声優 畠中祐、最新シングルで見せた類い希なる表現力&歌唱スキル マルチな才能生かした、さらなる飛躍への期待
現在放映中のTVアニメ『憂国のモリアーティ』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマ「DYING WISH」を歌い、物語の世界観とマッチした独自の楽曲で話題を集めている畠中祐。声優としても『遊☆戯☆王ZEXAL』(テレビ東京ほか)の九十九遊馬役を筆頭に、現在は『ウルトラマンZ』(テレビ東京系)にてウルトラマンZの声を担当するなど、数多くの作品で彼の名前を目にする。大学時代には演劇やダンスを学んだ経歴を持つ、畠中祐の魅力とは?
ダークヒーローの世界観を見事に表現
『憂国のモリアーティ』は、かの推理小説『シャーロック・ホームズ』に登場する、ホームズの宿敵=ジェームズ・モリアーティをモチーフにした作品。19世紀末のロンドンを舞台に、圧倒的な権力で市民を虐げる貴族を実にダーティなやり方でこらしめる、言わばダークヒーロー的な物語だ。『ジャンプSQ.』(集英社)にて2016年から連載中の人気作で、2018年には『第13回全国書店員が選んだおすすめコミック』一般部門で2位に選出されたほか、小説版の刊行、ミュージカル・舞台化されるなど、メディアミックスも話題の人気作品だ。
そんな『憂国のモリアーティ』のオープニングテーマ「DYING WISH」は、スケールの大きなオープニングから一転、疾走感溢れるサビへと展開していく様が実に爽快だ。シンフォニックな味付けと重厚なコーラスといったクラシカルな要素がありながら、ビートは四つ打ちという、なんとも斬新な楽曲。作曲・編曲は、坂本真綾、中島愛、ワルキューレなどに楽曲提供を行ってきたラスマス・フェイバー(以下、ラスマス)が務めた。これまでのジャズ+クラブ+アニソンのミックスというラスマスのスタイルとは違い、クラシックの要素が大胆に取り入れられており、評するなら“令和のオペラ座の怪人”、といったところだろう。
ラスマスの新境地と呼べるこの「DYING WISH」を、畠中は類い希なる表現力と歌唱スキルで見事に歌い上げている。Aメロ・Bメロでは不穏なムードをまとったメロディを抑え気味に歌い、サビでは胸に炎をたぎらせるような、太く力強いボーカルを聴かせる。また複雑で入り組んだコーラスは、まるでウィリアム・ジェームズ・モリアーティの心の中で、悪と正義がせめぎ合っているかのような雰囲気。見方によって悪にでも正義にでも変わる作品に対して、畠中の気持ちも揺れ動き、何度も録り直しをしたとのこと。
そんな斬新な楽曲「DYING WISH」は、畠中にとってもチャレンジの楽曲だった。と言うのも、畠中がこれまでに歌ってきたのは、ほとんどがダンスチューンであったからだ。2017年にシングル『STAND UP』でソロデビューした畠中は、2ndシングル表題曲「真夏BEAT」ではアッパーのダンスチューンと共に、MVでダンサー4人と息の合ったダンスを披露。3rdシングル表題曲「not GAME」では、ミクスチャーサウンドに乗せてキレのあるラップを聴かせた。さらに今年リリースした4thシングル表題曲「HISTORY」は、明るくポジティブなEDM楽曲で、思わずマネしたくなるようなキャッチーな振り付けでファンを魅了。舞台やミュージカルでも活躍する両親のもとに生まれ、幼いころから歌が身近にあり、小学校時代は風呂でD-51「No More Cry」やサスケ「青いベンチ」などを歌っていたという畠中。大学時代に学んだ、曲ごとにさまざまな表情を見せる表現力の多彩さと、MVやステージで見せるダンスの切れの良さは、さすがにうなずけるものがある。しかし畠中の才能はそれだけではない。1stアルバム『FIGHTER』の収録曲「あの日の約束」、そして4thシングル『HISTORY』収録曲「ボトルメール」では、自ら作詞も担当しているのだ。