Black Earth、Emperor、Savage Messiah......<Trooper Entertainment>10thイベント出演バンド3組に注目
次はブラックメタルの聖地・ノルウェー発のEmperorだ。バンドは1991年に結成されたものの、教会放火事件など物騒な話題に事欠かないブラックメタル・シーンの風潮に倣うように、彼らもメンバーが逮捕されたりと、バンド内の入れ替わりは激しかった。その中で衝撃の1st アルバム『In the Nightside Eclipse』を発表し、コンスタントにアルバムをリリースし続ける。しかし、4thアルバム『Prometheus: The Discipline of Fire & Demise』を出した後、バンドは解散を余儀なくされたが、2000年中盤にカムバックを果たした。その一方でバンドの中心人物であるイーサーン(Vo/Gt)は2006年にソロ作『The Adversary』を発表、今年は最新5曲入りEP『Telemark』(こちらも必聴!)も作り上げたりと、精力的に音楽活動を続けている。
復活後のEmperorは2014年に彼らの1stアルバム『In the Nightside Eclipse』発売20周年を記念して奇跡の初来日公演を行い、多くのファンを狂喜乱舞させた。それを皮切りに『LOUD PARK'17』で2ndアルバム『Anthems to the Welkin at Dusk』20周年記念を機に同作を完全再現、観客を大いに喜ばせると、昨年にはゲストにDeafheavenを従えて3度目の来日公演を行った。Emperorのサウンドはブラックメタルに不可欠なトロモロリフやブラストビートはもちろん、交響曲に通じる壮大なキーボードを用いたアレンジが特徴的。激しさと美しさを極限まで突きつけた音色はライブにおいても凄まじいインパクトを放っている。ブラックメタルの真髄を魅せ付ける驚愕のパフォーマンスは必見だ。
最後に紹介するSavage Messiahは、デヴィッド・シルヴァー(Vo/Gt)を中心に2007年にロンドンで結成。2009年に1stアルバム『Insurrection Rising』を発表、同作はJudas Priest、Anvil、Anthemなどを手がけた名プロデューサー、クリス・タンガリーディス(2018年に死去)を迎えて制作。続いて2ndアルバム『Plague of Conscience』を<Earache Records>から発表すると、3rdアルバム『The Fateful Dark』で晴れて日本盤デビューを果たし、『LOUD PARK '16』で初来日した。その後に<Century Media>に移籍すると、4thアルバム『Hands of Fate』のタイミングで初の単独来日公演を敢行。続けて5thアルバム『Demons』発表後に3度目の来日公演も行い、日本でも厚いファンベースを築いている。とにかく、スラッシュメタル的なザクザクしたリフ、パワーメタルに通じる突進力に長けた演奏は迫力十分。Judas Priest、Iron Maiden、Metallicaなど王道メタルから強い影響を受けている彼らの演奏は、作品を出す度にオーセンティックなメタルサウンドへと進化を遂げている。その成長曲線はここ日本でも高い人気を誇るTriviumを彷彿させるものがある。正統派メタルでシーンを切り拓いていく彼らに大いに期待したいところだ。
現在は新型コロナウイルスの影響もあり、海外の来日公演も軒並みキャンセルが続いている。予断を許さない状況が続くので、この『Trooper 10th Anniversary Festival』も予定通りには行われない可能性も大きいが、無事に当日を迎えることになれば、間違いなくハードロック、ヘヴィメタルを愛するリスナーにとって夢の野外フェスになることは間違いない! 今はただただ心から開催されてほしいと願うばかりだ。
■荒金良介
99年からフリーの音楽ライターとして執筆開始。メタル/ラウド/パンク/ミクスチャーなど激しめの音楽を中心に、雑誌/WEBを軸に書いてます。今年、自分が音楽を聴くきっかけになった漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦先生に六本木で偶然すれ違い、心臓が飛び出るほどビックリしました。その昔、荒木先生が少年『ジャンプ』の作者一言コメント欄で、レッド・ツェッペリンをお薦めしてて、それをきっかけに今では音楽ライターをやっています。人生はわからないものです。