Black Earth、Emperor、Savage Messiah......<Trooper Entertainment>10thイベント出演バンド3組に注目
2010年2月にエクストリームミュージック専門レーベルを立ち上げた<Trooper Entertainment>が今年10周年を迎えた。その10thアニバーサリーを祝したライブイベントを9月22日、日比谷野外大音楽堂で決行する。同会場は1923年に開設された日本最古の「野外」音楽堂であり、古くはキャロル、RCサクセション、尾崎豊などが伝説のパフォーマンスを残し、ロックの聖地として知られている場所である。メタル系で言えば、1987年からSHOW-YAが女性ミュージシャンに限定したフェス『NAONのYAON』を立ち上げ、今なお継続中だ(今年は新型コロナウイルスの影響で開催延期)。
洋楽のメタルを例に出すと、1995年にThe AlmightyとDizzy Mizz Lizzyという夢のカップリングに加え、1999年にはNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)20周年記念フェス『Metal Crusade'99』が催され、Praying Mantis、Tresspass、Samson、Tankというレアな4組が集結した。この2つのメタルイベントは筆者も現場で熱狂した1人だが、40、50代辺りのメタルファンにとっては忘れられない野外ライブとして記憶されていることだろう。
では、この辺で本題に入りたいのだが、今回はBlack Earth、Emperor、Savage Messiah、シークレットバンド(アーティストの希望により、当日のお楽しみ)の計4組が野音で激突する。これだけのメンツを屋外で楽しめるチャンスは「二度」とないかもしれない。というわけで、ここでは『Trooper 10th Anniversary Festival』フェスに出演発表されている3組について紹介したい。
まずはBlack Earthから行こう。Carcassの3rdアルバム『Necroticism - Descanting the Insalubrious』、4thアルバム『Heartwork』に参加した元Carnageのマイケル・アモット(Gt)が同バンドを脱退後にSpiritual Beggarsを結成、その後に新たに立ち上げたのがスウェーデン発のArch Enemyである。Black Earthというのは、Arch Enemyの1stアルバム『Black Earth』のタイトルをバンド名に冠したプロジェクトであり、そのラインナップについてはArch Enemyの3rdアルバム『Burning Bridges』時の編成になっている。マイケル・アモットを筆頭にヨハン・リーヴァ(Vo)、クリストファー・アモット(Gt/マイケルの実弟)、シャーリー・ダンジェロ(Ba)、ダニエル・アーランドソン(Dr)という初期メンバー5人が顔を揃えた。2016年に来日公演も行い、そもそも一度限りのプロジェクトだったにもかかわらず、観客の凄まじいリアクションを得て続行を決意した。
2019年には『BURNING BRIDGES 20th ANNIVERSARY JAPAN TOUR』と題して、北から南まで全国津々浦々9公演を回り、これも大好評を博した。その熱も冷めぬ中での今回の来日に期待を寄せる人も多いだろう。三代目の女性シンガー、アリッサ・ホワイト=グラズ(Vo)擁する現行Arch Enemyはワールドワイドで今や絶大な人気を得ているが、オリジナルシンガーであるヨハン在籍時代から応援し続けてきた日本のファンにとって、初期3枚のアルバムにはまた特別な思い入れがあるのだ。マイケル&クリストファーのアモット兄弟によるクラシカルかつ扇情的なギタープレイを含む暴虐無比なメロデスは、ライブでさらに鋭い牙を剥く。その圧巻のステージを耳目に焼き付けてほしい。