雨のパレードが示す『BORDERLESS』以降の新たなバンドの姿 止まらぬクリエイティビティ感じた配信ライブレポート

雨パレ、配信ライブで更新したバンドの姿

 山崎がパットを叩く「Reason of Black Color」、福永がサンプラーを用いる「Hwyl」と、過去曲はそれぞれライブアレンジが施され、「惑星STRaNdING」ではフィーチャリングゲストのDos Monosが登場。荘子it、没、TaiTanがそれぞれキャラクターのはっきりした声色でマイクリレーを見せ、3人が集まったラストのハードコア感も非常に彼ららしい。「今の僕らを詰め込んだ」という新曲「IDENTITY」にしても、静と動のダイナミズムが印象的で、ライブで聴くとサビのバンド感がかなりロック的。こうしたプリミティブなアンサンブルのパワーは一周回って新鮮で、次のモードのひとつの鍵となるかもしれない。

 逆に、ライブ終盤の「Count me out」からは一転してダンスフロアモード。全国ツアーで会場限定CDとして発売されていた「bam」は、もともとインディーズ時代の作品である『new place』の収録曲だが、山﨑による指弾きのエフェクティブなギターフレーズは残しつつ、シンセを用いた高揚感たっぷりのダンスチューンに生まれ変わっていて、「ver.2.0」を明確に体現。「Ahead Ahead」とともに、ライブのクライマックスを作り出していた。

 最後に福永は「今年中にまたアルバムを出します。結構大変だけど」と嬉しそうに笑い、「BORDERLESS」を披露。実は福永は『BORDERLESS』リリース前の取材時にはすでに「すぐに次を作りたい」と話してくれていたのだが、今回のライブで示した現在の彼らのクリエイティビティの爆発は、まだまだ止まらないようだ。終演後には、12月23日に今年2枚目となるニューアルバム『Face to Face』のリリース、そのアルバムから新曲「IDENTITY」の先行配信リリース、そしてアルバムリリースから2日後の12月25日に初となるZepp DiverCityでのワンマンライブを行うことを発表。次こそは顔と顔を合わせた状態で、「BORDERLESS」の大合唱が聴けることを期待したい。

■金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『ナタリー』『Real Sound』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』『bounce』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。

■セットリスト
『ame_no_parade DIGITAL LIVE 2020 "BORDERLESS ver.2.0"』
2020年8月25日(火)
1.Tokyo
2.Summer Time Magic
3.Walk on
4.Hallelujah!!
5.Shoes
6.Story
7.Gullfoss
8.morning
9.Reason of Black Color
10.Hwyl
11.惑星STRaNdING (ft.Dos Monos)
12.IDENTITY
13.Count me out
14.bam
15.Ahead Ahead
16.BORDERLESS

雨のパレード オフィシャルサイト

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