SHE’S『Tragicomedy』の楽曲は一人ひとりの心に根を張っていくーー地元大阪から配信で届けた万感のツアーファイナル

『SHE’S Tour 2020 ~Re:reboot~』ファイナルレポ

SHE’S 井上竜馬(写真=ハヤシマコ)

 本編最後のMCで井上は、ツアーができたことで感じたのはライブっていいものだなということ、そしてそれ以上でも以下でもないと言い、生きてる限り音楽をやろうと思うけど、自分にはそれしかないと思って苦しんだり消えてしまったりはしないとも言った。観客を入れられないことが決まった前日の夜も今回のツアーを回ってきたことを幸せに思ったといい、「俺たちは何度でもステージに上がるので……生きてね」と。シンプルではあるが、そのことこそが一番言いたかったことに違いない。本編ラストはその言葉をじっくり聴き手一人ひとりの心の奥底に定着させるように丁寧に「Tragicomedy」を歌う。メンバーもコーラスを真剣に重ねていく。ぽつりぽつりと鳴らされるピアノがむしろ雄弁だ。「Sleep Well(Epilogue)」に繋いで、興奮に包まれた画面の向こうのファンにおやすみを言うようなエンディング。心という見えないものとどう向き合うのか。それをアルバムとツアーを通して、より多くのフィードバックを得て育ててきたこの1年。リスナーの日常と奇しくもリンクした『Tragicomedy』の旅はここで一旦終了しつつも、この日以降も曲たちはいい意味で一人ひとりの心に根を張るだろう。アルバムのアートワークがこんなにも腑に落ちたことはなかった。

 アンコールでは来年の東京、大阪での野音公演も発表され、ある種4人の素朴で有機的なバンドであることの楽しさを示す「Curtain call」で終演した。12月10日のツアー後日談的なYouTube配信ではさらなる重大発表もあるという。こちらも前を向いて2021年の目標を立てたくなった。そんな帰着をもたらす2時間15分のドキュメントだったのだ。

SHE’S(写真=ハヤシマコ)

■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Qetic」「SPiCE」「Skream!」「PMC」などで執筆。音楽以外にカルチャー系やライフスタイル系の取材・執筆も行う。

■公演概要
『SHE’S 10th Anniversary「Back In Blue」』
2021年5月8日(土)大阪城音楽堂
開場16:30/開演17:30
問い合わせ:SOUND CREATOR  06-6357-4400

2021年6月26日(土)日比谷公園大音楽堂
開場17:00/開演18:00
問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

TICKET 指定席 ¥4,800(税込)
※未就学児入場不可。小学生以上有料。

<FC先行予約>
受付期間:12月5日(土)20:30~12月13日(日) 23:59
受付はこちら

【注意事項】
・入場時に検温チェックや消毒、 マスク着用等のお願いをする場合あり。
・安全面を最大限に考慮した上で追加券売が可能となった場合には、 段階的に観覧エリアを変更。
・荒天中止。

周年公演特設サイト

■生配信番組情報
【絶対に直接伝えたい】SHE’S 生配信特番
日時:12月10日(木)20:00~
番組視聴はこちら

■関連リンク
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