氣志團の音楽活動にある“リスペクト”と“オリジナリティ” BOØWY&浜崎あゆみ楽曲カバーから考察

 氣志團は自身の音楽を届けることだけではなく、良い音楽を広く届けたいという想いを持って活動しているように感じる。主催する『氣志團万博』の出演者ラインナップは毎年他のフェスでは共演することがないであろうアーティストが揃うことが多い。バンドやシンガーソングライターだけでなくアイドルもV系もいる。世代もジャンルもバラバラだ。しかし「氣志團がリスペクトしているアーティスト」「良い音楽をやっている出演者」という部分は共通している。来場者は参加しているうちに自然とフェスのコンセプトや氣志團の想いを感じとっている。そして自分の知らなかった音楽の魅力をフェスを通じて知ることができるのだ。

 そして、氣志團がバンドとして実力があるからこそ、素晴らしいアーティストや名曲を多くの人に伝えるハブとしての役割を担えていることは忘れてはならない。演奏は上手くライブでも乱れることはない。そしてロックサウンドである軸はブレないし、ロックであることにこだわりを感じる。そこにユーモアを忘れないライブ演出や楽曲展開をミックスさせることで、唯一無二の個性が生まれているのだ。

 「氣志團がカバーしてみた」に投稿された「PLASTIC BOMB」と「Boys & Girls」を聴けば氣志團の演奏の凄さがわかるはずだ。原曲の魅力をしっかり伝えているのに氣志團の個性も伝わってくる。これはバンドとして実力があることを裏付けている。

 また氣志團は楽曲制作や主催フェスの開催など、活動を通じて自身が影響を受けたアーティストや素晴らしい若手アーティストの魅力を伝えているだけではない。氣志團との関わりをきっかけに、他アーティストのファンが氣志團の魅力を感じてしまうのだ。『氣志團万博』の来場者は他のアーティストが目当てだったとしても、気づけば氣志團を好きになってしまう。今回のカバー動画も同様だ。きっとBOØWYや浜崎あゆみのファンも氣志團の個性や魅力に気づいたと思う。オリジナル曲でもカバー曲でも氣志團が演奏する意味付けをしっかりした上で表現している。

 氣志團は自身のファンに様々な音楽を紹介するだけでなく、紹介したアーティストのファンに自分たちの魅力を伝えてしまうようなバンドなのだ。

■むらたかもめ
オトニッチというファン目線で音楽を深読みし考察する音楽雑記ブログの運営者。出身はピエール瀧と同じ静岡県。移住地はピエール中野と同じ埼玉県。‬ロックとポップスとアイドルをメインに文章を書く人。
ブログ
Twitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる