Tempalayが体現したバンドのユニーク性 渾然一体のステージ見せた新木場STUDIO COAST公演
新型コロナウイルスの影響でツアーが中止になってしまってから9カ月。Tempalayがようやく「ツアーファイナル」にたどり着いた。入れるお客さんの数が限られるため、1日2回の二部公演、LIVEWIREと組んでのライブ配信も行われたこのファイナル。新木場STUDIO COASTという大きな会場で、映像や照明などの演出も駆使して彼らが伝えたのは、Tempalayというバンドの唯一無二の存在感と、生でうごめく音楽のおもしろさだった。
ラジオやテレビからサンプリングした音声、弦が擦れるようなノイズ、電子音などがコラージュされた異世界に誘うようなオープニングから、彼らが1曲目に披露したのは「脱衣麻雀」だった。気だるいグルーヴのなか、AAAMYYYの3カウントが聞こえ、オレンジ色のトラックジャケットを来た小原綾斗が歌い出す。小原のハイトーンと白いベールで顔を覆ったAAAMYYYのアンニュイな声が描き出すハーモニー、そして急激なギアチェンジを繰り返して変節するリズム。ステージ全面に投影されるサイケデリックな映像も相まって、一気に引き込まれていく。
続けてサポートを務める亀山拳四郎のベースラインから突入した「SONIC WAVE」では小原のがなり立てるラララの声に合わせてフロアで手が揺れる。「のめりこめ、震えろ。」という曲名のとおり、とんでもない吸引力と刺激を放つステージ。ステージを写したサーモグラフィカメラの映像が、これからますます熱を上げていくであろうライブを予言しているようだ。小原が曲終わりに絶叫すると、フロアからは大きな拍手が起こった。
緩急自在のリズムワーク、幾重にも重なる声、そしてときどきはっとするほど美しいメロディと、シニカルだけどエモーショナルな歌詞。全編にわたって、Tempalayの音楽を形作る要素、STUDIO COASTの大きな空間によって反響増幅し、ビリビリと伝わってくるよう。「TIME MACHINE」を終えると「こんにちは! Tempalayです!」というサンプリングボイスが響き渡り、スクリーンにバンドロゴが躍る。ここで投下されたのが「どうしよう」である。ピンク、オレンジ、紫に緑。極彩色のマーブル模様をバックに、名刺代わりといえる1曲が繰り出される。