超特急が語る、『Asayake』のメッセージと2020年を経たスタンス 「出し惜しみしても仕方ない」

超特急が語る『Asayake』のメッセージ

 5人それぞれの個性が爆発したような新曲を5週連続で配信リリースするなど、秋以降も精力的な活動が続いている超特急。さすがはCDデビュー8周年ということで、ファンである“8号車”のために、またグループとしての可能性をさらに輝かせるべく、アニバーサリーイヤーを邁進中だ。そんな彼らが、早くも19枚目となるシングル『Asayake』をリリース。インパクトではなく、聴き手の心に寄り添う距離感を重視したような温かさを感じる表題曲はもちろん、出し惜しみすることなく収められた充実のカップリングにもぜひ注目していただきたい作品だ。今回はその新曲について、また、クリスマスに開催される3日間連続での配信ライブについても話を聞いた。(山田邦子)

直接会えた時に、お互いの喜びをぶつけ合いたい

ーー今年はCDデビュー“8”周年という記念の年だっただけに、本来であれば8号車の皆さんと触れ合えるような機会も多い1年になっていたのではないかと思います。

リョウガ:そう、ちょっと残念でした。

ユーキ:本当だったらツアーもやっていたわけですしね。曲も出来ていたし演出の面も結構詰めていたので、幻のツアーになったというか、みんなに見せてあげられなかったのは本当に残念。もちろん僕ら自身も、見せられなくて悲しかったというか悔しかったというか……。(コロナは)世界規模のことなので仕方ないけど、こうなったからには意味があるんじゃないかなということで、この思いを糧にしていきますよ。メンバーみんなそうだと思うけど、次に8号車のみんなに会えた時は、溜まっているこのストレスが喜びになって爆発すると思う(笑)。直接会えた時に、お互いの喜びをぶつけ合えたらいいなと思いますね。

ユーキ

ーーそんな中、デビュー日の6月10日にシングル『Stand up』、8号車への感謝の気持ちを込めた配信限定曲「Dear My グッバイ」、5週連続配信など、精力的に楽曲をリリース。楽曲を発信して、みんなのリアクションがあってという双方向のコミュニケーションも、今後へのエネルギーになったのでは?

カイ:そうですね。こういう時期だからこそ、いろいろ予想外というか「じゃあどうしようか」って考えなくちゃいけない部分もありましたけど、しっかり届けられたのは良かったかなって思っています。

タクヤ:特に「Dear My グッバイ」なんかはそうだね。喜んでもらえて良かった。この曲は1人1曲やりたい曲を持ち寄って、そこからユーキがまとめてくれたんですけど。

ユーキ:どうしても気持ちが暗くなりがちな時期だったから、もう僕ららしさ全開で伝えてやろう! って意気込みで。だから曲も「ザ・王道」、「女子アイドルです!」みたいなものをあえて男が思いっきりやっても面白いんじゃないかなって思ったんです。歌詞はみんなで「どういう言葉がいいかな」って話し合って、結局(サウンドとは)真逆の方に振り切ってみました。

ーー歌詞からは想像つかないサウンドだっただけに、かなりザワつきましたよね(笑)。

ユーキ:あれはザワつきました(笑)。歌詞だけ先に出していたので、(それを読んだみんなが曲を聴いて)「えーっ!?」って。そのリアクションを受けて、僕らは「しめしめ」って感じで(笑)。

ーーそういうところも超特急らしさなんだろうなと思います(笑)。さて12月16日には、前作『Stand up』から約半年ぶりとなるニューシングル『Asayake』がリリースされます。最初に曲を受け取られた時の印象はいかがでしたか?

超特急「Asayake」MUSIC VIDEO

タカシ:僕は最初ちょっと意外だったというか。いわゆる超特急っぽさがないというか、要素としては割と聴き馴染みのあるJ-POPに思えたんです。だから、じゃあどうやってこの楽曲に僕らの色を付けていこうかなって考えましたし、それと同時に、「Asayake」という曲をこの2020年の年末にリリースできることはすごく意味のあることなんだろうなとも思ったんですよね。よく「明けない夜はない」って言いますけど、そういうメッセージが詰まっている曲だからこそ、いつも聴いてくれている人にとっても、たまたま聴いてくれた人にとっても、何かしら心があったかくなるような歌になればと思うんです。寒くなってきたこの季節、そっと寄り添えるような曲になっていけばいいなって思うようになりました。

ーー前回のインタビューで掘り下げた5週連続配信の楽曲のラストが「My Answer」でしたが、個人的には、あの曲で背中を押してもらって一歩踏み出した先に広がるのが、この「Asayake」のような心情じゃないかなと思いました。

タクヤ:ちょっと気持ち的に、リセットみたいところはあるよね。

リョウガ:うん。僕もこれは個人的なことだけど、超特急って曲的にもカオスというか、とにかくいろんな曲をやり過ぎてるから感覚が麻痺しているところがある気がするんですね。だからこの「Asayake」を最初に聴いた時、「え? これ!?」って感じだったんです。

ーーいつも振り切った曲ばかりだったから、拍子抜けしたみたいな?

リョウガ:はい。ちゃんと落ち着いて聴けば、聴く人を選ばない、しっかりとした王道のJ-POPだったんですけどね(笑)。歌い出しのAメロなんかは特に(自分としては)不思議な感覚になっちゃうくらいだったし、変な表現を付けたりせず、誰かに語りかけるような感じになっている歌詞も、この曲を届ける側として見た時にストレート過ぎてちょっと恥ずかしいような気持ちになったことを覚えています。

ーーでも今言われたことこそが、この曲の持ち味になっているんですよね。

リョウガ:そうそう。どんなことがあってもその手はちゃんと朝焼けに届くはずだよって、すごく安心してもらえるような曲になっていると思います。

リョウガ

ーーパフォーマンスの面はどんな感じになりそうですか?

ユーキ:サウンド自体はJ-POPの王道といった感じですが、振付けの面はちょっとヒップホップ寄りというか、あまり曲に引っ張られ過ぎないように踊っています。その上で、8号車の“8”をいろんな形で表現しているんですよ。ちょっとギャップもあって、面白い感じになっています。

ーーなるほど、見応えがありそうですね。

ユーキ:僕らも、踊っていてめちゃくちゃ気持ちいいですし。歌詞との一体感がありつつも、すごく紳士的な雰囲気を持った振り付けになっています。

ーー毎回衣装に関しても明確な意志が込められているので今回も注目したいのですが、 今作のビジュアル面に関してはどうですか? 朝焼けという言葉のイメージとは対照にあるような、ビビッドな色使いが意外でした。

カイ:今回の楽曲のイメージは、それこそちょっと優しい、オレンジとかピンクとかの淡い色っぽいじゃないですか。でもこの曲で歌っている、自分以外の人に対して肯定してあげられる優しさって、自分の芯の強さがあってこそだと思うんです。まずLOVE MYSELFで自分を愛してあげないと、他者を愛することはできない。そういう自分自身の芯の太さや意志の強さを「自分の色」として表したのが、今回のビジュアルかなと思いますね。

カイ

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