声優 花江夏樹、“巧みなセルフプロデュース”による目覚ましい活躍に注目 MCやゲーム実況などから感じた、独自の発信力

花江夏樹
『青春は残酷じゃない』【限定盤】

 「『鬼滅』の炭治郎の声の人」――そういう説明をすれば、普段マンガやアニメを見ない人でも通じるだろう。今、日本で一番ホットな作品『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎の声を務める花江夏樹。声優としてはもちろん、YouTubeでのゲーム実況や番組MCなどでも目覚ましい活躍を続けている彼の活動に、改めて注目したい。

 花江は、これまで『東京喰種トーキョーグール』の金木研、『四月は君の嘘』の有馬公生など、話題作の主役やメインキャラクターを数多く務めている。クリアでみずみずしい声質の花江は少年役を演じることが多いが、その演技は幅広い。例えば、竈門炭治郎は馬鹿がつくほど正直でまっすぐな性格。アニメでは、そのまじめさと決意がこもった力強い声を披露している。

 一方、『東京喰種トーキョーグール』の金木研は、人の肉を喰らう喰種の内臓を移植され、“半喰種”となってしまった少年。人でないものになってしまった葛藤と残酷な戦いの中で徐々に狂気が発露していくような、ヒリヒリするキャラクターだ。どちらの人物も個性的だが、その演技は特徴を強調するというより、内から感情がにじみ出るようなリアリティがある。リアルなドラマの中で、繊細な感情の機微を表現するのが好きだという花江の実力は本物で、2020年3月には『第十四回 声優アワード』で主演賞を受賞している。なお、あまりアーティスト活動のイメージがない花江だが、2016年にはアニメ『斉木楠雄のΨ難』のOPとEDテーマを担当し、それぞれシングルリリースしている経歴も持つ。

花江夏樹 / 青春は残酷じゃない(TVアニメ「斉木楠雄のΨ難」オープニングテーマ)

 『桜蘭高校ホスト部』でアニメのおもしろさに気づき、声優を志したという花江。山寺宏一が好きだったことから、山寺の所属事務所に直接プロフィールを送るという大胆なエピソードを持つ。その直球さが社長の目に留まり、オーディションを経て契約に至っている(参考)。大胆すぎてなかなかできない方法だが、その物怖じしない姿勢は花江の大きな武器の一つだ。

 山寺の後任としてメインMCを務めた『おはスタ』をはじめ、ラジオのパーソナリティなども数多くこなす花江。自分が司会の立ち位置の時は場を取りまとめ、引っ張っていくリーダーシップを見せつつ、ゲストの際はここぞとばかりに自由奔放さを発揮する。

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