルバム『うたうたい』には自身が作詞・作曲を手掛けた「掌(てのひら)」も収録されている。両親の影響で大滝詠一や山下達郎、松本隆などの音楽をルーツにもつソロシンガーとしての彼が臨む未来とは——。(永堀アツオ)

いろんなものをインプットしていく必要性がある 

ーー現在、超特急ではボーカルを一人で担ってますが、いつかソロシンガーとしてデビューしたいと考えてましたか。

松尾太陽(以下、松尾):去年の9月にソロライブ『Utautai』をやらせてもらったんですけど、その時、また今後もソロでライブができたらなとは思っていましたね。でも、その時は、ソロデビューっていうことに対しては、自分ではあまり想像がつかなくて。そのライブでお世話になった音楽チームの皆さんに「やってみないか?」って言われたんですけど、自分自身としては、そこまで気持ち的に追いつけていなかったし、ちょっと不安な気持ちがあったんですよ。だから、2020年に入ってからですね。ちょっとソロデビューを意識したり、現実味が帯びてくるようになってきて。やってみたいなって思える瞬間が増えたというか。

ーー今年に入ってから何か心境の変化に至るきっかけがありました?

松尾:大きな理由としては、4月から自粛期間に入って、超特急が予定していた6月のツアーも全てなくなってしまったことかなと思います。エンタメっていうものを、生きがいとしている僕たちにとっては、なかなかのダメージがあって。まず、僕個人としては、生きる術がこれしかない。だとするならば、もっと自分が頑張らなきゃいけないんじゃないかと思ったし、もっと貪欲に生きていく必要があるなって思ったんですよね。そして、何よりファンの皆さんもフラストレーションがたまっている状態だろうなと思って。配信ライブとか、いろいろやってはいますけど、それだけじゃ物足りないだろうなと。自粛期間中は一人で考えている時間も多かったので、何か術を探さないとなと考えていた時に、ソロデビューに対しての意欲がグッと湧き上がってきたんです。超特急でもたくさんエンターテインメントを届けたいけど、自分がソロデビューすることによって、また違った方向からでもエンターテインメントを届けることができるし、超特急にも還元することができるんじゃないかって。

ーーまず、超特急ありきなんですね。

松尾:そうですね。超特急をもっと良くしていきたいからこそのソロ活動ですし、僕の場合は、超特急を抜きに考えることはできないですね。

ーーグループでは歌えないジャンルの曲を歌いたいってことではない?

松尾:そういうわけではないです。もちろん、いろんな楽曲に出会えることは勉強になるし、いい刺激になりますけど、決して、そうしたいが為にやっているわけじゃない。聴いてくれる人の支えになりたいとか、ちょっとでも応援したいとか、大変な状況に置かれている毎日をポジティブに捉えられる材料の1つになればいいなという気持ちの方が強いですね。それに、自分はもともとはネガティブな人間なんだけど、ずっと逃げてばかりじゃいられないなとも思っていて。今、超特急の歌を守れるのは僕しかいない。であれば、僕自身がいろんな空気を吸って、いろんなことを知って、いろんなものをインプットしていく必要性があるなと思って。そうすることが超特急としては、絶対にいいことに繋がると僕は信じています。

ーーソロ活動が活発になることに不安を感じている8号車(ファン)の方もいると思います。

松尾:超特急は5人いての超特急だし、その中でも僕はメインダンサーがいてのバックボーカルなんです。ソロ活動することに対して、目に見えた覚悟も示したかったんですね。公的な手続きをする時って、どんなに芸名を使っていても本名じゃないですか。本名でやるっていうことは、そういう気持ちなんですっていう。ちょっと自分に圧をかけたというか。僕はここまで本気です、覚悟をして挑みますっていうことですね。超特急が嫌なんじゃなくて、超特急に甘えている自分は嫌だし、最終的には超特急に還元したいっていう気持ちは誰よりもあると思う。

ーー超特急に対する熱く真摯な思いは伝わると思います。では、ソロではどんなエンタメを届けたいと考えていましたか。

松尾:僕が物心ついた時から、ずっと家で流れていた昔懐かしいJ-POP……例えば、サザンオールスターズ、シュガーベイブやはっぴいえんど、山下達郎さんや大滝詠一さんとかですね。あとは、ラッツ&スターやシャネルズも親の影響で聞いていて。僕のルーツでもあったりするので、まず、シティポップっていう大きなテーマを考えていました。シティポップは、今、国内だけじゃなくて、海外でも認められてきているし、今の僕たちと同世代の方から親の世代まで、幅広い世代の方に聞いてもらえたら嬉しいなと思って。

ーーシティポップをテーマにした本作で最初にレコーディングしたのは?

松尾:大塚愛さんに提供していただいた「mellow.P」ですね。大塚さんにはまだお会いしたことがないんですけど、僕のことをイメージして描いたっておっしゃってくださって。明るくてポップで可愛らしい曲だけど、歌詞の世界観はどこか浮世離れしているような不思議な男性が主人公。シンプルにカッコいい歌詞だし、こういう主人公に自分自身がなれているのが嬉しいなって素直に思いました。

ーーカッコいいなと思ったのはどんな部分ですか。

松尾:現代のことに対して言い切っているところがカッコいいし、好きですね。今、エンタメが追い込まれている時代に通じる部分があるなし、すごく説得力もあるなと感じて。僕は、最初に曲をいただいた時に、いつも軽くイメージをつけるんですね。この曲はさっきも言ったように、歌詞が浮世離れしているので、ポップな曲調の中でゆらゆらしているような、浮遊感のある歌い方をして。ちょっとエアリーな部分を出していきたいなっていう目標を自分の中で決めて。曲の世界観と合う歌い方に挑んだという意味でも、新しい発見がある曲でしたね。

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