『IDOL舞SHOW』プロデューサー×斎藤滋×冨田明宏×木皿陽平 座談会 コロナ下で顕著化したアニソン/アイドルコンテンツの課題

『IDOL舞SHOW』制作陣インタビュー

2ndシングルに反映された「ユニットの色」

IDOL舞SHOW 三日月眼 2020年10月7日発売2ndシングル「キミシダイ Our future」

ーーでは1作目の経験を踏まえて、10月7日にリリースされる2ndシングルの制作はどういう姿勢で臨みましたか?

冨田:10月のライブを経ての2ndシングルだったので、リアルで踊って歌っている3人を観たのと、あの衣装の存在は大きく影響しましたね。三日月眼の場合は和テイストが散りばめられていたので、これを無視するのは得策じゃないなと感じて、ソカのビートでちょっとシンコペーションするようなサビのメロディを作ったら、ちょっとお祭り感が出るかなと考えたのが2ndシングル『キミシダイOur future』です。今回は2曲ともそういう和っぽいメロディやお祭りグルーヴを意識していています。それに3人の関係性も本当に良くて、現場で3人揃うとずっとふざけていてうるさいぐらい(笑)。そこも踏まえて、良いノリが出せたかもしれません。

工藤:リハーサルから帰るときも、差し入れのジュースを手に「これ飲みながら、3人で駅まで歩かない?」って話してますからね(笑)。「何その青春!」って思いますよ。

IDOL舞SHOW NO PRINCESS 2020年10月7日発売2ndシングル「MUST BE GOING!」SPOT

ーー斎藤さんはNO PRINCESSの2ndシングル『MUST BE GOING!』では、どんなことを意識しましたか?

斎藤:1stシングル同様に懐かしみのあるメロディにしようと思いました。そして分かりやすく耳に残るものを。その考えがあって、同じメロディを繰り返す形で落とし込んでいったものが表題曲の「MUST BE GOING!」なんです。でも、僕らとしては懐かしいと感じるけど、お客さん側はひとまわりもふたまわりも年齢的には僕らスタッフ陣よりも下の方々だと思うので、むしろ新しいと思ってもらえたらいいなと。今、冨田さんの話を聞いてふと思ったんですが、自分の場合は役者の反応というよりも、NO PRINCESSのキャラクターや衣装など、イラストの世界観からイメージして作っていたような気がします。。

ーー「Truth or Dare」と比べると、「MUST BE GOING!」は歌割りがかなり変わった印象があります。

斎藤:実はそこまで明確に変えようとは思っていなかったんですよ。歌割りは毎回、作詞家の方と弊社ディレクターの案を元にして一緒に考えるんですけど、今回は自然とこうなっていたんです。

工藤:補足ですが、1作目は制作後すぐにライブが控えていたから、難しくない歌割りにしてほしいと私がオーダーをしていたんです。同じパートを同じ人が歌うような形で、混乱させないでほしいと。そういう意味では、2ndシングルは攻めているのかなと思いますよ。

ーーなるほど。X-UCの『Papier Mache IDOL』はいかがでしょう?

木皿:若者のモヤモヤとかスレた感じを、1枚目のときよりもさらに発展させた形にしていて。歌い分けは今回は全部私が決めさせて頂いたのですが、1stシングルのレコーディングや豊洲のライブを経たうえで、こういうヒリヒリした楽曲においてはこの人の声が前に出たほうがいいなとか、この人の歌声をもっと立たせたいなということを意識した記憶があります。

 X-UCは10人もいるので1人ひとりを立てるのはなかなか大変なんですけど、わりと「Papier Mache IDOL」ではできていたんじゃないかな。それに対して、カップリングの「Brave Call ! 〜& Just Now We come ! 〜」はかなり下世話な曲で(笑)。下世話なものをどう爽やかにするかというのが、わりと僕の好きなやり方なんです。この曲のレコーディングでは、1人目に録らせて頂いたキャストさんにいろいろ頑張ってもらいました。そのあとレコーディングする人たちに「この雰囲気でお願いします。」と示してもらう意味も含めてかなり振り切ってもらったので、そこは聴きどころのひとつだと思っています。歌詞も遊び心があって、お気に入りの1曲ですね。

「自由なようで不自由な状態」から生まれる面白さ

IDOL舞SHOW X-UC 10月7日発売2ndシングル「Papier Mache IDOL」SPOT

ーーシングル制作を重ねたことで、グループのカラーもかなり強まってきたのかなと思いますが、今後各ユニットで挑戦してみたいことは何かありますか?

斎藤:楽曲制作に関しては、懐かしメロディ路線が今のNO PRINCESSに合っていると感じているので、あえて古き良き90年代J-POPメロディを推し進めるみたいな方向でやりたいなと思っています。さっき言ったみたいに、今の若い人たちに「こういうのって新しく感じるね」と思ってもらえるような、温故知新みたいなことをやっていきたいですね。キャラクター的には遊べる要素がそんなにないんじゃないかと思っていて、木皿くんが言うところの良い意味での「下世話な曲」みたいなのはNO PRINCESSではやっちゃいけない気がするんですね(笑)。工藤さんの頭の中を察するに、このユニットはストイックに真面目にということなんだろうと。そう考えると、メロディで遊んでいくのがいいのかな。

冨田:僕はせっかくなので、声優とキャラクターとアイドルソングの融合を踏まえつつ、もっとアイドルの王道的なものを考えてみたいなと。三日月眼の場合はポジティブな曲を歌うことで王道感が出ると思うので、歌詞にそういうメッセージを盛り込みつつ、乙女心的な要素が含まれるとよりアイドル的なカラーが強まるのかな。あとは、3人がちゃんと活きることかなというところですね。面白いのが、3人とも「私たち、一番人数が少ないから頑張らなきゃ!」みたいな意識を不思議と持っているんですよ。その結束感みたいなものが、僕はすごく愛おしいなと思っていて。

工藤:インタビューやラジオでも必ず「私たちが一番仲良いです!」って言いますしね(笑)。

冨田:「それじゃあ、ほかが仲悪いみたいじゃないか!」と思うんですけど(苦笑)、そういうところもすごく可愛らしいし、そういう部分を自分たちの魅力に変えて、お客さんに愛してもらえるようになれるといいなと思っています。と同時に、僕自身も『IDOL舞SHOW』というプロジェクトを通じて、これまであまり研究していなかったポイントを勉強させてもらいながら、三日月眼と一緒に成長していきたいですね。

工藤:これだけ売れっ子の音楽プロデューサーを呼んで「好きにやっていいよ」ではなく、なぜか縛りがあって、別にそれが得意なジャンルのわけでもない。しかも人数の縛りもあって、ほかのユニットと被っちゃいけないという、自由なようで不自由な状態なのに、そこからこういった楽曲が生まれる面白さがあるんですよね。

冨田:本当に面白いですよね。結局、カラーをわかりやすくオーダーいただいていますけど、ちゃんと三者三様で出ていますよね。X-UCはやっぱり木皿さんらしいですし、NO PRINCESSも滋さんらしいですし。

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