『THE HOME TAKE』出演も話題のTani Yuuki「Myra」バイラルチャート首位 切ないメロディとリリックの押韻がもたらす魅力
また、「Myra」を語る上で忘れてはならないのが気持ち良く韻が踏まれた歌詞。〈愛しているよMyra/腕の中でMy love/夢の中へdiver〉と小気味よく踏まれる韻は耽美なメロディにリズムを与え、口ずさみたくなるような印象を残す。
ここで思い出されるのは2004年発表、KREVAの代表作「音色」。「音色」の一節〈愛してんぜ音色/はまっちまったよ まるで迷路/何をしてみても無駄な抵抗/お前がいつでも俺をKO〉を参照すると、記号的に置かれた不特定な名前「音色」は本作における「Myra」と呼応しているように感じる。また、切ないメロディにのせた押韻が印象的であることも共通点だ。切ない心情をメロディアスに歌い上げる名曲は数しれず存在するが、メロディだけでなくリズムにも着目し、押韻の効果を利用しているという点でも「Myra」は特別な楽曲なのではないだろうか。
2020年はTani Yuukiの「Myra」だけでなく、瑛人「香水」やYOASOBI「夜に駆ける」といったTikTokやSNSの口コミから人気を拡大させる新人アーティストの楽曲が多く見受けられる。SNS時代の口コミの伝播は凄まじく、音楽シーンの「現在」を把握するにはより高いアンテナを張る必要がありそうだ。
■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
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