SixTONES、圧倒的な成績でチャートトップに アルバム『1ST』の聴きどころはシングル曲以外にも

 一方で、MVも含めてボカロ以降のロックを意識したと思われる「うやむや」(通常盤収録)は、16分につめこんだ単調なメロディの反復に本人たちのポテンシャルを押し込めてしまっているようだった。たとえば1月1日にリリースされた原因は自分にある。の「スノウダンス」(先ごろリリースされたファーストアルバム『多世界解釈』からの先行配信)はYOASOBIのAyaseが提供した楽曲だが、メロディの動きやそれに乗りこなすボーカルにはやはり聴きどころがある。YOASOBIでの楽曲よりメロディや構成がシンプルに整理されているが、そのぶん声の持つキャラクターが映えている。「うやむや」にはそういったシナジーが生まれていないのが悩ましい。

SixTONES - うやむや (Music Video) [YouTube Ver.] (from Album “1ST”)

 いや、それも些細な話かもしれない。そもそもアップテンポなロック色の強い楽曲をシングルやリードに持ってくるというのも、もしかしたらメンバーたちのポテンシャルを生かし切れていないのではないか。などと、多彩な楽曲の並ぶ『1ST』を聴いて思うのだった。

■imdkm
1989年生まれ。山形県出身。ライター、批評家。ダンスミュージックを愛好し制作もする立場から、現代のポップミュージックについて考察する。著書に『リズムから考えるJ-POP史』(blueprint、2019年)。ウェブサイト:imdkm.com

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「チャート一刀両断!」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる